岸田総理 次の「自民党総裁選」で麻生派と茂木派が連携したら……
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2024年1月24日 11時35分
自民党政治刷新本部で発言する岸田文雄首相(中央)=23日午後、永田町の党本部(春名中撮影)
テレビ東京・解説委員の山川龍雄が1月24日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。派閥を金と人事にかかわらない政策集団に改める方向で意見集約を図るとする岸田総理について解説した。
岸田総理、派閥を政策集団に改める方向で意見集約へ
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派閥の政治資金パーティーを巡る事件を受け、自民党は1月23日、派閥のあり方などを議論するため、党本部で政治刷新本部の会合を開いた。会合で総理は岸田派の解散について、総裁として政治改革の議論の先頭に立つために必要な判断だったとした上で、派閥を金と人事にかかわらない政策集団に改める方向で意見集約を図る考えを示した。
「金と人事権」を取り除けば派閥ではなくなることは確か
飯田)宏池会(岸田派)も正式に解散を決めました。一連の流れをどうご覧になりますか?
山川)岸田総理は、ときどきこういう捨て身の攻勢に回りますね。どこまで根回ししているのだろうとは思いますが。岸田さんは絶対に派閥という言葉を使わず、「政策集団」と言っていました。確かにお金と人事権の2つを取り除けば、いわゆる派閥ではなくなることは間違いないので、いい方向に進んでいるとは思います。
飯田)根回しの部分ですが、いままで支えてきた麻生氏にも「どこまで話をしていたのか」など、いろいろと報道が出ています。あまり話していなかったようですね。
山川)一応、形としては麻生さんや茂木さんに会っているのですが、慌てて会っているイメージを外に向けて発信しているようにも見えるので、唐突感はありますね。
企業の新陳代謝が正常に進むためにも「派閥と裏金」のシステムはなくすべき
山川)私は経済の方から常に政治・政局を見ているのですが、「失われた30年」や「日本人の賃金が上がらない」という話と、この派閥と裏金のシステムはつながっていると思うのです。パーティー券をせっせと買う企業や団体は、いざとなったら政治にすがって、自分たちが通したい法案を優先的に通してもらいたい。あるいは不利なものについては、体を張って止めてもらいたい思惑がある。だから買うわけです。そこでつながっていくのです。
飯田)政治家に対して。
山川)30年ほど経済を取材していますが、なぜ我々の賃金が上がらないかと言うと、競争力を失った企業が高い賃金を払えず、そこが温存されてなかなか新陳代謝が進まないからです。使命を失ったような企業が新陳代謝されるような仕組みになるためにも、裏金とパーティー券のような問題は「正常化してもらいたい」というのが私の気持ちです。
団体や企業に金が流れる仕組み・構造を変えるきっかけになる可能性も
飯田)確かにコロナ禍のとき、飲食業界は苦しいままなのに、ある業界には補助金が出るなど、政治力のようなものをまざまざと見せつけられた気がします。
山川)よくわかるでしょう。また日本の場合、必ず業界団体や企業にお金が行き、企業はそこから従業員に「ちゃんと頑張って業績が上がれば賃金を上げますよ」という構造になっています。診療報酬にしても今回、「本体価格を引き上げるから働いている人たちの給料を上げる」という話ですが、あれは開業医にお金が行くのですよ。そこから先、働いている人にどれだけお金を出すかは開業医の判断次第で決まるわけです。どちらかと言うと、団体や経営の方にお金が流れます。この仕組み・構造を変えないと、いつまでたっても経済はよくならないと思っているので、今回はそのきっかけになるかなと期待しています。
飯田)ガソリン価格も、最初は「ガソリン税の上乗せ部分をどうするか」という話だったのに、いつの間にか企業への補助金にすり変わりましたものね。
山川)元売りにお金が流れてしまった。本来なら消費者にお金が行けばいいし、コロナ禍の失業についても雇用調整助成金という形で企業に流れただけですが、アメリカでは失業した人に直接給付するわけです。だから失業した人は、次はもっと競争力のある会社に移ることができる。そうしないと、いつまでたっても変わらない感じがします。
「次の総裁選がどうなるか」がポイント
山川)ただ、人事権とお金を本当に奪えるのかと言うと、簡単ではありません。
飯田)権限や権力が移行するだけで終わったら意味がないですよね。岸田総理が総理になった当初、「人事をやりたい」と言っていました。
山川)「次の総裁選でどうなるか」がポイントだと思います。仮に茂木派と麻生派が連携して、そこから次の総裁が生まれたとします。その総裁が次の閣僚人事で自分たちの派閥を優遇したら、人事権に関しては、その段階で今回のルールが崩れるわけです。
政治資金規正法を改正し、連座制を導入できるかどうかが注目点
山川)お金について権限を奪うには、連座制がどこまで入るかどうかに尽きると思います。いわゆる公職選挙法のとき、いちばん効いたのは連座制です。つまり「これは秘書の責任ですから」などと、責任を転嫁できないようにするかどうかがポイントだった。いま連座制の話も出ていますが、法改正まで含めて進めるかどうかに掛かっていると思います。
飯田)今回、元会計責任者などが訴追されましたが、議員まで及べなかったのは、連座制が効かなかったからですよね。
山川)それがあれば、議員は気持ちが緩むわけです。ところが、選挙に関しては連座制がありますから、逆に秘書に「絶対やるな、頼むぞ」という方向になった。連座制が公職選挙法だけでなく、政治資金規正法の方にも入るかどうかが、いちばんの注目点だと思います。
飯田)法改正まで、という話も出てはいますが、次の国会で本当に法案として出てくるのかどうか。
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