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電力小売全面自由化「数年で失敗した」石川和男が指摘

ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2024年1月29日 10時35分

電力小売全面自由化「数年で失敗した」石川和男が指摘

政策アナリストの石川和男が1月27日、自身がパーソナリティを務めるニッポン放送Podcast番組「石川和男のエネルギーリテラシー」に出演。2016年の電力小売全面自由化について、「私から言わせると数年で失敗した」と指摘した。

※イメージ

日本国内の電力小売自由化は、2000年3月に「特別高圧」区分の大規模工場やデパート、オフィスビルでスタート。その後、段階的に範囲が拡大され、2016年4月に「低圧」区分の家庭や商店などが対象となり“全面”自由化となった。

消費者はそれまで、法律で定められた電気料金を各地域の大手電力会社に支払っていたが、自由化以降はいわゆる「新電力」と呼ばれる新規参入の電力小売会社から電気を買うことも可能となり、ライフスタイルにあった料金プランやサービスを選べるようになった。

発電から送配電、小売りまでを一括で行っていた地域の大手電力会社でも、発電と送配電、小売り部門が分離されたうえで様々な料金プランが打ち出され、電気料金の値下がり、競争が始まった。

しかし、ロシアのウクライナ侵攻などにより燃料価格が高騰。電力市場で取引される電気料金が急騰し、顧客と結んだ電気の売り値よりも市場から仕入れる価格が高い“逆ざや”状況が続き、この数年間で多くの新電力が倒産、撤退に追い込まれた。倒産した新電力会社と契約していた一部の消費者は、一気に電気料金が跳ね上がるなど混乱が広がった。

これについて石川は「電力全面自由化、電力システム改革は私から言わせると数年で失敗している。失敗した理由は、そういう制度を作った政府。今回、電力システム改革が再び改革される予定だが、最終的に電気は料金。税金みたいなもので、あまり乱高下するような制度設計はやめるべきだ」と主張した。

さらに、番組にゲスト出演した新電力の株式会社ファラデー代表取締役・久保田祥子氏は「政府は大手電力から権利を奪って、義務を残している」と指摘。契約先の新電力などが倒産した場合でも、法律で定められた電気料金(規制料金)で最終的な電力供給義務を負う「最終保障供給」規定があると言及。この料金が、自由化で市場に連動した電気料金よりも安くなる逆転現象が生じることもあり、大手電力会社にとっては赤字要因となっている。それによって、大手電力会社がライバルである新電力の顧客情報を不正に閲覧し、営業活動に悪用するなどの問題が生じているとして「大手電力会社がけん引している業界でもある。(今の制度下だと)そりゃマインドも腐る」と語り、大手電力会社と新電力との不公平をなくすための制度改革が必要だと訴えた。

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