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中国恒大集団に清算命令 このままでは政争になる可能性も

ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2024年2月2日 11時40分

中国恒大集団に清算命令 このままでは政争になる可能性も

中国不動産開発大手、中国恒大集団のビル(中国・上海)

数量政策学者の高橋洋一と外交評論家で内閣官房参与の宮家邦彦が1月30日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。香港の高裁から清算命令を受けた中国恒大集団について解説した。

中国不動産開発大手、中国恒大集団のビル(中国・上海)=2021年9月22日 AFP=時事 写真提供:時事通信

中国不動産開発大手、中国恒大集団のビル(中国・上海)=2021年9月22日 AFP=時事 写真提供:時事通信

経営危機の中国不動産開発大手・中国恒大集団に精算命令

香港の高等法院(高裁)は1月29日、経営再建中の中国不動産開発大手・中国恒大集団に対して精算命令を出した。販売低迷や資金繰りに苦しむ中国不動産業界への悪影響は必至で、停滞する景気への打撃が予想される。

飯田)どの程度の効力があるのでしょうか?

高橋)バランスシートを見ると、3年ぐらい前から債務超過でしたので、本当はそのときに対応するのが普通です。しかし、おそらく申し立てても、中国の場合は司法がこのような対応をしないのです。社会主義の制度の違いです。通常の先進国なら、申し立てを受けると債権者の利益を害するため、すぐに受けるのです。それをようやく3年遅れで行ったのだと思いますが、恒大集団の取り引きはもうできません。取り引きしたら自分のお金を取られるのは間違いないので、どこも掛取引をしなくなると思います。

どこも恒大集団とその関連会社との取り引きをしなくなる

高橋)こういうことを外へ知らせる意味はあるのです。ただし、これに類する話はたくさんあります。そちらはどうするのでしょうか。

飯田)恒大集団だけでなく、他にもいろいろありますよね。

高橋)これから精算処理をするので、本当の苦しみはここから始まります。日本(のバブル期)もそうでしたし、どこの国も同じです。いままでは裁判所が認定しなかったため、何もできなかったのです。「恒大集団と取り引きを続けても大丈夫なのではないか」と言う人もいましたが、これだけ明らかになってしまったら、少なくとも恒大集団とその関連会社との取り引きはできませんよね。そう考えれば意味のあることです。しかし、これから本当の清算手続きに入ると殺し合いになるかも知れません。

飯田)誰がどのくらい損を被るかという話になるのですか?

高橋)裁判所が入り、公平に……プロラタ方式と言うのですが、債権の金額に応じて比例的に損失を被るという原則はあります。

中国の損失はGDPの2倍に ~手当てを先送りしてきた中国政府

宮家)もう10年ぐらい前でしょうか。ある程度、このようなことが起きると予測できたとき、中国の人と話したところ「俺たちは日本のバブル崩壊を詳細に研究しているから大丈夫だ」と言っていたのです。当時「そうかな?」と私は思いました。でも、これは今や氷山の一角であり、これから氷山がすべて出てくるわけです。しかも不良債権化しているのですから、日本とは桁が違うのではないでしょうか。

高橋)私は不良債権のさまざまな裁判に出ているから、(中国でも)有名なようで、中国政府に呼ばれたことがあります。

宮家)(中国政府は)高橋さんを研究していたのですよ。

高橋)その際、「司法で最初に破綻を認定するのがスタートだ」と言ったのです。しかし、中国は何もしなかった。

宮家)破綻を認定すると、共産党の評判ないし権威にも関わりかねない。政治的にも先送りしようと思うわけです。いま、実は日本より悪い状況が起きているけれど、政治的に判断を遅らせているのです。

高橋)判断を遅らせても、不良債権が回復することはありません。ざっくり言うと、日本のバブル崩壊の場合、損失は国内総生産(GDP)の約20%だったのですが、世界のなかで比べると標準的です。しかし、中国の損失は200%です。

飯田)GDPの200%、GDPの2倍ですか?

高橋)2倍です。「高橋さんならどう整理しますか?」といろいろな人に言われますが、「海外に逃げるしかない」と言っています。200%になると、とてもではないけれど対応できません。

飯田)全部を表に出したら、ものすごいインフレになってしまうということですよね?

高橋)全部つぶれるか、政争になるのではないでしょうか。

中国社会が混乱し、政争になる可能性も

宮家)中国経済だけでなく、社会全体がおかしくなるわけです。もちろん不良債権の問題もありますが、倒産があり、失業があり、不満を持った若い人たちが街にあふれます。彼らが何をするかと言うと、普通なら革命を起こすわけですよ。そうなれば経済の問題以上に、中国社会で大きな問題になると思います。

飯田)大きすぎてつぶせない状況になるのでしょうか?

高橋)つぶせないと言っても、取り引きできないので、何かしらの形でケリをつけなくてはなりません。いくら先延ばしにしても絶対に解決しません。私が不良債権の業務をする際、いちばん嫌だったのは、殺人などの事件が起こった場合です。私の身の回りにも亡くなった人が多いのです。最後はそのような話になってしまう。

飯田)のっぴきならない話になるのですね。

宮家)中国では殺人だけでなく、政争になる可能性があります。それが心配ですよね。

飯田)地方政府なども開発には相当絡んでいたと言われていますからね。

高橋)先ほど言った200%のうち、多くは地方政府が関連します。

飯田)洒落にならないですね。

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