『熱のあとに』橋本愛×仲野太賀、鮮烈な愛を描いた衝撃作
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2024年2月3日 11時30分
【Tokyo cinema cloud X by 八雲ふみね 第1159回】
シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信する「Tokyo cinema cloud X(トーキョー シネマ クラウド エックス)」。
今回は、2月2日公開の『熱のあとに』と『罪と悪』をご紹介します。
映画館で観たい!『熱のあとに』 ~私の愛し方、エキセントリック?
2019年に起きた新宿ホスト殺人未遂事件から着想を得た、鮮烈なラブストーリー。
恋人を刺し殺そうとした過去を持つ女性が、別の男との結婚を経て、愛の形を模索する。
自分を受け入れてくれる夫の温もりか、元恋人への燃え上がるような激情か。揺れ動く主人公の“愛し方”を生々しいまでに体現した橋本愛から目が離せない。“人を愛する”という概念を覆す衝撃作です。
映画館で観たい!『罪と悪』 ~本当の“悪人”は、誰なのか……
井筒和幸監督、岩井俊二監督、廣木隆一監督といった、名だたる名匠の助監督を務めてきた齊藤勇起監督。
初の長編映画となる『罪と悪』は、3人の幼なじみたちが過去に背負った罪と、現在に起こった殺人事件の行方を描いた本格ノワール・ミステリーです。
闇の仕事も請け負う建設会社社長、阪本春。警察官の家庭に育ち、自らも刑事となった吉田晃。家業である農業を生活の糧とする、朝倉朔。3人の魂がぶつかり合うとき、過去の事件の扉が再び開き始めます。
『罪と悪』のあらすじ
14歳の少年・正樹が、何者かに殺された。
同級生の春・晃・朔は正樹を殺したのは謎めいた老人だと確信。家に押しかけて詰め寄るうちに、1人の少年が老人を殺してしまう。彼は殺害現場となった家に火を放ち、事件は幕を閉じたはずだった。
時が過ぎ、刑事になった晃は父の死をきっかけに町に戻り、朔との再会を果たす。ほどなくして、ある少年の遺体が発見される。それはまるで、20年前の事件を彷彿させるような出来事だった。
事件を追うなかで、晃は春とも再会。3人は凄惨な過去と向き合うこととなる……。
『罪と悪』のみどころ
主演を務めたのは、話題作への出演が絶えない高良健吾。地元の不良たちを束ねる建設会社の経営者・春を、冷静、かつ凄みのある演技で表現し、観客を魅了します。
春と共に数奇な運命を背負うことになる晃と朔を演じたのは、大東駿介と石田卓也。3人は、ほぼ同世代の俳優。10代のころはオーディションで顔を合わせることが度々あり、ライバルというよりも互いに高め合って切磋琢磨してきた間柄だということ。
若手のころからの躍進を見てきた映画ファンにとっては、ひとつのスクリーンのなかに彼らが収まっているということを目の当たりにするだけで感慨深くなってしまいます。
春と晃。晃と朔。それぞれが対峙するシーンでは言い知れぬ緊迫感が伝わってきて、その熱量の高い芝居は必見です。
また共演に村上淳、椎名桔平、佐藤浩市など、実力派俳優が顔を揃えているのも見どころのひとつ。ベテラン俳優が放つ存在感にも注目ですよ。
数々の“悪”が描写されていくなかで、「その罪は、本当に“悪”と呼べるのか?」と、観客に問いかけてくる本作。法律上、“罪”となり“悪”とされることがある一方で、人それぞれの心の内にも“悪”や“正義”は存在しているのかも知れない。
そう考えると、一元的に物事を決めつけることへの危うさに気付かされる部分もあり、観終わったあとにはタイトルである『罪と悪』という言葉の意味について、改めて思いをめぐらせる人も多いのではないでしょうか。
罪を犯すこと、償うこと、そして本当の意味での“悪人”とは。この映画を観たあなたは、どんな答えを導き出しますか?
『熱のあとに』
2024年2月2日(金)から新宿武蔵野館、渋谷シネクイントほか全国ロードショー
出演:橋本愛、仲野太賀、木竜麻生、坂井真紀、木野花、鳴海唯、水上恒司
監督:山本英
脚本:イ・ナウォン
プロデューサー:山本晃久
製作:ねこじゃらし、ビターズ・エンド、日月舎
制作プロダクション:日月舎
英題:After the Fever
配給:ビターズ・エンド
(C)2024 Nekojarashi/BittersEnd/Hitsukisha
『罪と悪』
2024年2月2日(金)から全国ロードショー
出演:高良健吾、大東駿介、石田卓也、村上淳、市川知宏、勝矢、奥野壮、坂元愛登、田代輝、柴崎楓雅、石澤柊斗、深澤幸也、大槻ヒロユキ、朝香賢徹、しゅはまはるみ、蔵原健、中野英樹、成田瑛基、齋賀正和、大迫一平、安部賢一、守屋茜、本田旬、桝田幸希、仁也、佐藤浩市(特別出演)、椎名桔平
監督・脚本:齊藤勇起
音楽:Teje、Yehezkel Raz
配給:ナカチカピクチャーズ
(C)2023「罪と悪」製作委員会
連載情報
Tokyo cinema cloud X
シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信。
著者:八雲ふみね
映画コメンテーター・DJ・エッセイストとして、TV・ラジオ・雑誌など各種メディアで活躍中。機転の利いた分かりやすいトークで、アーティスト、俳優、タレントまでジャンルを問わず相手の魅力を最大限に引き出す話術が好評で、絶大な信頼を得ている。初日舞台挨拶・完成披露試写会・来日プレミア・トークショーなどの映画関連イベントの他にも、企業系イベントにて司会を務めることも多数。トークと執筆の両方をこなせる映画コメンテーター・パーソナリティ。
八雲ふみね 公式サイト http://yakumox.com/
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