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「トランプ氏再選」に向けて日本が備えておくべきこと

ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2024年2月6日 11時40分

「トランプ氏再選」に向けて日本が備えておくべきこと

米ニューハンプシャー州ラコニアで演説するトランプ前大統領(アメリカ・ニューハンプシャー州ラコニア)

東京大学先端科学技術研究センター特任講師の井形彬が2月6日、ニッポン放送「新行市佳のOK! Cozy up!」に出演。FOXニュースでのトランプ前大統領の発言について解説した。

米ニューハンプシャー州ラコニアで演説するトランプ前大統領(アメリカ・ニューハンプシャー州ラコニア)=2024年1月23日 AFP=時事 写真提供:時事通信

米ニューハンプシャー州ラコニアで演説するトランプ前大統領(アメリカ・ニューハンプシャー州ラコニア)=2024年1月23日 AFP=時事 写真提供:時事通信

アメリカのトランプ前大統領 再選した場合、中国製品「60%を超える関税を検討」と述べる

アメリカのトランプ前大統領は11月の大統領選挙で再び当選した場合、中国に60%を超える関税を課す案を検討するとFOXニュースの番組で発言した。

新行)安い価格の中国製品の流入を排除し、アメリカ国内の製造業労働者を保護する狙いがあるようです。トランプ前政権下では中国に対して3700億ドル相当(約55兆円)の輸入品を対象に制裁関税を課していました。アメリカ大統領選をめぐる動きは、日本の経済安全保障にも大きく関わってきますよね。

井形)まさに経済安保の時代という感じです。

日本製鉄のUSスチール買収が大統領選の争点の1つに

新行)日本製鉄によるUSスチール買収に対し、トランプ前大統領が「私は即座に阻止する。絶対にだ」と発言しました。一方、全米鉄鋼労働組合のデビッド・マッコール会長はこの買収について、「バイデン大統領が我々の背中を押してくれるという個人的な確約を得た」と発言しています。まさに大統領選の1つの争点になりそうです。

井形)少し買収のタイミングを間違えてしまったかも知れません。大統領選では「どれだけ票数が獲れるか」ということが重要になりますが、労働組合は大きな票田なのです。共和党としても「守らなければならない」と言っています。民主党側も議員を始めとして、「守らなければ」と言わざるを得ない状況です。このような形で論点化してしまった以上、なかなか難しいのではないかと思います。

新行)そもそも成長戦略でもそうですし、安全保障でも大切なため、買収の話が出てきたのですよね。

「我々ブルーカラーの仕事を守るためにも合併を許してはいけない」と感情論に

井形)ただ、アメリカ側からすると若干、感情論も入ってしまっています。アメリカでの報道を見ると、やはり上手いのですよね。「これが適当なABCスチールというような企業であれば売ってもいい。だが、これは“USスチール”なのだ。“アメリカンスチール”なのだ。それを中国や他の国々に買われていいのか」と。「いや日本だけれど」というツッコミはあるのですが、言い方としてはそうなるのですよね。

新行)アメリカンスチールだと。

井形)さらに、「これはホワイトカラーの人々が、自分たちの私腹を肥やそうとして海外に売ろうとしているのだ。我々ブルーカラーの仕事を守らなければいけない。仕事が日本や中国に取られてしまったらダメだろう」と言うのです。日本製鉄がUSスチールを買ったからといって、鉄の製造を日本に移そうなどという話はまったく言っていませんし、日米は同盟国なので、経済的な協力は積極的に進めていけばいいはずです。しかし、向こうのロジックとしては「絶対に止めるべきだ。ブルーカラーの、我々の仕事を守れ」という方向になっている。こうなると、いくらロジックで勝負しようとしても「対抗できないかな」というところまで及んでおり、少し懸念しています。

新行)まさにタイミングの問題だったかも知れない。

井形)そうですね。

トランプ氏、バイデン氏のどちらが大統領になっても対応できる準備をしておくべき

新行)環太平洋パートナーシップ(TPP)からアメリカが離脱したため、新しくインド太平洋経済枠組み(IPEF)ができましたが、この辺りはどうなるのでしょうか?

井形)TPPも最初はアメリカが言い出したはずなのに、国内で争点化してしまい、結局は離脱することになった。民主党の人と話すと、「本当はTPPに入りたいのだけれど」と言いつつ、やはり、もう入れないような政治状況になってしまっています。苦肉の策として、バイデン政権がIPEFという新しい枠組みをつくりましたが、トランプさんからすると嫌ですよね。「なぜバイデンがつくったものに我々が入らないとダメなんだ」となり、「もう抜けてやれ」ということになってもおかしくないと思います。その意味だと、トランプ前大統領が再選した場合、日本にとっても経済的に影響のある外交政策を取ってくるのは間違いないと思います。

新行)最近「もしトラ」という言葉もよく聞きますが、そのような部分も想定した上で、「どう交渉していくか」を考えなければいけない段階なのでしょうか?

井形)まだ時間があるので、最終的にどちらが勝つかはわかりませんが、「バイデンVSトランプ」という構図に関しては、何かとんでもないことが起きない限りは基本的に固まったと言っていいと思います。そうなると、どちらになってもある程度対応できる戦略を練っておく。政府レベルでもそうですし、民間レベルでも考え始める必要があると思います。

民間レベルでも対応を考えておく必要がある

新行)民間レベルの場合、どんなことが挙げられますか?

井形)「アメリカからの関税がどうなるか」という辺りでしょうか。アメリカ市場へのアクセス、アメリカとの共同研究、そしてアメリカが中国に対して行う政策によって、日本が間接的にどのような影響を受けるのか。そういうところまで見る必要があると思います。

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