日本のバブル崩壊時よりも酷い中国経済 「中国の今後のシナリオ」を考える必要がある
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2024年2月8日 17時30分
中国の習近平国家主席(ベトナム・ハノイ)
地政学・戦略学者の奥山真司が2月8日、ニッポン放送「新行市佳のOK! Cozy up!」に出演。中国経済の実態について解説した。
アメリカの輸入相手、中国が17年ぶり首位転落
米商務省が2月7日に発表した2023年の貿易統計によると、アメリカの輸入相手で中国が17年ぶりに首位から外れた。また、日本や韓国、ヨーロッパなどでも中国への貿易依存度が下がっており、2023年までの5年間で中国貿易に占める各国の比率は0.1〜2.5ポイントほど下落した。
日本のバブル崩壊時よりも酷い中国経済の現状
奥山)知り合いのハーバード大学のシンクタンク研究員が、2ヵ月間ほど中国へ調査に行ったそうです。東京で飛行機を乗り換えるということで、その際に会いました。そのとき聞いた話では、中国は完全にバブル崩壊の状況で、下手をすると日本のときよりも酷い状態だと言うのです。
新行)日本のバブル崩壊よりも。
奥山)彼は中国で現地調査を行っているのですが、現地の通訳を雇って、いろいろな人に同じ質問をするのです。「あなたのいまの給料はここ半年くらいどうですか?」「この先は明るくなると思いますか?」「中国経済を全般的にどう思いますか?」など、いろいろなところで質問する。しかもお店のオーナーのような人だけでなく、一般に働いている人や屋台の人たちも含めて、とにかくいろいろな人たちに話を聞くそうです。
公務員の給料が25~50%下がっている
奥山)工業化されていて、農業も豊かな全国平均の都市のようなところがあるではないですか。日本で企業がマーケティングを行うときは、よく静岡をモデル都市にしますが、そこでのデータを全国平均にするのです。彼の場合、北京の下の方に電車で3時間半ほど行くと河南省がありますが、そこでいつもインタビューするそうです。
新行)河南省をモデル都市として。
奥山)彼は2023年3~5月にも調査しているのですが、わずか半年くらいの間に経済状況がとんでもないスピードで悪化していたのです。公務員の人たちの給料が平均25~50%下がっているそうです。
新行)たった半年で。
奥山)酷いところだと給料も払われていない。彼は中国版の新幹線でいろいろなところに行くのですが、ほとんど乗っている人がおらず、いままで外国人が来ていた上海などの大都市でも、夜7時半になるとお店が閉まってしまう。本当に彼らがお金を払えないような状況に陥っているのです。単純に言うと、我々のすぐ隣に経済的なブラックホールができているような状況だと教えてくれました。
「これから中国はどうなるのだろうか」というシナリオを考える必要がある
奥山)「これから中国はどうなってしまうのか?」というシナリオを、我々は考えなければいけないと思います。なぜこれほど中国にお金がないかと言うと、1つには不動産の問題があります。いままで彼らは家計資産の約8割を不動産に突っ込んでいました。その不動産が飛んでしまい、なおかつ購入したマンションの建設も止まっている。資産の約8割の価値がなくなったような状態です。それに加えて、給料が半分になるという状況が大多数の人に出ています。
ダボス会議で中国への投資を訴えた李強首相
奥山)先日、スイスでダボス会議(世界経済フォーラム年次総会)が行われましたが、そこで中国のナンバー2と言われる李強首相が「中国に投資してください」と演説したのです。ダボスには中国側の経済官僚などがたくさん来ていたそうです。自分たちの国が、バブル崩壊時の日本以上に悪い状況だとわかっているからこそ、外交において「積極的に投資してくれ」と言いに来たのではないかと言われています。
新行)営業しに行ったということですか?
奥山)そうかも知れません。ところがダボスでは、政治的リスクが大きいので冷たくあしらわれたようです。そう考えると、日本にもこれからデフレ圧力のようなものが掛かってくるかも知れません。外に対して意外に大人しく出るのか、それとも積極的に出るのかはわかりませんが、今後いろいろな動きが中国から出てくることは、ある程度想定しておく必要があります。
中国からの訪日客も減少
新行)そのような状態で春節を迎えようとしています。いつもだと大移動というような見出しが出ますが、今回はどうなるのでしょうか?
奥山)外に対しては、「まだ中国経済はいいですよ」とアピールする部分はあると思います。ただ、先ほどの研究員の話を聞くと、そんなにお金を使えるような状況ではない。中国からの訪日客も相当減っていると聞きます。そのような意味では、中国がこれから消費に対して慎重になる状況は避けられないと思います。
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
中国で相次ぐ「無敵の人」政府が恐れる"爆発の芽" 豊かな頃から一変、経済不安が渦巻く社会に
東洋経済オンライン / 2024年11月25日 12時0分
-
森永卓郎、人生最大の損失とは?「投資は始めるより、やめることのほうがはるかに難しい」未来永劫、株価が上がり続けると考える人に伝えたいこと
集英社オンライン / 2024年11月19日 11時0分
-
徹底解説!トランプ政権下で「為替」はどう動くか 日本にとって一番の懸念は「自動車への追加関税」
東洋経済オンライン / 2024年11月16日 8時0分
-
20年前の最低賃金は710円、でも現在は…「インフレ」が進むとわかる「ジリ貧日本経済の真のヤバさ」【元キャリア官僚が解説】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年11月13日 9時15分
-
日経平均4万円を「バブル」と騒ぐのは論外…「新NISAデビュー」の投資初心者がいま絶対にやってはいけないこと
プレジデントオンライン / 2024年10月28日 8時15分
ランキング
-
1石川県西方沖でM6.6の地震 最大震度5弱 津波被害の心配なし
ウェザーニュース / 2024年11月26日 22時47分
-
2有名脱毛サロンが破産手続き 返金困難と告げられた会員女性「腹立たしい」 賃借料など膨らみ資金繰り悪化か
CBCテレビ / 2024年11月26日 18時40分
-
3【速報】共同通信の社長が外務省に謝罪 生稲晃子外務政務官の靖国参拝めぐる誤報問題で
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年11月26日 19時51分
-
4八戸5歳女児死亡の初公判、検察側「母親らは一日一食しか与えず隠れて食べていた女児に暴行」
読売新聞 / 2024年11月26日 15時45分
-
5兵庫・加古川の小2女児刺殺、小4刺傷容疑の男を再逮捕へ…「好みの女の子を尾行し刺した」供述
読売新聞 / 2024年11月27日 0時0分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください