政治を安定させなければパキスタンの経済は回らない パキスタン総選挙
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2024年2月12日 11時30分
8日、パキスタンの首都イスラマバードの投票所で票を投じる男性
外交評論家で内閣官房参与の宮家邦彦が2月9日、ニッポン放送「小永井一歩のOK! Cozy up!」に出演。パキスタン総選挙について解説した。
パキスタン総選挙が実施
小永井)パキスタンでは下院の総選挙が2月8日に実施されました。「パキスタン・イスラム教徒連盟シャリフ派」を率いるナワズ・シャリフ元首相は国外逃亡から帰国を果たし、4回目の首相就任を目指しています。一方、軍部と対立して2022年4月に政権の座を追われ、現在投獄中のイムラン・カーン元首相が率いる最大野党「パキスタン正義運動」は徹底排除されており、異様な選挙戦となっています。
インドとイランという強国に挟まれたパキスタン
宮家)パキスタンは不幸な国です。地図を見ていただくとわかるのですが、パキスタンはイスラム教徒の国で、インド独立のときにインドから分離したわけです。そのため、まずインドという大きな敵国が東にある。その反対側には、アフガニスタンとイランがあります。イランも手強い国ですからね。こうしてパキスタンは強い国に挟まれた、地形的にも縦に細長い、地政学的には脆弱な国なnです。
小永井)そうですね。
宮家)インドが攻めてきたらあっという間にやられてしまいます。どこかに逃げ場が必要であり、その逃げ場の一つがアフガニスタンなのです。そういう形でパキスタンは生き残りを図ってきた。これが第1点です。
インドと戦う歴史にあり、軍が強く、民主化とクーデターを繰り返す
宮家)第2に、インドは強いので、パキスタンの歴史はインドと戦う歴史でした。そうするとパキスタンでは当然軍部が強くなるのですが、昔はインドの一部だったのだから、民主主義の伝統問題もないわけではない。しかし、やはりインドとの戦いがあり、軍部が強い。そして貧富の差が激しい。典型的な途上国ですから、どうしても民主主義が上手くいかず、軍部が出てきてはクーデターを起こす。そして強権でビシビシとやる。その結果、一見国がよくなるので「そろそろ民主化でもしようか」と思うと、またガタガタになり、軍部が出てきて……という話を繰り返しているわけです。イムラン・カーンさんは人気があるけれど、パキスタンも民主主義だけでは食えない。もしくは軍部からすれば「これではダメだ」ということで、民主制と軍政の堂々めぐりを繰り返している、不幸と言えば不幸な国ではあります。
政治を安定させなければ外国からの投資は呼び込めない
小永井)いまのフェーズとして、総選挙が行えるのは民主化の状態ではあるけれど……。
宮家)総選挙の前に、軍が徹底的に反対派を弾圧していますから、シャリフさんが勝つに決まっていたのです。そういう状況だと思います。今後パキスタンは一時的に安定するかも知れないけれど、中長期的に考えれば希望はある。実際に優秀な人材はいるし、人口も2億数千万人がいる。将来はインドと同じように重要な市場になり、産業基地にもなると思うのですが、やはり政治を安定させないと、なかなか外国からの投資は呼び込めないと思います。
インドのように政治を安定させて経済を回したいのだが
小永井)パキスタンには日本企業も80社ほど進出しているそうですが、インフレが30%近いという経済状況もあります。
宮家)経済の悪循環が続いているので、モディ首相のやり方がいいかどうかは別として、安定しているインドのように民主主義を行えばよいのですが。インドには、政治を安定させて経済を回すという知恵があるわけです。パキスタンもそれをできないはずはないのだけれど、残念ながら、いままでの悪循環が立ち切れていないのだと思います。
日本よりも多い人口
小永井)一昨年(2022年)には大規模な洪水もありました。
宮家)インフラがまだ十分ではないですし、とにかく人が多いのです。
小永井)約2億4000万人。日本よりもはるかに多い人口です。
宮家)もったいないです。教育をしっかり行い、人材をうまく回した方がいいと思いますけれどね。
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