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「もしトラ」から「ほんトラ」へ 「本当にトランプ大統領になるのではないか」というモードで準備するべき

ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2024年2月13日 17時45分

「もしトラ」から「ほんトラ」へ 「本当にトランプ大統領になるのではないか」というモードで準備するべき

米アイオワ州デモインで演説するトランプ前大統領(アメリカ・アイオワ州デモイン)

日本経済新聞コメンテーターの秋田浩之が2月13日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。米大統領選でトランプ氏が勝利した場合の日本が取るべき対策について解説した。

米アイオワ州デモインで演説するトランプ前大統領(アメリカ・アイオワ州デモイン)=2024年1月15日 AFP=時事 写真提供:時事通信

米アイオワ州デモインで演説するトランプ前大統領(アメリカ・アイオワ州デモイン)=2024年1月15日 AFP=時事 写真提供:時事通信

アメリカ大統領選挙の世論調査、バイデン氏の続投不可86%

米ABCテレビなどが2月11日に発表した世論調査によると、11月の大統領選挙で再選を目指す民主党のバイデン大統領(81)が「高齢過ぎて2期目を務められない」とする回答が、86%に達した。

飯田)また、トランプさんも含めて「高齢過ぎるのではないか」という回答は59%あったそうです。

「トランプ大統領になるのではないか」というモードで準備をするべき

秋田)この数字を見てまず思うのは、「もしトラ(もしもトランプ氏が当選したら)」という言葉が流行っていますが、「もしトラ」ではなく「ほんトラ」……本当にトランプさんが大統領になるのではないかというモードに切り替えて、準備する必要があるということです。

飯田)ほんトラ。

秋田)重要な州での「トランプ対バイデン」の世論調査では、トランプさんが優勢というトレンドが出ています。それなのに、「裁判のためトランプさんが出られなくなるかも知れない」などと安心し、「まさかトランプさんの再選はないだろう」と考えるのは大きな間違いだと思います。

アメリカに頼るだけではなく、「日本が変わる」というレベルで準備しなければならない

飯田)いまから準備しておくということですね。自民党の甘利前幹事長はテレビ番組で「チーム安倍」を再編し、「あのときの知見を」というような発言をしていました。

秋田)甘利さんの発言は自民党総裁選を睨んだ面もあると思いますが、日本側のトランプ対策に基礎・応用・上級編があるとすれば、安倍さんがトランプさんとゴルフを4回して個人的な関係を築いたのは、基礎中の基礎だと思います。その程度では2期目のトランプ政権には通用しないでしょう。

飯田)ゴルフをしたくらいでは。

秋田)1期目は大統領になったばかりで何が何だかわからず、相手の話も聞いたでしょうし、「この人はいい人間だ」と思えば手加減することもあったと思います。しかし今度のトランプさんは、アメリカの国益第一的な路線を曲げないどころか、加速させる準備をしている。そのためには取り入るのではなく、アメリカに何でも頼るような路線とは違う方向に切り替えなければなりません。「日本自身が変わる」というレベルで準備するべきではないでしょうか。

「日本は米国への攻撃をソニーのテレビで観ることができる」と発言したトランプ氏を説得するのは簡単ではない

飯田)日米同盟の関係がなくなることはありませんが、自分たちで自分たちを守る。そのためには法律や憲法の壁など、いろいろな壁があるのではないでしょうか?

秋田)アメリカの同盟国はイギリスや韓国、フィリピンなど世界中にたくさんあります。例えば、韓国でさえ相互防衛条約なのです。韓国はアメリカを守る義務も負っている。ただ、全世界ではなく、地理的にはアジア極東でしょうか。だから韓国はベトナム戦争やアフガニスタン戦争でも派兵しました。本当は日本も韓国並みに対応しなければ、同盟の平等性という意味では同じとは言えないのです。

飯田)同じとは言えない。

秋田)トランプさんは以前、「アメリカは日本を助けるために命と財産をかけて戦うが、もしアメリカが攻撃されても日本は私たちを助ける必要はない。日本人はアメリカへの攻撃をソニー製のテレビで観ることができる」と、不平等について発言しています。この発想は、いまでも彼のなかに残っていると思います。それを一気に変えることはできませんが、日本は防衛費を2倍にし、自分で反撃能力を持つ方向に進んでいますので、それをきちんと説明する。「自分で自分を守る責任を果たす」という政策を見せないと、トランプ氏の説得は難しいと思います。

中国が外務省のシステムにサイバー攻撃

飯田)憲法9条の話にも関わってきますよね。提出時期は未定ですが、今国会でも「セキュリティ・クリアランス制度」が出る予定になっています。一方、アクティブサイバーディフェンスに関しては法案自体も出さない方向だという報道も出ています。

秋田)読売新聞が報道していましたが、私も取材して似たような話を聞きました。アメリカのサイバー部隊が得た情報によると、日本政府の情報、外交公電も含めた情報が、中国ハッカーのコンピューター内にあり、要するに筒抜けになっていることをアメリカが発見した。それを去年(2023年)、日本に通報してきたのです。ワシントン・ポストも去年、似たような報道をしています。

飯田)中国軍ハッカーが日本の防衛ネットワークに侵入したと。

秋田)日本に情報を共有すると全部抜けてしまう。しかも、抜けていることすら日本に教えないとわからないような状態です。自分が友だちだったとしたら、その人には秘密を打ち明けられないですよね。

飯田)内緒話ができませんね。

秋田)そんな状態なので、セキュリティ・クリアランスの整備は対策の1つだと思います。日本自身がアクティブサイバーディフェンスを行い、もっと積極的に監視しないと、いつまでも「何が抜かれているのかわからない」という状況ではいけません。アメリカのためではなく、1人の日本人としても怖いので、きちんとして欲しいです。

飯田)昔から憲法の「通信の秘密」とバッティングすると言われています。

秋田)その解釈がネックになり、法案がなかなか出せないのです。

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