「1杯250円のラーメン店」 なぜ激戦区・水戸で安価実現できたのか?
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2024年2月15日 17時25分
それぞれの朝は、それぞれの物語を連れてやってきます。
ラーメン業界には「1000円の壁」があるそうです。ラーメン1杯が1000円を超えると値段が高いのでお客さんが離れ、1000円以下にすると材料費、人件費、光熱費の高騰でやり繰りできない。「1000円の壁」の狭間で廃業するラーメン店が増えています。
そんななか、茨城県水戸市に250円のラーメン店がオープンしました。店名は「ラーメン・餃子250」。店主は村上英雄さん・33歳です。
実家は、市内の飲食店に中華麺や餃子の皮を卸す老舗の「松月製麺所」。長男の村上さんは6代目になりますが、大学を卒業すると「家は継がない!」と言って、つくばのIT企業に就職します。その後、独立して起業しますが、コロナ禍で経営がうまくいかず……2年前、水戸に戻ってきました。
かつて実家の製麺所は十数人の従業員を雇っていましたが、現在は父親が闘病中で、母親が1人で麺を製造しています。「家は継がない」とは言ったものの、母親をどうにか助けたい。「どうしたらいいものか」と考えていたとき、村上さんはひらめきます。
子どものころの夢は「ラーメン屋さんを開くこと」でした。「水戸黄門もラーメン好きだった」と言うだけあって、水戸はラーメンの激戦区です。そこで店を開くとしたら、どこがいいのか。企業経営やマーケティングが専門の村上さんが選んだのは、歓楽街の「栄町」でした。
「夜の街なので、昼間はすべてのお店がシャッターを下ろしているんです。そこで250円のラーメン店を出したら、逆に目立つでしょう? SNSでお客さんが広めてくれるので、宣伝費も広告費もかからない。絶対にうまくいく自信がありました」
しかし、問題は開店資金が足りないことでした。知人や友人に話を持ちかけても「やめとけ」「失敗する」「絶対無理」と、99%が反対意見。「飲食店の経営はそう甘くないよ」と言われると、村上さんの気持ちも揺らいでいきます。
「ラーメン屋さんで働いたこともない自分が、店を開くのは無謀なのか」
諦めかけていたとき、ふと耳にした曲が、ラップとギターのユニット「MOROHA」の『革命』でした。その歌に心を打たれた村上さんは、「諦めちゃダメだ。いまこそ自分の革命のときだ!」と気持ちを奮い立たせます。
以前勤めていたIT企業の同僚に会い、自分の夢や店を開くための戦略を熱く語ったところ、同僚だった2人が「250円のラーメンか、いいじゃないか。やってみろよ、応援するから!」と言ってくれました。こうして「ラーメン・餃子250」は開店の運びとなります。
2月1日、開店初日の朝10時……お店の前には長い行列ができていました。次の日も、明くる日も、ずっとお客さんが絶える日はなく、予想を超える反響でした。
ところが、またまた困ったことが起きます。予定していたラーメンや餃子の数が午前中にハケてしまい、営業時間にもかかわらず「完売御礼」を出すことも。並んでいたお客さんから「お昼前に何で店を閉めるんだよ」と怒られたこともありました。
「まだまだペースが掴めないんです。これからは営業時間に完売にならないよう、しっかり在庫管理をしたいと思っています」
さて、肝心の「250円ラーメン」のお味ですが……まずスープを啜ると、醤油をベースにした豚の脂のコクと旨みがよく出ています。中細のストレート麺は、さすが自家製麺とあってツルツルシコシコ、程よく腰があり、のど越しがいいのです。
国産豚を使用した薄切りのチャーシューが1枚。大きめの海苔が1枚。刻んだ玉ねぎがひと摘み。「これで250円なの?」と、食べたお客さんは満足顔で帰っていきます。250円のなかに村上さんのこだわりが詰まっています。
「実家の製麺所には先代からの教えがありまして、『原価率を上げること』……つまり麺の材料費にコストをかけ、なるべく低価格で、おいしい麺を提供することなんです。とは言っても、250円のラーメンだけではやっていけません。ほとんどのお客さんが『手作り餃子』も注文してくれるんですよ。ラーメンと餃子で税込500円。これで何とかやれるんです」
朝6時から実家で麺をつくり、夜10時まで店に立つ村上さん。250円ラーメンで業界に革命を起こせるのか? その熱き挑戦は始まったばかりです。
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
週休2日、子育てしながら月商300万円…寝袋を持って修行→24歳で独立したラーメン店夫婦のしたたかな戦略
プレジデントオンライン / 2024年11月20日 17時15分
-
独創的な一杯で可能性模索、充実の裏メニュー ラーメン「哲勝」店主、勝田圭さん(38) 関西ひとめぐり
産経ニュース / 2024年11月18日 9時0分
-
東京で一獲千金狙うも「酷評」店主の痛切な気づき 山形の超人気ラーメン店「新旬屋」はどう再生したか
東洋経済オンライン / 2024年11月7日 8時35分
-
山形で人気トップ「金の鶏中華」店主の痛恨の失敗 ラーメンバーで成功も、客の気持ちを見失って…
東洋経済オンライン / 2024年11月7日 8時30分
-
「農家の嫁」になって本当に良かった…「ぎょうざの満洲」社長が「中華なのに健康第一」を掲げて成功するまで
プレジデントオンライン / 2024年10月29日 9時15分
ランキング
-
1ダイソーで販売「グミ」に回収命令……「深くお詫び」 使用不認可の着色料を使用、5万7000袋を回収
ねとらぼ / 2024年11月26日 18時1分
-
2「運転する夫に『間違えてばっかり!』と怒鳴ったら、路肩に急停止。怖くて大ゲンカしましたが、私が悪いんですか?」投稿に回答殺到!?「お前が運転しろ」「料理してる時に言われたらどうする」の声も
くるまのニュース / 2024年11月26日 12時10分
-
3男女9000人超が答えた「好きな四字熟語」ランキング発表! 3位「明鏡止水」2位「初志貫徹」…圧倒的1位は?
オトナンサー / 2024年11月26日 21時10分
-
4風邪の初期症状の正しい理解と市販薬の使い方を知る…「ひき始めに服用する」わずか4%
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年11月26日 9時26分
-
5「50代でモテている男性」3つの特徴。見た目が渋くてカッコいい「イケオジ」じゃなくてOK
日刊SPA! / 2024年11月26日 15時52分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください