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IEAに加盟したいインドの今後に向けた思惑

ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2024年2月14日 17時45分

IEAに加盟したいインドの今後に向けた思惑

インドのモディ首相(インド・ニューデリー)

双日総合研究所チーフエコノミストの吉崎達彦が2月14日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。パリで開催中のIEA閣僚理事会について解説した。

インドのモディ首相(インド・ニューデリー)=2023年12月04日 EPA=時事 写真提供:時事通信

インドのモディ首相(インド・ニューデリー)=2023年12月04日 EPA=時事 写真提供:時事通信

IEAがインド加盟に向け交渉へ

日本、アメリカ、ヨーロッパを中心とした主な石油消費国でつくる国際エネルギー機関(IEA)の閣僚理事会が2月13日、本部のあるパリで開幕し、非加盟国インドの加盟に向けた交渉を正式に開始することで合意する見通し。

飯田)インドはエネルギー需要も伸びゆく一方ですね。

吉崎)IEAは基本的に、経済協力開発機構(OECD)という世界の金持ちクラブの組織ですから、インドはもちろん、中国も入っていません。インドがここに加盟してくるのは面白い動きです。もともとIEAは、エネルギー関係の調査統計をつくる組織なのですが、近年は再生可能エネルギーや脱炭素に関する提言をたくさん出しています。「このくらいやらないと平均気温の上昇は抑えられない」という方針です。それにインドが食いついてくるというのは、インドはインドなりに「きちんと脱炭素に対処してお手本になる」という考えがあるのでしょうか。

飯田)いまはインドも(CO2)排出の多い国の1つですよね。

吉崎)相当、人口が多いですからね。ただ、「うちは中国とは違う路線でいく」ということなのかも知れません。

インドを含めBRICSでアメリカに対抗したい中国とその仲を裂きたい日米欧

飯田)インドは、いままでは非同盟で、どちらかと言うと「自分たちがまずは寄って立つ」というところを見せる国ですよね。

吉崎)我が道を行くというか。中国はインドやロシアを始め、BRICSを集めてアメリカに対抗したいのですが、一方で日米欧は、それほど仲がいいわけではないけれど、それぞれインドと金脈を通じており、できれば中国との仲を裂きたい。中国は「グローバルサウス」という言葉を使いたくないようです。中国の文書でグローバルサウスという言葉が出てくるときは、すべて、かぎかっこがつくのだそうです。

飯田)自分が言っているわけではないと。

吉崎)しかし、インドは「自分がグローバルサウスの盟主だ」と言いたい。いろいろなところで中国とインドの対立がありますが、エネルギー路線に関しても、そんなさや当てがあるのかも知れません。

ロシアからの原油を精製して再輸出するインド

飯田)一方でインドは、ロシアと独特のつながりがあります。

吉崎)逆に西側としては、インドをこちら側につけたい。ロシアから石油を買われては、せっかく経済制裁しているのに意味がなくなってしまいます。だからOECD加盟国ではないけれど、この際「巻き込んでしまえ」というのは大いに考えられる話ですよね。

飯田)インドの名前はロシア産原油の主な輸出先としても挙がります。

吉崎)しかも石油を精製して再輸出していますから、何がロシア産なのかわからなくなってしまいます。逆にインドからすれば、「こんなにおいしい話をやめられるか」というところでしょうね。

飯田)市場価格より安く買ってきて市場価格で売れば、それだけで差額が利益として出る。国際的には困ってしまいますね。

吉崎)西側的には困るのですが、彼らは常に唯我独尊ですので、プレイヤーとしてうまく巻き込まなければいけません。

対中制裁を意識してクアッドに参加するインド

飯田)日本との向き合い方だと、最近は名前を聞きませんが、インドはクアッドの一員です。

吉崎)昨年(2023年)のクアッド首脳会議はオーストラリアで開催予定でしたが、バイデン大統領のスケジュールの都合上、日本で行われました。今年はどうするのでしょうか。

飯田)インドとしては、クアッドには対中牽制のイメージがあるわけですか?

吉崎)当然、そういう計算をしていると思います。

飯田)他方でオーストラリアは、「中国に寄ったのか」というようなところが少し出ている気もします。

吉崎)ただ、オーストラリアの世論は変わりましたね。「いま中国の肩を持つのは難しい」という雰囲気になっているし、お金の動きでも中国離れが始まっています。

2020年代の後半には名目GDPはアメリカ・中国・インドが世界のビッグ3に

飯田)このままいくとインドは、世界第3位まで経済的に伸びるのではないかと言われています。

吉崎)名目GDPで言うと、一応ドイツと日本が3位争いをしていて、5位がインドなのですが、経済成長の勢いが全然違います。2020年代の後半には、アメリカ・中国・インドがビッグ3になっていると思います。

飯田)そうなるとインドの発言力も当然、増してきますよね。

吉崎)逆に私は、アメリカがいまでも世界の4分の1をキープしていることが奇跡ではないかと思うのです。アメリカの人口は約3億3000万人ですが、中国とインドは約14億人です。

飯田)3億人ぐらいをずっとキープして、上がりもしなければ下がりもしない。

吉崎)アメリカの世界GDPに占めるシェアは、いちばん高いときで35%ぐらい。いまは25%ぐらいですが、だいたい4分の1をキープしています。おそらく米中逆転はありません。

飯田)この流れで行けば。

吉崎)そうですね。

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