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避難所での“語らい”で深まる絆、七尾市を背負うバスケットボールクラブ【後編】 ~もう1つのB“群雄割拠B3リーグ”~ #4 金沢武士団

ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2024年2月16日 11時35分

避難所での“語らい”で深まる絆、七尾市を背負うバスケットボールクラブ【後編】 ~もう1つのB“群雄割拠B3リーグ”~ #4 金沢武士団

金沢武士団キャプテン#11・田中翔大選手

トップリーグであるB1・B2への参入を目指し、日本各地で活動を続けるもう1つのB、それが“B3リーグ”です。この連載「もう1つのB“群雄割拠B3リーグ”」は、バスケットボール歴16年・ニッポン放送アナウンサーの私、内田雄基が、地元を背負い、上を目指すB3リーグのクラブ活動や見どころをご紹介していきます。

連載4回目となる今回、私がご紹介するのは、令和6年能登半島地震により甚大な被害を受けながらも、2月3日(土)にB3リーグに戻ってきた「金沢武士団(かなざわ・さむらいず)」です。

前半では、金沢武士団・中野社長へのインタビューをお届けいたしましたが、後編ではキャプテン#11・田中翔大選手へのインタビューをぜひお読みください。

金沢武士団キャプテン#11・田中翔大選手

金沢武士団キャプテン#11・田中翔大選手

「七尾市の方たちが背中を押してくれました」――キャプテン#11田中翔大選手

内田:田中選手は災害直後はどのような状況だったのでしょうか?

田中選手:災害当日は大阪の実家に帰省していたので、石川県内にはいませんでした。石川に戻れたのは、発災1週間後でした。僕の家自体は大丈夫だったんですが、物が崩れ落ちていたり断水が続いていたりしました。周辺も、家が崩れていて、道路がぼこぼこになっていました。これまで見たことない状況だったので、驚きましたね。

内田:それは驚いてしまいますよね。

田中選手:自宅に戻って家の中を片付け、田鶴浜体育館での炊き出しに参加しました。避難所にいた地元の方は、自分のこと息子のようにかわいがっていただいていた皆さんです。そこで被災後、顔を初めて合わせました。

内田:田中選手は、語ろう亭ではどういった話を皆さんとされたのですか?

田中選手:ある90歳のおじいちゃんは、ずっとゲートボールをやっていて、また早くやりたいという話をしていました。少しでも早くゲートボールが出来る環境になったら、おじいちゃんの元気な姿見てみたいなって思いましたね。あとは2歳のお子さんがいるんですが、その子はみんなのアイドルです。その子は今回の震災は何もわからない状況だった思うんですけど、元気にあの遊んでる姿を見て、僕も元気に頑張らないといけないなって思いましたね。誰一人、暗い顔はしなかったですし、楽しんでいましたね。こういう企画を考えた中野社長や、語ろう亭の中心スタッフの原島さんは本当にすごいなって思いましたね。なかなか勇気のあることだと思うんですよね避難所でお酒を飲むって。

内田:とてもファンの方を想った取り組みをされているのだなと私も思います。田中選手もレギュラーシーズンが止まってしまった中で、選手としても色々なことを考え過ごしていらっしゃったのではないかと思います。

田中選手:試合がいつ再開するかも分からない状況でしたが、下を向いていては何も始まらないと思って、またいつか再開できた時に、最高のパフォーマンスをお見せ出来るようにと考えていました。僕だけじゃなくて他の選手もそうだったと思います。正直僕たちだけ、好きなバスケットをしていいのだろうかとか、住んでいた家や町を離れて金沢で練習していていいのかなっていう気持ちもありました。ただ七尾市の方たちが背中を押してくれて、頑張って来いと言ってくれたので、前を向いて練習に励むことが出来ました。

内田:そのような地元の方の後押しもあった中での2月3日(土)は、金沢武士団の復帰戦でした。

金沢武士団キャプテン#11・田中翔大選手

金沢武士団キャプテン#11・田中翔大選手

田中選手:対戦相手の岐阜スゥープスさんには、試合を見に来てくれるファンの方用に、七尾市から岐阜までの送迎のマイクロバスを出していただいて、「ダブルホームゲーム」と銘打って、色々なコラボや協力をしていただきました。本当に復帰初戦が岐阜スゥープスさんでよかったなと思いましたね。ファンの方は、本当に沢山の方が試合を見に来てくれました。中には涙する方もいて。普通の世界に戻ってきた感じがして本当に嬉しかった。試合は負けてしまいましたが、それ以上に価値のある復帰戦だったかなと思っています。

内田:久々の試合はどのように感じましたか?

田中選手:本当に楽しめたというか。なかなか勝ててないシーズンだったんです。でも復帰戦の負けは、負けをずるずる引っ張っている時の雰囲気ではなく、やりきった感じがしました。気持ちの面で全員がエナジーを出して戦えたことが何よりだったのかなと思います。

内田:私も試合を観ていて、金沢武士団のひたむきなプレー、ボールを最後まで必死に追いかける姿や、点差がついてもあきらめず声を出し続けている皆さんからバスケットボールへの想いを感じました。1ファンとして目頭が熱くなりました。

田中選手:ありがとうございます。

内田:復興はまだまだこれからという状況だと思います。大変な中と思いますが、残りのシーズンも頑張ってください。ひたむきな金沢武士団のバスケットボールを私も楽しみにしています。

そして最後に、田中選手からこの記事をお読みのあなたへのメッセージをいただきました。

まずは全国各地で公募金活動やご支援ご声援を下さった皆様に感謝をここで申し上げます。震災があって、どれだけ復旧に時間がかかるか分からないです。その中で私たちはバスケットボールが出来る幸せを忘れずにチーム一丸で今シーズン最後まで戦っていきますので応援何卒よろしくお願い申し上げます。

金沢武士団は第18節を終えて、4勝24敗。成績的には上位チームを必死に追いかけている状況ですが、地域のファンの方の想い、そしてバスケットボールへの熱い想いが今選手たち全員から感じられる素晴らしい試合をしています。残り6節となったB3リーグレギュラーシーズン。今この記事をお読みのあなたも一緒に金沢武士団の今後に注目してみてください。

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