日本の対イラン外交「“その時”に備えて独自の関係性を築くべき」 政策アナリスト石川和男が指摘
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2024年2月18日 9時0分
政策アナリストの石川和男がパーソナリティを務めるニッポン放送Podcast番組「石川和男のエネルギーリテラシー」に、中東やイラン情勢に詳しい日本エネルギー経済研究所中東研究センター主任研究員の佐藤佳奈氏がゲスト出演。2月10日までイランに出張で滞在していた佐藤氏が、首都テヘランの近況や日本とイランの関係性について語った。
中東地域では昨年11月以降、各地で親イラン組織とアメリカ軍の武力衝突が相次いでいる。2月7日には、ヨルダンで1月28日にアメリカ軍施設が攻撃された際、アメリカ兵3人が殺害されたことへの2度目の報復措置として、イラク国内で親イラン武装勢力「神の党旅団(カタイブ・ヒズボラ)」の司令官がアメリカ中央軍によって殺害されるなど、緊張が高まっている。
今回、中国やロシアとの結びつきを強めるイラン経済の現状について調査に赴いたという佐藤氏は、滞在した首都テヘランの様子について「すごく落ち着いている。むしろ2020年1月にイラン革命防衛隊のソレイマニ司令官がイラク国内で暗殺された時の方が、治安を不安視する声が多かった」と語った。
また、対立するアメリカとの関係改善について「アメリカ人にとって(1979年のイラン革命で)大使館を襲撃され、自国民が犠牲になったことがトラウマになっている。現政権が当時の襲撃を実行した勢力になるため、そこが生きている限り不可能ではないが相当な交渉が必要」と述べた。一方で、イランとアメリカは第二次世界大戦後、蜜月関係だった時期もあったが「油田の開発などをアメリカ政府や企業が主導する中で、利権もそういったところに渡していくことになった。本来、イラン国民が得られていたはずの利益が得られていないとの不満が募っていった」として。イランにおける反米感情の要因について触れた。
そのうえで、日本との関係性について「イランには四季や自然を楽しむ文化があり、日本との共通点も多い。1920年代に中東から初めて輸入された石油はイラン産だった。現在実行されているアメリカの対イラン制裁が課される前までは輸入していたし、国内にはイラン産の特徴に合わせた製油所が残っている」と指摘。交流のあるイラン政府関係者などからは「日本は独立国家。(対米追従ではなく)独自の外交判断をくだしてほしい」と言われると明かした。さらに、アメリカと湾岸アラブ諸国との軍事的信頼性も崩れつつあると指摘。それらの国々のイランに対する姿勢も変化してきているとした。
佐藤氏は日本とイランのつながりについて「今でも文化的なつながりは制裁の対象ではない。そういったところで細く、長く関係性を維持し、いつか時が来たときに経済的な関係をすぐに再開できるように関係を維持していくことが重要だ」と述べた。
石川は「日本人はアメリカとの関係に関心はあるが、イランなど日本から遠い国、あまり話題にならない国は知らんぷり。イランは人口8000万人を抱える大国で、石油もある。アメリカとイランの関係がいつ好転するかわからない中で、その時に備えて関係をよくしておく努力は必要」と指摘した。
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