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名目GDP、ドイツに抜かれ世界4位も 名目成長率で中国を上回り「伸びしろ」は大きい日本

ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2024年2月19日 17時40分

名目GDP、ドイツに抜かれ世界4位も 名目成長率で中国を上回り「伸びしろ」は大きい日本

元日本銀行政策委員会審議委員でPwCコンサルティング合同会社チーフエコノミストの片岡剛士が2月19日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。世界4位になった日本の名目GDPについて解説した。

※画像はイメージです

2023年の日本の名目GDP、ドイツに抜かれ世界4位に

2月15日に内閣府が発表した2023年10~12月期の国内総生産(GDP)速報値は、物価変動を除いた実質で前の3ヵ月と比べ0.1%減少、2四半期連続でマイナス成長となった。年率換算では0.4%のマイナス。また、2023年1年間の名目GDPは、ドル換算で4兆2106億ドルとなり、ドイツに抜かれ世界4位となった。

インバウンド効果や特許権等の使用料の拡大による輸出の増加が弱く、全体としてはマイナス成長に

飯田)「4位になった」とわざわざテロップ付きで速報を出したテレビ局もありましたが、どう見たらいいのでしょうか?

片岡)順位付けにはあまり意味がないのですが、まずGDPの結果から言うと、足元の10~12月期のGDP自体はマイナス成長になっています。内需はマイナス、外需はプラスといったところで、全体的に内需の弱さが際立っています。もともと輸出などの外需はプラスで、「全体としてはプラスかな」という見通しを立てていました。しかしインバウンド効果や、特許権等の使用料の拡大による輸出の増加が思った以上に弱かったという印象です。

飯田)季節調整済みの実質の数字を見ると、輸出入を差し引いた寄与度は0.2%のプラス。一方、内需全体がマイナス0.3%で、差し引きすると0.1%のマイナスになります。輸出はプラス2.6%だったけれど。

片岡)もう少し増えるかなという読みはありましたが。

公共投資なども奮わず、内需が弱かった

飯田)マーケットの中央値などを見ても微妙にプラスだろうと思っていたけれど、マイナスになった衝撃はあったのでしょうか?

片岡)ただ、前期比マイナス0.1%なので、ほとんど誤差の範囲内だと思います。底打ちベースなので、例えば消費や設備投資などが上方に改定されれば、またプラス成長になるかも知れない。微妙な結果だったと思います。ただ、内需が弱いということです。

飯田)民間需要もそうですし、今回は公的需要も寄与度マイナス0.1%でした。

片岡)公共投資なども奮わなかったですね。

30年間、名目GDP、国民全体の所得の総額がほとんど横ばいで、賃金も変わらなかったことが問題

飯田)名目の成長だと上がっているところがあるので、「物価の影響が大きい」と見る向きもありますが、いかがでしょうか?

片岡)確かに物価の影響は大きいと思います。ただ、ドル換算で見た名目GDPがドイツに抜かれたという話でしたが、日本人はほとんどドルの世界では生きていないので、別段心配することはないと思います。

飯田)円建ての世界で生きていますからね。

片岡)また、名目GDPの成長率は、水準で見るとドイツに抜かれましたが、足元の伸びは5.7%であり、中国の名目GDP成長率を上回っています。物価上昇の嵩上げはありますが、中国以上に名目GDPが伸びてきており、伸びしろは大きいですよね。

飯田)伸びしろは大きい。

片岡)なぜ名目GDPの水準がドイツに抜かれて4位になったかと言うと、過去30年間の長期停滞の影響が大きいのです。1990年代の初頭など、バブル崩壊前では世界ナンバー2の位置付けでした。しかし2010年辺りから中国に抜かれて、今回ドイツに抜かれた。なぜかと言うと、30年間ずっと名目GDP、つまり国民全体の所得総額がほとんど横ばいで賃金も変わらなかった影響があり、この問題を問うべきだと思います。

リーマンショック時も日銀だけ金融緩和を行わず、価格がまったく動かない経済になってしまった

飯田)過去30年間、「生産性が悪い」という話をよく聞きましたが、生産性とは何なのですか?

片岡)生産性というのは、人が同じ労働や設備投資などを投入して、どれくらいアウトプットが出せるかという指標です。日本の30年間の停滞を特徴付ける1つの要因はデフレです。バブル崩壊後、銀行や資産価格の問題などがずっと解決できず、景気が後退しました。そのなかで一生懸命、財政出動などを行ったのですが、なかなか上手くいかなかった。一方、金融政策ではバブル潰しに加担して、思い切って金利を引き下げるべきときに、それをしなかった。物価も「デフレでいいのだ」というような話も出てきて、2008年にリーマンショックが起きた。ここでも世界的に金融緩和が行われたけれど、日銀だけが金融緩和をしませんでした。

飯田)そうでしたね。

片岡)円高も進み、企業も外に出ていくなかで停滞が長期化し、日本経済の価格がまったく動かなくなった。価格を上げて売り上げを高め、付加価値を上げて生産性を高めるという、企業が普通に行っていることができない社会になってしまった。それが30年間の停滞における最大の特徴です。

4月に利上げを行う、ないしは金融緩和策をやめるというコンセンサスが形成されているのが現状

片岡)2013年辺りからアベノミクスという形で、長期停滞を財政政策、金融政策、成長戦略の「3本の矢」で取り戻そうという試みがなされました。成果はあったものの、やはりまだ完全には取り戻せていません。2023年辺りから各国のインフレ率が上がってきて、日本もグローバルインフレの影響を受けるようになりました。原材料価格が上がり、インフレ率も高まって、企業は防衛的に賃金を引き上げた。そのなかで設備投資や消費を少しずつ改善するような動きになりました。

飯田)弱いながらも。

片岡)雇用が改善し、賃金や株価、物価も上がり、所得と支出の好循環の半分くらいがようやく改善してきたのがいまの状況です。総需要が強ければ所得や支出が増え、物価が上がる形で好循環が回っていくため、2%の物価安定目標を達成できそうな流れになっていますが、足元では「総需要が弱い」という結果になりました。しかし、日銀や政府のなかでは4月に利上げを行う、ないしは現行の金融緩和策をやめるというコンセンサスが何となく形成されている。市場もそれを期待するような雰囲気があるのが現状です。

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