ウクライナ情勢の「現状維持」を望む中国の思惑
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2024年2月20日 12時5分
「烈士記念日」の式典に臨む中国の習近平国家主席(左)=30日、北京の天安門広場(共同)
戦略科学者の中川コージが2月20日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。中国の今後の外交リソースについて解説した。
中国の王毅外相がロシアへ武器を売却しないと述べる
中国の王毅共産党政治局員兼外相は2月17日、訪問先のドイツでウクライナのクレバ外相と会談し、ロシアによるウクライナ侵攻を協議した。中国は紛争地域や当事者に殺傷力のある武器を売却しないと伝えた。
飯田)王毅外相はミュンヘン安全保障会議に出席しており、そのタイミングに合わせて行われました。
ウクライナ情勢は現状が維持された方が欧米の外交資源を削ぐことができ、中国にとって得
中川)時事通信の記事を見ると、このように書かれています。
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『王氏は会談で、紛争解決へ向けた「対話」促進を訴え、中国は早期停戦のために「建設的な役割」を果たし続けると伝えた』
~『時事通信』2024年2月19日配信記事 より
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中川)しかし、他の報道では、「和平交渉はこのタイミングではない」ということを強調しているのです。そのように重きが置かれているということは、従前通り、中国としては諸外国、特に米国や欧州諸国がウクライナ情勢に外交資源を取られてくれた方がいい。むしろ和平を目指すよりも、「現状が維持された方が得だ」と天秤にかけた上で考えているのです。
飯田)なるほど。
中川)これはもともとやっていたことです。和平に傾くのか、もしくはミスリーディング戦略、つまり他国の外交リソースを消耗させるなど、どちらに転んでもいい形にしていました。少なくとも現状では、まだ和平よりも他国の外交リソースを削いだ方がいいという考えになるので、決して「自分たちでは和平の話はできないから」というだけではないのです。もちろん、できるかできないかで言えば、まだ中国にできないのは間違いありませんが、消極的理由よりも、積極的に和平を目指す方針ではないのだと思います。
北朝鮮の武器売却によってロシアから軍事技術が入ることを中国が許す理由
飯田)ロシアへの武器売却というと、北朝鮮が武器を相当売却しているという話があります。中国がこのような姿勢を示すことで、北にも「お前らもやめろよ」という形になるのでしょうか?
中川)ロシアから北朝鮮に対し、軍事的な技術が入るのを中国はよしとしません。軍事技術が上がれば、北朝鮮の対北京に関する交渉力が上がってしまいます。小型狂犬が大型狂犬化してしまうので、それはやめて欲しい。一方で、その方が対日・対米の関係において、台湾と北に関する両方のリソースを削げることになります。
飯田)二正面作戦を強いることができる。
北朝鮮が軍事技術をつけることで日米に二正面作戦を強いることができる
中川)この数年は米軍や自衛隊も含め、だんだんと台湾にシフトし始めた現状があります。しかし、再び北に対してもリソースを割くことになるので、ベースとしては北に力を付けて欲しくはないけれど、二正面作戦を強いるという意味では、北京にもメリットがあるのです。そのバランスを考えると、むしろ狂犬化してくれた方がいいので、黙認している状況なのだと思います。少なくとも本気で嫌なら本気で止めにくると思いますが、決してそのような感じには見えません。しかし、ベースとしてはOKではないはずなので、おそらくはそのような計算が働いているのでしょう。
飯田)中国なりに、どこかでリミットの線があり、まだそこまでは行っていない。天秤がそこまで振れていないのでしょうか?
中川)「より狂犬、マッドマンであった方が対米・対日ではいいだろう」と踏んでいるのだと思います。
ウクライナ、東アジアに対する外交リソースは割かず、中南米と東南アジアへホットな視点を向けている
飯田)ウクライナに対してもリソースは割かず、現状維持でよい。東アジア、朝鮮半島もいまのところはこのままでよい。では、外交パワーのようなものは別のところに使っているのですか?
中川)そうですね。ウクライナ、ロシアに対して現状維持をさせておきながら、基本的には中南米、中東、東南アジアへの外交リソースを割くというのが、ウ露戦争が始まって以降の一環した流れです。中東に関してはイスラエルとハマスの紛争が始まってしまったので棚上げだと考えると、それ以外のパワーは中南米、東南アジア諸国連合(ASEAN)の辺りに最も力点が置かれると思います。アフリカはいままで通りです。17日にもアフリカ連合の会議に習近平さんが祝電を送っており、アフリカに対しては磐石だという感覚でしょう。東アジアもこのような状況なので、対米・対日では「ステータスクオ」を狙うのだと思います。
飯田)現状維持を。
中川)中南米と東南アジアは、彼らが最もホットな視線を向けているところです。中央アジアについては、G7広島サミットのタイミングで「中国・中央アジアサミット」を開いたので、ある程度は安定した。そう考えると圧倒的に東南アジア、中南米が力点だと思います。
飯田)2024年のG20議長国はブラジルでもありますね。
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