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日本のAUKUS参画を期待しつつも「中国に配慮」するオーストラリアの事情

ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2024年2月20日 17時40分

日本のAUKUS参画を期待しつつも「中国に配慮」するオーストラリアの事情

戦略科学者の中川コージが2月20日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。オーストラリアが日本に期待を示したAUKUSへの参画について解説した。

2023年9月9日、日豪首脳会談~出典:首相官邸HPより(https://www.kantei.go.jp/jp/101_kishida/actions/202309/09g20.html)

2023年9月9日、日豪首脳会談~出典:首相官邸HPより(https://www.kantei.go.jp/jp/101_kishida/actions/202309/09g20.html)

オーストラリアの副首相兼国防相が日本に対しAUKUSへの参画に期待を示す

オーストラリアのリチャード・マールズ副首相兼国防相は2月18日までに、アメリカ、イギリス、オーストラリアの安全保障枠組みAUKUSの第2の柱である極超音速兵器や人工知能(AI)などの共同開発について、将来的な日本の参画に期待を示した。

飯田)「第2の柱」とありましたが、第1の柱は原潜の導入であり、ここへの関与は否定しています。

トップを出さず、中国にも配慮しながら日本とも連携を進めるオーストラリア

中川)いわゆる日本のメディア的な見出しで言うと、「中国を念頭に」というところが当然あります。出張ってくる中国をどう押さえ込むのか考え、AUKUSやクアッドなど、いろいろな枠組みがあるのでしょう。今回はAUKUSの話ですが、これについて中国はそれほど過剰に反応していません。

飯田)そうなのですね。

中川)発表したのも副首相兼国防相なので、序列の意識が染み付いている中国からすると、「トップが言わなければいい」というところがあります。その辺りはオーストラリア側もわかった上でやっているのだと思います。日本と具体的に詰めるため、両方に配慮しながら行う。中国に配慮しているのは、むしろオーストラリア側だと思います。最近は貿易も再開され、中国とは雪解けムードです。経済事情なども考え、オーストラリア側としても中国に対し「トップではない」と言い訳できる。日本とも「連携を含めて」というところがあるのだと思います。

クアッドが報道されない2つの理由

飯田)最近、あまりクアッドのニュースが出てこない気もします。

中川)インド外務省が毎年、定期的なレポートを出しています。そのなかでクアッドの扱いはありますし、日本との関係において、クアッドがコンテクストとして語られる場面も多い。決してインド側が忘れたわけではないでしょうし、重視しているところもあると思います。

飯田)重視している。

中川)具体的な協力ベースの報道があまり出てこない理由の1つに、モディ首相と個人的な関係があった安倍元首相を失った影響があると思います。また、総選挙が近いので構っていられないところもある。この2つの理由から、あまりクアッドの話が出てこないのではないでしょうか。

中国は東側だけに干渉の度合いを高めているわけではない

飯田)AUKUSにしても念頭に置くのは中国ですし、そうすると「南シナ海が」という方向になります。台湾との関係のなかで、金門島周辺で漁民の方が亡くなったという話もありました。中国としては、あの辺りにプレッシャーを掛けているのですか?

中川)中国から見て東側、つまり対日・対米という条件において、確かに日本にいるとその辺りの情報が大きく扱われますが、中国を中心にいろいろなところが問題を起こしているわけです。そのなかのワン・オブ・ゼムにすぎません。

飯田)たくさんあるなかの1つにすぎない。

中川)彼らが東側に干渉の力点を置いているというよりも、いままで通り干渉する度合いは高いけれど、均衡のもとに動いており、ハードルを一気に上げたとか急加速させたようなところは見えません。冷静に見なければいけないと思います。

内政が忙しく、大幅な変化を望まない各国

中川)また、インドネシアの大統領選挙や、台湾でも総統選挙がありました。インドも2024年に総選挙があるので、各国内政が忙しいのです。中国も反腐敗や国家安全の動きから見えるように、近年はグローバルより内政を重視する傾向にあります。毎年2月になると中央一号文件という文書が出るのですが、ここでは「三農(農業・農民・農村)」問題が語られていました。

飯田)三農問題。

中川)三農問題については2004年から20年近く、中央一号文件で語られているのです。中国の頭には、あくまでも「農業政策」があります。我々からすると「外交」ばかりが見えますが、内政や農民、腐敗という極めて前世代的な問題をまだ引きずっており、ドラスティックに外交環境を変えられるだけの能力はありませんし、そこまで求められるような状況ではない。それが前提としてあります。インドはあのような状況ですし、アメリカも大統領選があるので、いま各国は大幅な変化を望んでいないところがあります。

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