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「トランプ氏再選」になればブリンケン氏の努力は今年だけのもの 米国務長官が南米歴訪

ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2024年2月21日 17時40分

「トランプ氏再選」になればブリンケン氏の努力は今年だけのもの 米国務長官が南米歴訪

ジャーナリストの佐々木俊尚が2月21日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。米ブリンケン国務長官の南米歴訪について解説した。

米中西部アイオワ州デモインで、同州共和党員集会で勝利したトランプ前米大統領 2024年1月15日(ロイター=共同)

米中西部アイオワ州デモインで、同州共和党員集会で勝利したトランプ前米大統領 2024年1月15日(ロイター=共同)

米ブリンケン国務長官が南米歴訪

アメリカのブリンケン国務長官は2月20日からブラジルとアルゼンチンを訪問する。両国指導者との会談の他、ブラジルが議長国を務めるG20外相会議に出席する。

飯田)今年(2024年)のG20はブラジルが議長国です。日本からも上川大臣が20日未明に出発しました。

イスラエルのガザ侵攻で崩れる「西側諸国対ロシア」の構図

佐々木)アメリカの立場は難しくなっています。ウクライナ侵攻をめぐって、「ロシア・中国vs西側諸国」というような構図になっている。南米やアフリカ、東南アジアなどのグローバルサウスと言われる国が若干、中立寄りだったので、そこをG7寄りに引き込もうというのがアメリカの戦略でした。しかし去年(2023年)10月、ハマスとイスラエルの間で対立が起きた。もともとはハマスがイスラエルを襲撃し、それにイスラエルが対抗してガザに戦争を仕掛けるという事態でしたが、そこから「西側諸国対ロシア」という構図が崩れてきてしまったのです。

飯田)そうですね。

佐々木)もちろん、イスラエルがハマスの攻撃に対して反撃するのは正当だと思うけれど、やり過ぎて何万人も亡くなり、しかも大半が女性や子どもです。国際社会のなかではイスラエルに対する批判が高まっています。それでもアメリカ国内にユダヤ人がたくさんいることもあり、イスラエルに対する支持は決して覆せない状況がある。先日、アルジェリアが国連で停戦決議案を提出しましたが、アメリカが拒否権を行使して否決されました。日本は賛成しましたが、アメリカは4回拒否権を発動しているのですよね。

アメリカへの批判が強まるなか、どこまでG20諸国のウクライナ支援を取り付けられるか

佐々木)「アメリカはあれだけ人を殺しているイスラエルの味方をするのか」という批判が、いま国際社会のなかで高まっています。停戦決議案の否決に対して、ロシアの国連大使が「アメリカの拒否権によって多くのガザ住民の運命が破滅に追いやられる」と批判しています。「あなたには言われたくない」という感じですが。

飯田)ウクライナで同じことをしているのに。

佐々木)でも明らかにアメリカの分が悪く、ロシアの批判の方が正しく見えてしまう。ウクライナ問題で逆転し、アメリカへの批判が高まっている状況で、ウクライナへの支援自体もだんだん揺らいでいます。南米やアフリカなどの支援も取り付けられない可能性もある。そのため、ここでブリンケン氏がG20に出席し、南米に行くことが大事なのでしょう。イスラエル問題にしても、ウクライナ問題にしても、「どこまでG20諸国の支援を取り付けられるのか」が重要なポイントになります。一方で難しいのが、ブリンケン国務長官はいまのバイデン政権の国務長官、いわゆる外務大臣なわけです。

トランプ氏再選になればブリンケン氏の努力は今年いっぱいしか有効にならない

佐々木)11月には大統領選挙があります。少し前までは「もしトラ(もしトランプ氏が大統領になったら)」と言われていましたが、最近は「ほぼトラ」などと言われていて、ほぼトランプ大統領になるのではないかと予想されています。

飯田)ほぼトラ。

佐々木)世論調査では、トランプ氏がバイデン氏を上回る数字が出ている状況です。11月にもしトランプ氏が大統領になったら、来年(2025年)はトランプ氏の年になります。トランプ氏は明らかにプーチン寄りなので、ウクライナへの支援をやめるのではないかと言われています。そうなるとブリンケン氏の努力は、一生懸命頑張っても今年いっぱいしか有効にならないのです。それに一体何の意味があるのでしょうか。

トランプ大統領になった場合、日本は韓国とともに自分たちでロシア・北朝鮮・中国と対峙しなければならなくなる

飯田)大統領選もあるからアメリカは内向きになっていくでしょうし、国際社会に対してコミットしなくなるかも知れない。

佐々木)北朝鮮に関しても、金正恩氏とトランプ氏は2回首脳会談を行っており、距離が近いですよね。台湾問題もあります。「トランプ氏は国外の問題にコミットしなくなるのではないか」という空気が国際社会全体に広がってくると、NATOはNATOで、アメリカ抜きでウクライナを支援するしかなくなる。

飯田)アメリカ抜きで。

佐々木)日本は日本で、ようやく韓国が保守政権になり、日本やアメリカと協調するようになった。そのため何とか日本と韓国で踏みとどまり、ロシア・北朝鮮・中国と対峙する。東アジアの火薬庫状態になっている状況で、我々自身が自分たちを守るしかないと思います。そうなると日本でも「核武装議論」が起こるかも知れません。韓国では既に盛り上がっていますが、日本でも盛り上がる可能性があります。来年はかなり血生臭い感じになりそうですね。

それでもアメリカやヨーロッパに比べれば「マシな状況」の日本

飯田)議論を尽くしたなかで選択できればいいのですが、熱狂のなかで行われる可能性が怖いですね。

佐々木)ヨーロッパはいま、移民が増えすぎたおかげで反移民運動が盛り上がり、極右勢力が力を伸ばして右派ポピュリズム政権ができそうな状況です。アメリカではトランプ氏が大統領になるかも知れない。かなり民主主義的な根幹が揺らいでいるのだけれど、日本はかろうじて踏みとどまっている。自民党および岸田政権の支持率は下がっていますが、一方で野党が受け皿になっていない問題があり、世論調査によると野党も与党も揃って支持率を落としていて、無党派層が増えているだけです。結果的に岸田さんはあれだけ支持率が低いけれど、政権続投の可能性が極めて高い状況になっている。

飯田)不思議ですよね。

佐々木)「それはどうなのか」という話ですが、とりあえず政治の安定性は持続しそうです。これをいいと言っていいのかわかりませんが、アメリカやヨーロッパに比べれば「よりマシな状況」ではあるのです。

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