追悼・山本陽子さん 清楚系から悪女まで、昭和を代表する大女優
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2024年2月23日 17時50分
![追悼・山本陽子さん 清楚系から悪女まで、昭和を代表する大女優](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/nipponhoso/nipponhoso_497333_0-small.jpg)
女優・山本陽子 撮影場所:東京都港区六本木 撮影日 2006年01月24日 写真提供:産経新聞社
【Tokyo cinema cloud X by 八雲ふみね 第1162回】
シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信する「Tokyo cinema cloud X(トーキョー シネマ クラウド エックス)」。
![女優・山本陽子 撮影場所:東京都港区六本木 撮影日 2006年01月24日 写真提供:産経新聞社](https://news.1242.com/wp-content/uploads/2024/02/10000000000000099899_20240223145021510041_P120306723467RS.jpg)
女優・山本陽子 撮影場所:東京都港区六本木 撮影日 2006年01月24日 写真提供:産経新聞社
2月22日、女優の山本陽子さんが死去したとのニュースが流れました。
日活ニューフェイスとして芸能界入りしてから、60年以上にわたって映画・ドラマ・舞台で活躍。今月初めにもテレビ番組に出演されて、同じく日活スターの高橋英樹さんと共に元気な姿を見せてらっしゃっただけに、突然の訃報には驚くばかりです。
そこで今回は、山本陽子さんの代表作とともに、正統派女優の魅力に迫ります。
![山本陽子(女優)=1970年 写真提供:産経新聞社](https://news.1242.com/wp-content/uploads/2024/02/10000000000000099880_20240223144838170682_P120306650625RS.jpg)
山本陽子(女優)=1970年 写真提供:産経新聞社
艶やかでエレガント、美貌の演技派女優
日本を代表する大女優として、映画・ドラマ・舞台に幅広く出演。60年以上にわたり、第一線で活躍されてきた山本陽子さん。
上品な和服姿が印象的ですが、実は80代を迎えても、変わらずデニムを颯爽と履きこなすオシャレ美人でもありました。これがまた、シャープでスタイリッシュで。「こんな風に歳を重ねられたらいいな……」と憧れを持つ方も多かったのではないでしょうか。
そして山本陽子さんと言えば、山本海苔店。1967年以降、なんと57年間もイメージモデルを務め、2010年には「専属タレント契約の世界最長記録」としてギネスに認定されたという経歴を持ってらっしゃいます。
そんな山本陽子さんの映画出演作で印象深いのが、『華麗なる一族』(1974年)や『八つ墓村』(1977年)。両作品とも、当時の日本映画界に君臨する大スターがズラリと並ぶ超話題作。錚々たる顔ぶれの中でも引けをとらず、華やかな存在感を放っていました。
そして山本陽子さんを語るにおいて外せないのが、やはり「黒革の手帖」です。
![黒革の手帖 / デジタル配信中 / 提供:松竹 / (C)松竹 ※2024年2月時点の情報です](https://news.1242.com/wp-content/uploads/2024/02/02RS-5.jpg)
黒革の手帖 / デジタル配信中 / 提供:松竹 / (C)松竹 ※2024年2月時点の情報です
1982年に製作されたドラマ「黒革の手帖」は、ベストセラー作家・松本清張の代表作を映像化したピカレスク・サスペンス。
山本陽子さんが演じたのは地味な銀行員から一転、架空預金者のリストが書き込まれた“黒革の手帖”を武器に、野望と愛欲が渦巻く夜の銀座で成り上がっていく主人公・原口元子。
芸能界入りする前は、証券会社に勤務していたという山本さん。元銀行員という役どころは、ある意味ピッタリだったかもしれませんね。
特筆すべきは、OLから“夜の蝶”へ、その鮮やかな変身ぶり。化粧っ気のない装いも、それはそれでお美しいのですが、クラブのママへと転身してから放つ輝きは圧巻。妖艶な中にも可愛らしさを秘め、なおかつ貫禄も感じさせる。男性を一瞬にして虜にしてしまうのも納得の名演をみせています。
山本陽子さんが出演した数多くのドラマ・映画出演作の中でも、間違いなく視聴者の記憶に残る一作です。
清楚系から悪女まで、幅広いキャラクターを演じてきた山本陽子さん。スクリーン映えする美貌はいつの時代も変わりなく、作品の中で生き続けることでしょう。
謹んで、山本陽子さんのご冥福をお祈り申し上げます。
![(C)2019「ソローキンの見た桜」製作委員会](https://news.1242.com/wp-content/uploads/2024/02/03RS-5.jpg)
(C)2019「ソローキンの見た桜」製作委員会
いま、観るべき!山本陽子さん 近年の出演映画
■『無限の住人』
沙村広明原作の人気時代劇コミックを実写映画化した、時代劇アクション・エンタテインメント。
山本陽子さんが演じたのは、主人公・万次を不死身の身体にしてしまう謎の老婆、八百比丘尼。800年生きているという役どころで、ミステリアスかつ年齢不詳な魅力は必見です。
■『ソローキンの見た桜』
日露戦争中、ロシア兵捕虜収容所で恋に落ちた日本人看護師とロシア将校。数奇な運命を辿った2人と、その子孫が巡る“絆”の物語。
現代のパートで、主人公・高宮桜子の祖母を演じた山本陽子さん。明治時代と現代をつなぐ重要なキャラクターを、確かな演技力で体現しています。
<作品情報>
■華麗なる一族(1974年公開)
監督:山本薩夫
原作:山崎豊子
出演:佐分利信、月丘夢路、仲代達矢、山本陽子、目黒祐樹、中山麻理、酒井和歌子、田宮二郎、香川京子、京マチ子 ほか
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■八つ墓村(1977年公開)
原作:横溝正史
脚本:橋本忍
監督:野村芳太郎
出演:萩原健一、小川真由美、田中邦衛、夏八木勲、藤岡琢也、山﨑努、山本陽子、渥美清
Blu-ray&DVDリリース デジタル配信中
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![黒革の手帖 / デジタル配信中 / 提供:松竹 / (C)松竹 ※2024年2月時点の情報です](https://news.1242.com/wp-content/uploads/2024/02/02RS-5.jpg)
黒革の手帖 / デジタル配信中 / 提供:松竹 / (C)松竹 ※2024年2月時点の情報です
■黒革の手帖(1982年製作)
原作:松本清張
脚本:服部佳
出演:山本陽子、田村正和、渡辺美佐子、萬田久子、小沢栄太郎、吉行和子、井上孝雄、黒田福美、白川由美、ハナ肇、三國連太郎
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■無限の住人(2017年公開)
監督:三池崇史
原作 : 沙村広明「無限の住人」(講談社『アフタヌーン』所載)
出演:木村拓哉、杉咲花、福士蒼汰、市原隼人、戸田恵梨香、北村一輝、栗山千明、満島真之介、金子賢、山本陽子、市川海老蔵、田中泯、山﨑努
配給:ワーナー・ブラザース映画
(C)沙村広明/講談社 (C)2017映画「無限の住人」製作委員会
Blu-ray&DVDリリース
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![(C)2019「ソローキンの見た桜」製作委員会](https://news.1242.com/wp-content/uploads/2024/02/03RS-5.jpg)
(C)2019「ソローキンの見た桜」製作委員会
■ソローキンの見た桜(2019年)
監督・脚本・編集:井上雅貴
原案:青山淳平
原作:田中和彦
脚本:香取俊介
音楽:小野川浩幸
出演:阿部純子、ロデオン・ガリュチェンコ、山本陽子(特別出演)、アレクサンドル・ドモガロフ、六平直政、海老瀬はな、戒田節子、山本修夢、藤野詩音、宇田恵菜、井上奈々、杉作J太郎、斎藤工、イッセー尾形
DVD(通常版)発売中
発売・販売元:アミューズソフト
価格:4,180円(税込)
(C)2019「ソローキンの見た桜」製作委員会
連載情報
![](https://news.1242.com/wp-content/themes/news1242_PC/img/prof_cinema.jpg)
Tokyo cinema cloud X
シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信。
著者:八雲ふみね
映画コメンテーター・DJ・エッセイストとして、TV・ラジオ・雑誌など各種メディアで活躍中。機転の利いた分かりやすいトークで、アーティスト、俳優、タレントまでジャンルを問わず相手の魅力を最大限に引き出す話術が好評で、絶大な信頼を得ている。初日舞台挨拶・完成披露試写会・来日プレミア・トークショーなどの映画関連イベントの他にも、企業系イベントにて司会を務めることも多数。トークと執筆の両方をこなせる映画コメンテーター・パーソナリティ。
八雲ふみね 公式サイト http://yakumox.com/
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