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米連邦最高裁の判断によって、大混乱に陥る可能性もある「米大統領選」

ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2024年2月27日 17時40分

米連邦最高裁の判断によって、大混乱に陥る可能性もある「米大統領選」

演説するトランプ前大統領(アメリカ・サウスカロライナ州ロックヒル)

ジャーナリストの須田慎一郎が2月27日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。米大統領選に向けた共和党の候補者選びについて解説した。

演説するトランプ前大統領(アメリカ・サウスカロライナ州ロックヒル)=2024年2月23日 EPA=時事 写真提供:時事通信

演説するトランプ前大統領(アメリカ・サウスカロライナ州ロックヒル)=2024年2月23日 EPA=時事 写真提供:時事通信

アメリカ大統領選挙の共和党候補者争いをめぐり、大口献金団体がヘイリー候補への資金提供を停止か

11月のアメリカ大統領選挙に向けた野党・共和党の候補者選びで、トランプ前大統領と争うヘイリー元国連大使について、アメリカの複数のメディアは選挙戦を支援してきた大口献金団体が資金提供を停止することを関係者に伝えたと報道した。

飯田)資産家のチャールズ・コーク氏が支援していました。

ヘイリー氏が期待するトランプ氏への米連邦最高裁判所の判断 ~立候補資格が認められるかどうか

須田)草の根保守を応援してきた人たちがヘイリー氏を支援していたわけですが、支援を打ち切りました。選挙資金を確保するのは厳しくなりましたが、スーパーチューズデーまでは何とか戦っていくようです。しかし、ヘイリー氏には1つ期待しているところがあります。

飯田)期待。

須田)米連邦最高裁判所の判断です。2021年の議会襲撃事件を受け、コロラド州の最高裁はトランプ氏に対し、コロラド州予備選への出馬資格を認めない判断を下した。「国家に対する反乱・暴動に関わった者の官職就任を認めない」という合衆国憲法修正第14条第3項は、「大統領にも適用される」と判断したのです。もちろん、トランプ陣営は反発して連邦最高裁に持ち込みましたが、その判決がどんな形で出てくるのか。しかも、トランプ側の主張は「合衆国初代大統領とトランプ氏は例外である」という、非常に不可思議な理論を展開しているのです。

大統領は公職に含まれないと主張するトランプ氏

須田)アメリカでは憲法遵守規定を宣誓する必要があるのですが、トランプ氏は実業家から公職である大統領になったため、遵守規定を宣誓していないのです。そういった意味では例外です。もちろん大統領職がなかった初代ジョージ・ワシントン大統領は、宣誓せず大統領になっています。普通は州議会議員や国会議員になったとき、あるいは政府高官になったときに宣誓するのですが、宣誓していません。

飯田)就任式で聖書に手を当てていた宣誓は、憲法を遵守するための宣誓ではないのですね。

須田)そうです。しかし、それで「大統領は公職ではない」という珍説が成り立つのかどうか。

連邦最高裁判所の判断を見極めた上で今後の選挙戦の展開を考えるニッキー・ヘイリー氏

飯田)それだと、当時出した大統領令の正当性にまで疑問符がついてしまいますよね。

須田)法律の専門家からすれば、そのようなことは認められない。トランプさんが判事に任命した人が何人もいて、保守派が過半数以上を占める連邦最高裁判所ですが、さすがにそのような判断は下せないと思います。場合によっては数週間以内に結果が出ますが、そのような判決が下されたら大混乱に陥るでしょうね。おそらくニッキー・ヘイリー氏はその辺りを見極めた上で、選挙戦の展開を考えているのです。

飯田)撤退するかどうかも含めて。

米連邦控訴裁判所もトランプ氏の免責特権を認めず

須田)コロラド州の最高裁判所はトランプ氏に関し、コロラド州予備選への出馬資格を認めないという判断を下しました。当然、それを不服とし、トランプ陣営は連邦最高裁判所に持ち込みましたが、その前に「控訴は適切なのかどうか」と連邦控訴裁判所に持ち込んだのです。これは時間稼ぎだったのですね。しかし、控訴裁判所も大統領の免責特権を認めず、2020年の大統領選の結果を覆そうと企てた罪で「起訴され得る」との判断を下した。

ブッシュ対ゴア連邦最高裁判決

飯田)そうなると、今度はヘイリーさんしか候補がいなくなる可能性もありますか?

須田)あります。ヘイリー氏はその1点に賭けているのです。ただ、コーク氏が撤退したということは、連邦最高裁も認めないのではないかと思いますが、これは禍根を残します。大統領選挙によって禍根を残した過去のケースに、ブッシュ対ゴア事件があります。当時も連邦最高裁に持ち込まれたのですが、これはこの件だけに限ります。なぜならアメリカの裁判制度は判例法主義であり、判例の積み重ねですから、「その件だけに限る」となると、これはこれで法学者などの批判を浴びるのです。

飯田)「判例として積み上がらない例外をつくってどうするのだ」ということですね。法の例外をつくることになる。これが判例として積み上がってしまうと、今度は宣誓を拒否して逃げ回る人たちがたくさん出てくるかも知れない。

須田)そうです。だから非常に悩ましいのです。

飯田)行政が全部成り立たなくなる可能性もありますよね。

先送りになる可能性も

飯田)素朴な疑問ですが、アメリカは大丈夫なのですか?

須田)認めない方向になっても大混乱です。

飯田)「司法が公正な大統領選挙を妨害しているではないか」と言われかねない。

須田)暴動が起きますよ。

飯田)その瀬戸際が、もう数週間後に迫っているのですね。

須田)日本ではこういったことがまったく報道されていません。

飯田)「裁判で揉めているけれど、穏当に“バイデン対トランプ”の選挙戦になるのだろうな」というイメージでしたが、どうなるかわからないのですね。

須田)連邦最高裁判所が穏当な形で行うとすると、判断は下せません。先送りもあり得ると思います。

飯田)グレーなままで選挙が続いていく。いずれにしても何か釈然としないですね。

須田)どちらに転んでもすっきりしない状況になる。それだけアメリカの民主主義が危機を迎えているのです。どう乗り越えていくのか興味深いですが、何らかの形で民主主義の危機を必ず乗り越えると思います。

トランプ氏が大統領になれば、世界情勢が一気に変わる

飯田)しかもハレーションは国内だけでなく、同盟国を含めてみんな被りますよね。日米同盟はどうなるのでしょうか。

須田)トランプ氏が大統領になれば、中国に対して厳しいスタンスを取るでしょうから、かなりの摩擦と混乱が予想されます。また、ロシアとの関係強化に動けば、世界情勢が一気に変わる可能性があります。

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