国民保護のシェルター整備、避難訓練の実情 「日本では政治的な環境が整わないと、進まない」専門家が指摘
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2024年2月27日 18時5分
危機管理学が専門の日本大危機管理学部教授の福田充氏が2月27日、ニッポン放送「辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!」に出演。武力攻撃の際などに避難するシェルターの整備や避難訓練そのものが日本では進んでいないことを解説し、「日本では政治的な環境が整わないと、進まない」と指摘した。
自民党の石破茂元幹事長は26日、衆院予算委員会で約1年ぶりに岸田文雄首相に対する質問に立ち、武力攻撃の際などに避難するシェルターについて、「なぜ整備がこんなに遅れているのか」と迫った。また、「整備の主体となる省庁が不明だ」とも指摘した。
福田)世界に目を向けると、民間防衛が強化されて徴兵制度もある永世中立国のスイスでは、シェルターの設置率は100%に近いです。また、アラブ諸国やイスラム原理主義組織ハマスなどと対立するイスラエルや、北朝鮮と休戦状態にある韓国では、シェルターの整備が進められています。しかし、多くの国ではまだまだ広まっていません。日本も同様に整備は遅れています。
日本では2003年、国民保護法ができました。小泉純一郎政権の支持率が非常に高い時期にできた法律です。日本で初めてテロや武力攻撃などに備えて国民を守るための制度をつくることになったのが、ようやく2003年だったわけです。2007年には北朝鮮のミサイルに対する全国瞬時警報システム(Jアラート)を構築していくことになりました。そして初めてミサイルに対する国民保護の避難訓練が実施されたのが2017年です。つまり、10年間ずっと放置されていたという過去があります。
2017年といえば北朝鮮が1年間で発射するミサイルの数が群を抜いて増加した年で、「北朝鮮ミサイル危機」といわれました。安倍晋三政権は国民保護のため、ミサイルに対する避難訓練を全国で行うよう指示を出し、日本中の自治体で避難訓練が実施されました。
ただ、「戦争を煽っているのではないか」といった批判もあり、2018年にはアメリカのトランプ大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記の電撃的な会談が行われたこともあり、避難訓練は中止になりました。その後、日本国内ではミサイルに対する避難訓練はほとんどできていない状況です。
このように2003年以降、武力攻撃などから国民を守る準備は少しずつ進められてきてはいますが、政治的な環境が整わないと、その先に進まないというのが実情です。止まってはちょっと進み、止まってはちょっと進み、ということを繰り返してきているため、時間がかかっているという現状があるのだと思います。
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