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スウェーデンのNATO加盟はプーチン大統領の「オウンゴール」

ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2024年2月28日 17時40分

スウェーデンのNATO加盟はプーチン大統領の「オウンゴール」

テレビ東京・解説委員の山川龍雄が2月28日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。スウェーデンの加盟が決定したNATOについて解説した。

ハンガリーの首都ブダペストで、握手するスウェーデンのクリステション首相(左)とハンガリーのオルバン首相=2024年2月23日(ロイター=共同)

ハンガリーの首都ブダペストで、握手するスウェーデンのクリステション首相(左)とハンガリーのオルバン首相=2024年2月23日(ロイター=共同)

スウェーデンのNATO加盟が決定

スウェーデンの北大西洋条約機構(NATO)加盟承認について、ハンガリー議会は2月26日、関連法案を可決した。NATO加盟国で唯一未承認だったハンガリーの批准手続きが完了し、これで32ヵ国目となるスウェーデンのNATO加盟が決まった。

飯田)去年(2023年)、フィンランドが入り、そしてスウェーデンも加盟が決定しました。

ウクライナ侵略がフィンランドとスウェーデンのNATO加盟を促した

山川)プーチン大統領のオウンゴールですよね。ウクライナ侵攻の理由の1つが「NATOの拡大阻止」だったのに、逆の結果を産んでしまったわけです。特にスウェーデンとフィンランドは「弱者の戦略」と言われますが、どちら側にもつかず「NATOにも入らない」とロシアにアピールすることで、「安全保障は守られる」という考え方でした。しかし、ウクライナが侵攻されたため「中立国などと言っていられない」となり、NATO加盟を急いだわけです。そういう意味では、プーチン氏が求めた結果と逆になりました。

飯田)時代がまき戻ったのか進んだのかはわかりませんが、抑止力に関し「集団的自衛権の枠組みで対応しなければダメだ」という方針に変わったのですね。

スウェーデンがNATOに入ることで、海も空もいままでのように自由に活動できなくなるロシア

山川)特にロシアにしてみると、バルト海は大事な場所だったわけです。バルト海にはカリーニングラードという(ロシアの)飛び地があり、そこを隔てて回廊がある。ベラルーシとカリーニングラードを塞いでしまえば、バルト三国は補給路が絶たれます。バルト三国は常にそれを警戒し、「ウクライナの次は自分たちではないか」と考えたわけです。

飯田)ウクライナの次は。

山川)カリーニングラードはロシアにとって大事な前線基地です。ところが今回、スウェーデンがNATOに加盟した。周辺のバルト三国も含め、近代的な軍事設備を持っているのはスウェーデンであり、潜水艦などの水準も高い。スウェーデンがNATOに入ると、バルト海や周辺の支配権がシフトすることになりますから、ロシアは海でも空でも、いままでのように自由に活動できなくなります。

ロシアにとって痛手となる動きが続いている

飯田)バルト海のいちばん奥にサンクトペテルブルクがあり、その下にバルト三国がある。対岸はスウェーデンで、これを獲られてしまうと、バルト海は完全にNATOの海になるのですか?

山川)そうですね。よく中国の安全保障を考えるとき、日本列島から台湾、フィリピンなどが蓋をしていると言いますよね。

飯田)第1列島線ですね。

山川)中国は秘密裏に「潜水艦が太平洋に行ける航路を確保したい」と言われますが、ロシアにしてみると、バルト海や黒海は重要なわけです。今後はそのバルト海において、かなり自由が制限されますから、ロシアにとって痛手になるような動きが続くことになります。

「ウクライナだけはNATOに加盟させない」という条件のもとに停戦協議が行われる可能性も

飯田)黒海はまさにウクライナとの戦争の最前線でもあるし、出口はトルコがずっと監視しているわけですよね。

山川)ですから、ウクライナは犠牲になってしまっているところがあり、本当に気の毒です。今回はウクライナが犠牲になって、フィンランドやスウェーデンがNATOに加盟した。でも、これだけNATO加盟国が増えたので、「ウクライナだけは絶対にNATOに加盟させない」という条件のもと、いろいろな停戦協議が行われる可能性もあります。

飯田)ロシアがそういう条件を出してくるかも知れない。

山川)バルト海がふさがれると黒海がさらに大事になるので、「黒海だけは絶対に確保する」となる。そういう意味では、「ウクライナの犠牲のもとに他国が結束している」という状態です。

米下院が予算を通すかどうかがウクライナの生命線になっている

飯田)だからこそ、ヨーロッパの支援が大事になりますか?

山川)ヨーロッパはヨーロッパで動いていますが、いちばんの焦点はアメリカです。下院が支援予算を通すかどうか。ここがいま、ウクライナ情勢を考える上で生命線になっています。

飯田)予算に関しては、やはりアメリカ大統領選の行方によりますが、共和党が首を縦に振らない。

山川)共和党内にも「支援した方がいい」という意見の人はいるのですが、やはりトランプ氏にみんな忖度しているわけです。このまま下院で審議が継続して行われない場合は、また別の突破口がありますので、ウクライナへの支援予算が通るかどうかは五分五分だと思います。

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