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「電力システム改革」の“改革”始まる 「あとでだまされたとならないように」政策アナリスト石川和男が警鐘

ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2024年3月2日 9時0分

「電力システム改革」の“改革”始まる 「あとでだまされたとならないように」政策アナリスト石川和男が警鐘

政策アナリストの石川和男が3月2日、自身がパーソナリティを務めるニッポン放送Podcast番組「石川和男のエネルギーリテラシー」に出演。2016年の電力小売り自由化に伴う電力システム改革の見直し議論が始まるのを前に「あとでだまされたとならないように」と需給双方の実態に合わせた見直し議論を求めた。

※イメージ

電力システム改革とは、2016年の電力小売り完全自由化に合わせ政府主導によって行われたもので、それまで地域の大手電力会社が独占していた発電設備や送配電網、電力の小売りを市場へ開放することが主な内容となっている。これにより、電源の多様化や電気料金の値下げ競争、送配電網の拡大などが期待されていた。

しかし、実際には東日本大震災後の原発再稼働が進まないなか、再生可能エネルギーで発電された電気を固定価格で買い取る制度(FIT)の普及で爆発的に太陽光や風力による発電が増えた結果、太陽光や風力で発電できない時間の電力需要のまかない先が火力発電に集中。そこにロシアによるウクライナ侵攻などで、燃料となる原油や石炭、LNG液化天然ガスの価格高騰が起こり、電気代が値上がりする事態を招いている。

石川は現行の電力システム改革が、比較的国際エネルギー情勢が安定していた「平和ボケの時期」に考えられたもので、「『電力システム改革』の改革が急務」だと指摘。また、ゲスト出演したエネルギー経済社会研究所代表の松尾豪氏は、近年活発化している半導体工場やデータセンターの誘致を例に挙げ「北海道と環境がよく似ているアイルランドでは、洋上風力発電の普及によって、安定電源である火力発電にあまり投資してこなかった。そうしたら、最近電力を大量に消費するデータセンターの伸び方がすごいことになってきて、時間帯よっては需要の半分程度がデータセンターだったりする。年間通して、約2割がデータセンター需要で、アイルランドでは今、夏と冬はほぼ漏れなく電力ひっ迫で節電要請をしていて、慌てて緊急設置電源としてガス火力の設置を急いでいる」と明かし、時代によって変化する電力需要への対応と電源バランスの重要性について言及した。

石川は、今後脱炭素社会の実現に向けて原発の再稼働が進まないなか、再生可能エネルギーの主力電源化が進められているとして「風が吹かない日、太陽が照らない日は蓄電池があるじゃないかという声があるが、これには莫大なコストがかかる。まもなく始まる政府の電力システム改革の見直し議論の際には、蓄電のコストも入れた再生可能エネルギーのコストを織り込まなければ、後から高くついて“だまされた”となりかねない」と警鐘を鳴らした。

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