「衛星画像を用いた中国の戦略核戦力増強の現状に関する分析」で判明 「最小限抑止政策」とは違う現実
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2024年3月5日 17時45分
東大先端科学技術研究センター准教授で軍事評論家の小泉悠が3月5日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。東京大学先端科学技術研究センターと笹川平和財団が共同で研究した「衛星画像を用いた中国の戦略核戦力増強の現状に関する分析」について解説した。
東京大学先端科学技術研究センターと笹川平和財団の共同研究「衛星画像を用いた中国の戦略核戦力増強の現状に関する分析」
飯田)「衛星画像を用いた中国の戦略核戦力増強の現状に関する分析」という研究が公開されました。小泉さんが所属する東京大学先端科学技術研究センターと笹川平和財団の共同研究で実施したものです。素人にはただの写真にしか見えませんが、「専門家が分析するといろいろなものが見えてくるのだな」と思いました。
小泉)3月4日に公開されたレポートです。「ただの写真にしか見えない」とおっしゃいましたが、地上に出ているものを見ると、誰が見てもただの写真にしか見えない場合が多いと思います。今回は珍しい取り組みとして、「SAR(合成開口レーダー)」を使ったら違うものが見えるのではないかと思い、レーダーそのものの専門家や中国の専門家、また核戦略の専門家で集まりました。約半年、みんなで揉んでつくったレポートです。
SARによって、テントで覆ったロケットの全部に発射管が入っていることを確認
飯田)SARを使うと、どんなことがわかるのですか?
小泉)電波を使うので、夜や天気が悪いときでも見えます。また、波長にもよりますが、薄いものであれば透過するのです。我々が今回使ったSARの衛星はXバンドという周波数帯を使っているので、薄いものは透過します。中国はミサイル発射管の穴を掘るとき、上にテントをかけるのですが、透過するので「テント内部が見えるのではないか」ということになったのです。
飯田)なるほど。
小泉)テントをつくり、300本くらいミサイル用の穴を掘ったと言われていますが、本当に全部にミサイルの発射管が入っているのか。あるいは攻撃を吸収するための囮が混じっているのかなど、そういう話がずっとあったのです。中国は以前から囮をたくさんつくることで知られているので、「今回はどうなのだろう」と思いました。全部は見ていませんが、サンプルを抽出してみたら、どうも全部に発射管が入っているようなのです。
中国の「最小限抑止政策」とは違う現実が展開されていることが判明
小泉)とすると、本当に300本分のミサイルサイロを掘ったことになります。既存の移動式ICBMも含め、中国のICBM戦力は400~450基超えを目指していると言われています。つまりロシア・アメリカをも上回る世界最大のICBM戦力を持とうとしている。比較的、少数の核兵器で対応してきた中国の最小限抑止政策も「変わってきたのではないか」というような議論になっています。
飯田)もともと「先制核は使わない」と言っていたけれど、最近それが曖昧になってきた。こういう増強の仕方を見ると、「本当にそうなのかも知れない」という可能性を感じますね。
小泉)「先制不使用」の放棄は、必ずしも「いますぐ核を使う」という意味ではありません。ロシアもアメリカもそうは言いながら、核を使っていないわけです。ただ「従来、中国が行ってきた政策との乖離が見られるのではないか」ということが、いろいろな分野の専門家を集め、衛星を使って見えてきたというレポートです。
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