「武器輸出が必要」はウクライナ情勢が証明 公明、戦闘機輸出容認へ意見集約
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2024年3月8日 17時50分
外交評論家で内閣官房参与の宮家邦彦が3月7日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。イギリス・イタリアと共同開発を進めている次期戦闘機の第三国への輸出について解説した。
公明党・高木政調会長、次期戦闘機の輸出容認へ党内の意見集約を図る考え
イギリス・イタリアと共同開発を進めている次期戦闘機の第三国への輸出をめぐり、公明党の高木政務調査会長は、岸田総理大臣の国会答弁で国民の理解は深まっていくとして、容認する方向で党内の意見集約を図りたい考えを示した。
飯田)3月6日の会見で示されました。6日、あるいは5日の予算委員会で質問が出て、国防のためには大事なのだという話をされていました。
武器輸出が必要なことは、ウクライナ情勢で証明された
宮家)これも古くて新しい議論で、昔は、そもそも「武器輸出」自体に問題があるのではないかと言われていました。しかし、今回のウクライナ情勢で証明されたと思うのですが、武器輸出がいけないのではなく、悪い奴に武器を出してはいけない、ということなのです。悪い奴にやられている人たちを助けるため、軍事支援を行うのは当たり前です。それはもちろん政治判断なのですが、それは選挙できちんと責任を問えばいいのです。
英・伊との共同開発で日本だけ「売れない」は許されない
宮家)「軍事に関するものは何も輸出しない」という時代は終わりではないかと思います。特に今回は日本だけでなく、イギリスやイタリアと組んでいい戦闘機をつくろうとしているわけですよね。いいものができれば当然、パートナーは売りたいですよね。それが日本だけ「売れない」となると、友人はできませんよ。
飯田)売れないと言うのなら「2ヵ国でやるよ」となってしまう。
宮家)仲間外れになるだけです。筋を通すために孤立する必要があるなら孤立してもいいと思いますが、こればかりはおかしいと感じました。公明党も良識ある政党ですから、おそらく党内や関係団体と協議した上で徐々に進めるのでしょう。時間が掛かるのは仕方ありません。この報道が正しいのであれば、それは結構なことだと思います。
飯田)5日には公明党の山口代表も、総理答弁に関しては一定の評価をしていたと報道されています。落ちるべきところに落ちていくのかなと思います。
宮家)そう期待したいですね。
アメリカではなく、イギリス・イタリアと組んだことは画期的
飯田)いまはF2戦闘機を使っていますが、かなりベテランのものです。
宮家)F2は、昔「FSX」と言われた日米共同開発の戦闘機です。私は1980年代末にFSXの担当官でしたから、よく覚えています。今回日本があの経れを乗り越えてようやく独自に戦闘機を作る……ただし単独ではダメなので、イギリスやイタリアと組んだのは画期的な試みだと思います。アメリカ一辺倒ではなく、NATO諸国にもウイングを広げた国際協調はあって然るべきだと思うので、私はよかったと思います。FSXのときは本当に大騒ぎでしたが、今回の共同開発は時代の変化を象徴する出来事だと思います。
性能のいい日本製の武器が平和のために使われることは、外交の重要な手段の1つ
飯田)飛行機をつくるとなると、輸出だけでなく訓練、あるいは整備など、いろいろなビジネスが付帯します。
宮家)武器を売るのは「死の商人だ」など、昔はいろいろな議論がありましたが、いまの武器輸出は、いい意味でも悪い意味でも、諸外国に対して影響力を及ぼすための1つの手段でもあるわけです。アメリカや中国、ロシアはそれを外交の手段として使っています。日本が同じことをやるべきだという意味ではないですが、やはり日本製のいいものがあり、それが平和のために使われるのであれば、そのような国々に対して支援する。そして人を派遣し、訓練をして、日本のやり方やよさを理解してもらう。それも含めて外交の重要な手段だと思います。韓国も多くの武器を輸出していますからね。
飯田)K2戦車なども相当、東欧に入っているという話です。
宮家)けっこういいビジネスをやっています。日本も韓国を見習って、同じようなことをやろうという動きがようやく出てきました。もちろん使い方や売り方は十分な吟味が必要なので、何が何でも売らなければいけないわけではありません。しかし、武器の輸出も1つの外交手段として考える時期に来ているような気がします。
飯田)日本の自動車が(輸出されて武器に使われるというような)過激な主張に使われていることなどを考えると、機能ではなく「どこに」という問題ですよね。
宮家)自動車やボートも、安くて性能がいいから使われるので仕方ありません。
飯田)相手を見てどこに輸出するのか、真剣に考えなければいけないですよね。
宮家)もう「武器だからダメ」という時代ではないと思います。
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