繋がる熱量! “近さ”が強さになるバスケットボールクラブ ~もう1つのB“群雄割拠B3リーグ”~ #5 東京八王子ビートレインズ
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2024年3月18日 11時30分
トップリーグであるB1・B2への参入を目指し、日本各地で活動を続けるもう1つのB、それが“B3リーグ”です。この連載「もう1つのB“群雄割拠B3リーグ”」は、バスケットボール歴16年・ニッポン放送アナウンサーの私、内田雄基が、地元を背負い、上を目指すB3リーグのクラブ活動や見どころをご紹介していきます。
連載5回目となる今回は『東京八王子ビートレインズ』をご紹介します。
ホームタウンはもちろん東京都八王子市。昔から多くの地域をつなぐ流通の拠点として栄えてきた街で、鉄道網が発達し、人々の生活を支えてきました。チーム名のビートレインズは、「train」が広義において「人々の組織的な連携や繋がり」を意味することから、チームと八王子市民や支援者との、家族的な結束を願っていることと、バスケットボールのB、八王子のはち=蜂(Bee)、存在する(Be)から、「Bee+train」でビートレインズと命名されました。
東京八王子ビートレインズは、他のクラブよりも圧倒的な「1番」を持っています。それが「ホームアリーナと最寄り駅との近さ」です。最寄りの京王電鉄高尾線・狭間駅の改札を出るとすぐ正面にビートレインズのホームコート・エスフォルタアリーナ八王子が現れます。
狭間駅からエスフォルタアリーナ入り口までは100mほど。試合のある日は、道の両脇に、選手たちの写真が載った旗が立ち並び、会場に入ると地元・狭間駅前商店会の方々が作った焼き立てのパンや、温かいおにぎらずなど、駅を出た瞬間から“ビートレインズ流”のおもてなしが始まります。
“ビートレインズ流”はこれだけではありません。例えば、trainにあやかって、観客=乗客、来場=乗車、試合開始=出発などと言い換えてMCが行われていたり、コート横には子どもたちが遊べる電車の形のボールプールが設置されています。老若男女、誰でも楽しんで帰れるような工夫が散りばめられていました。
では、チーム作りはどのように行っているのか、クラブ広報の川上さん、そしてキャプテン#8・上江田勇樹(うえた・ゆうき)選手にお話を伺いました。
「クラブとお客さんという関係ではなく、全員で一つの家族のようだと言われます」――広報・川上さん
内田:今日エスフォルタアリーナ八王子に来て驚いたのは、スポンサーがとても多いことでした。コートやユニフォームにも沢山のスポンサー名やロゴが入っていますが、選手の写真入りの旗や、ゴミ箱などにもスポンサー名がありますね。
川上:現状352社の企業様にご協賛をいただいております。チームは町クラブで、大きな企業様もですが、中小企業の方々が地元八王子を盛り上げたいという思いに賛同してくださり、スポンサー様が別の企業を紹介してくださるという形で多くの企業様が応援してくださっています。また、1シーズンで2回行う『八王子市民デー』では、最低1万円からでもスポンサーになれます。八王子の個店様や飲食店様を中心に「地元を盛り上げたい」という気持ちで応えて下さる方々がありがたいことに年々増えております。そういったところが要因ではないかと思います。
内田:352! それは凄い! 地域密着のクラブ経営なんですね。
川上:そうですね。ファンの方に、クラブとお客さんという関係ではなくて、全員で一つの家族のようだといわれることもあります。「八王子」という地域自体が、一つのクラブのような温かさを持っているなと思います。具体例として、ビートレインズにはアンバサダーという制度があって、クラブの輪を広げる活動をファンの方にも手伝っていただいています。
内田:アンバサダー? どういった制度ですか?
川上:ファンの方の中から、ビートレインズのアンバサダーを募って、その方の名刺を作成するんです。その名刺をアンバサダーとして配っていただくんですが、名刺の裏面が観戦チケットになっています。アンバサダーがその名刺を貰った方を、試合に招待できるという制度です。
内田:つまり、ファンの方が新たな方を引き込んでくれるような制度ということですね。バスケの試合は、言葉でどこまで魅力を伝えても、生で観戦して感じてもらう以上のことはないですもんね! どういった方がアンバサダーをやっていらっしゃるんでしょうか?
川上:様々な方に依頼しています。バスケで八王子を盛り上げる、八王子ビートレインズに関わる人が幸せを感じるという理念に共感していただき、八王子ビートレインズをもっと知ってもらえたらという思いで活動してくださっています。
内田:愛がすごいですね~!
「どんな形であれ勝つことが大事だと思っています」――キャプテン#8上江田勇樹選手
内田:上江田選手の思う東京八王子ビートレインズの良さはどういったところにありますか?
上江田:第一に、すごいアットホームですね。ファンとかブースターっていうよりは、本当家族みたいで、お父さん・お母さんたちが応援してくれてるような雰囲気がすごくいいです。ファンと選手の距離がすごく近く、八王子ビートレインズっていうチームを、ファンと選手とフロントで作り上げていってる感覚ですね。
内田:多くのスポンサー、アンバサダー制度など、地域とクラブが一体となって東京八王子ビートレインズを作り上げていますよね。ファンの方との関わり、色々思い出もあるのではないですか?
上江田:そうですね。ファンの皆さんはイベントをすると必ず来てくれるので、色々と思い出はありますが、一番は学校訪問ですかね。子供たちに夢と未来をということで、色んな学校に授業の一環として、選手とスタッフが訪問させていただいています。一緒にボール遊びをしたりするんですが、この活動で少しずつ八王子の子供たちがバスケットに興味を持ってくれるんですよね。 八王子ビートレインズ、どんなチームなんだろうっていう。今日もたくさんお子さんが来てくれました。これは僕たちの力にもなりますし、いいチームになってきてるんじゃないかなと思っています。
内田:今日もお子さんたちの声、私の席にも沢山聞こえてきました! シーズンも残りわずかですが残りの試合どのように戦っていきたいですか?
上江田:プレーオフを目指してやっています。一つ一つ全て大切にしていきたいですね。どんな形であれ勝つことが大事だと思っていて、勝つことでチームがどんどん良い方向に進めばいいなと。キャプテンとしてしっかりチームまとめていきたいと思っています。残り試合数は少ないですが、東京八王子ビートレインズは本当に選手とファンの距離がすごく近いチームなので、来て試合を1回見るとすごく楽しくて、リピートすると思います。是非この記事をお読みの方も、ぜひ一度会場に足を運んで来てください。よろしくお願いします。
ビートレインズを取材をした日、惜しくもビートレインズは1点差で敗れてしまったのですが、会場にいたファンの方から、まるで子どもの部活を見に来たように、「楽しかったね~。いや、次も応援頑張らなきゃね!」という前向きな声が聞こえてきました。東京八王子ビートレインズは、駅からホームコートへの「近さ」と、ファンとクラブの「近さ」、この2つの「近さ」がクラブの魅力と強さに繋がっているんだなと考えているその頃には、狭間駅の改札を抜けてホームにいました。
残りわずかとなった今シーズンのB3リーグレギュラーシーズンですが、エスフォルタアリーナ八王子では残り4試合開催されます!是非、興味を持った方は八王子ビートレインズの応援に足を運んで見てください!
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