高齢患者に必要なのは、元気なうちに「最期のことを考える」こと 医療法人「優和会」理事長 松永平太
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2024年3月19日 11時20分
黒木瞳がパーソナリティを務めるニッポン放送「黒木瞳のあさナビ」(3月12日放送)に医療法人「優和会」理事長の松永平太が出演。長寿時代の地域医療について語った。
黒木瞳が、さまざまなジャンルの“プロフェッショナル”に朝の活力になる話を訊く「黒木瞳のあさナビ」。3月11日(月)~3月15日(金)のゲストは医療法人「優和会」理事長の松永平太。2日目は、元気なうちに最期を考えておくことの重要性について—
黒木)先生が考える高齢者の幸せな最期とは何でしょうか?
松永)「命の流れが続いていくこと」だと思います。家族や知人、友人とのつながりのなかで、「幸せだった」と思って亡くなっていく。それが幸せな最期だと思います。人生においていちばん大事なのは最期ですから。
黒木)そうですよね。
松永)いままで不幸な人生だったとしても、最期が幸せであれば「幸せな人生なのだ」と、患者さんに教えてもらったのです。しかし、皆さん最後は手を抜いてしまうのですよ。ほとんどが「こんなはずではなかった」と言って地域から消え、どこかで最期を迎えている。これをどうにかしなければいけないと思っています。
黒木)どうにかするために、いろいろと活動なさっていますが、どんな地域医療の形をつくっているのですか?
松永)普通は医者に「ご自分の老後をどうしますか?」と質問されると、「そんなこと言われても」と思うのでしょうが、私自身は「老後は心配するな。どうにかするから」と言っています。美味しいものを食べてお風呂に入り、みんなと支え合って余生を過ごせるような、「よかったな」と思えるような老後をつくりたいと思っています。
黒木)そのためには、地域から変える必要がありますか?
松永)地域を変えるのは難しいので、それは今後の仕事になりますね。つまり文化をつくるということですから。地域の困りごとをどうにかしなくてはいけないという思いで工夫していますので、まだ道半ばですね。
黒木)ご高齢の患者さんに3つほど質問するということですが、教えていただけますか?
松永)まず、「最期はどこで死にたいですか?」と聞きます。高齢者はだいたい自宅ですね。2つ目は、「心臓が止まったら心臓マッサージをしますか?」と聞きます。ほとんどの方が「もうやめてくれ。痛くて死んじゃうよ」と言います。3つ目に、「食べられなくなったらどうするか?」と聞きます。管を使って延命すれば2~3年は長生きできます。
黒木)管を使って。
松永)「食べないと死んでしまう」ではなく、寿命が来たから食べなくなるのだと。「無理して延命処置する必要はないのではないか」と聞くと、「そうだね」と言います。大体ができれば自宅で、心臓マッサージのような痛い治療は望まず、食べられなくなったら寿命と考える。なかには、95歳のおじいちゃんに「どこで死にたい?」と聞くと、怒られるのですよ。「医者のくせに縁起でもないことを聞くな」と。でも、死ぬことを考えれば、その向こうにある「生きる」が見えてくる。いま、何をしたらいいかが見えるのですよね。それを「元気なうちに考えておこう」ということです。
黒木)そういったことを高齢者の方々とコミュニケーションなさっているわけですね。
松永)そうですね。縁起でもない話ばかりしています。
黒木)そういう話をすると皆さん、穏やかになるのですか?
松永)普通は死ぬことについて話さないですよね。
黒木)特に医者の方は。
松永)逆に、医者だからやってもいいのかなと思っています。「最期は自宅で」と思うと覚悟ができてくる。いろいろな揺れ動きがあるなかで「本人がこう言ったから」と、一家みんなが同じ方向を向けるのです。そのためにも、元気なうちにまさかのことを考えるのが大事ですね。
松永平太(まつなが・へいた)/医療法人「優和会」理事長
■1992年、東京医科歯科大学を卒業後、民間病院へ入職。地域医療、看護ケアの大切さ、命を支えるケアを学ぶ。
■父親が倒れたことにより、1997年に父の診療所「松永医院」を継承。
■2000年、介護保健制度施行に合わせ「有限会社ハイピース」にて、訪問看護のための介護ステーション「そよかぜ」創設。2001年、医療法人社団「優和会」創設。
■以降、デイサービスセンター「あそぼ」を設立。社会福祉法人「おかげさま」創設。老人保健施設「夢くらぶ」、「夢ほーむ」、認知症対応型デイサービス「おかげさま」創設。
■2023年、看護小規模多機能「にこにこ」創設。
■2024年には、地域包括支援センターを創設予定。
■医療・介護・福祉を通じて社会貢献することを使命とし、「“いのち”を助け、“いのち”を元気にし、“いのち”を輝かせる」ことを経営理念として掲げる。いまの命を助けるのは医療者として当たり前であると考え、「患者の未来の笑顔を守ること」を使命とし、多職種協働を図っている。
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