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大谷翔平「コミッショナー判断」でペナルティーの可能性も 水原一平通訳ドジャース解雇

ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2024年3月22日 13時0分

大谷翔平「コミッショナー判断」でペナルティーの可能性も 水原一平通訳ドジャース解雇

 米大リーグ、ドジャースの大谷翔平(右)の専属通訳、水原一平氏=2月、アリゾナ州グレンデール(共同)

国際カジノ研究所の木曽崇所長が3月22日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。大谷選手の通訳を解雇された水原氏について語った。

米大リーグ、ドジャースの大谷翔平(右)の専属通訳、水原一平氏=2024年2月、アリゾナ州グレンデール(共同) 写真提供:共同通信社

米大リーグ、ドジャースの大谷翔平(右)の専属通訳、水原一平氏=2024年2月、アリゾナ州グレンデール(共同) 写真提供:共同通信社

ドジャースが大谷翔平選手の通訳・水原一平氏を解雇、違法賭博に関与した可能性

米メジャーリーグのドジャースは、大谷翔平選手の通訳を務めた水原一平氏を解雇したことを明らかにした。アメリカの複数メディアは水原氏が違法賭博に関与したなどと報じているが、球団は解雇の理由については明らかにしていない。

米国内でも38州ではスポーツベッティングを合法化 ~カリフォルニア州では違法

飯田)水原氏が行っていたというスポーツベッティングの規制ですが、州によって違法かどうかが異なると報道されています。

木曽)アメリカは連邦国家なので、各州に各種賭博の合法・非合法を決める権利があるのですが、2018年まで、連邦政府側の法律で「各州のスポーツベッティング(スポーツを対象とした賭博行為)を禁ずる法律」がありました。しかし、2018年に連邦裁判所の判断によって違憲判決が出たのです。それ以降、アメリカ国内で一気に「各州がスポーツベッティングを合法化する」という流れになりました。

飯田)2018年以降。

木曽)今回、問題になったのはドジャースですが、ドジャースが本拠地を置くカリフォルニア州は、全米のなかでは数少ない「スポーツベッティングを合法化していない州」です。現行では50州中、38州が既に合法化しているのですが、カリフォルニア州は合法化されていないので、州のなかで違法なスポーツベッティングに対する捜査が行われた。そのなかで今回、大谷翔平選手の名前が出てきたのです。ちなみにカリフォルニア州の隣のネバダ州は、車で5時間ぐらいの距離ですが、5時間走れば合法化している地域に到達できるような環境ではあります。

隣のネバダ州で賭けていれば事件にはならなかった

飯田)つまり、仮に水原氏がネバダで賭けをしていたら、今回のことは事件にならないのですか?

木曽)そうですね。LAからラスベガスまで、車で走ればすぐに到達できるので、そういう意味では「なぜそれほど安易に違法賭博に手を染めたのだろうか」と思います。

スポーツ賭博に関する禁止事項が記されるMLBの「ルール21」

飯田)野球賭博に関しては、MLBではかつてピート・ローズ氏が野球賭博で永久追放されました。場合によっては永久追放なども想起されますが、規定のなかで禁止されているのですよね?

木曽)日本のプロ野球にも「野球協約」のなかに「賭博に関与してはいけない」というルールがあります。同様に、MLBのなかにも「ルール21」と呼ばれる規約があり、ルールの対象は選手、審判、クラブチームやリーグ職員とされています。水原通訳も職員なので、そのなかに含まれます。

ルール21のなかで3つあるペナルティー

木曽)対象者に対し、1つ目に「野球に関する賭博そのものに関与してはいけない」というルールがあります。2つ目に、なかでも自分のチームへの賭博に関しては、さらに厳しい処分を適用するような規定があり、そこに抵触すると永久追放の可能性まであります。

飯田)永久追放まで。

木曽)3つ目が、野球に関わらず、もしくは自チームの試合に関わらず、スポーツ全般に対する違法な賭博……違法なものに限るのですが、「違法賭博に関与した場合、コミッショナー権限によって、判断次第では何かしらの制裁措置がある」という3つのルールがあります。今回に関しては、いずれかに抵触した可能性があるのでしょう。

違法賭博の場合、その先で八百長問題につながることが多いので強い制裁措置を行っている

飯田)合法・違法で分けているのは、違法賭博の場合、よりダークだという認識なのですか?

木曽)それもありますし、違法賭博の場合、その先で八百長問題につながることが多いのです。そのため、違法に関してはより強い制裁措置を行っています。

飯田)賭博に近付くだけでも、ゲーム全体に対する信頼にまで関わるからですか?

木曽)おっしゃる通りです。賭博の業界では「信用失墜行為」と呼ばれますが、八百長問題は個人の話になってしまうので「やったか、やっていないか」を判別するのがとても難しいのです。そこに関わって疑惑を持たれること自体が、リーグもしくはチームのプレーそのものの信用を失墜させてしまう行為ですので、そこに対してペナルティーを与える。それはスポーツ全般で採用されているルールです。

今回のケースは「コミッショナー判断」によるペナルティーになる

テレビ東京解説委員・山川龍雄)仮にこの先、大谷さんが水原さんの借金を支えたとして、「違法性を認識していたか、知らずにただ借金を支えた形なのかどうか」が問われるのではないかと思います。仮に、事前に水原さんの行為の違法性を認識していた場合、大谷選手にはどのぐらいの処分が下る可能性がありますか?

木曽)まだ野球に賭けたかどうかに関してはまったく情報がないので、現行においてはわかりません。ただ、違法賭博であることは事実なので、3つ目のルールに抵触する形になり、「コミッショナー判断」になると思います。ここに関しては明確な処分内容が定められていないので、かなり幅があると考えた方がいいでしょう。

水原氏の証言が二転三転するのもルール21を意識してのことか

飯田)水原氏の証言は二転三転していますが、それもルール21を意識しているからでしょうか?

木曽)最初に出た報道では、水原氏自身は大谷選手に明確に「肩代わりしてもらった」と言われていました。しかも、大谷選手自身がPCを操作して、自分の口座から違法賭博業者のアカウントに送金したとコメントしています。メディアのインタビューに答えている記録が残っています。ところが、今度は大谷選手のオフィシャルの弁護士サイドから声明が出て、「これは通訳による大規模窃盗事件だ」と発表され、証言が覆るわけです。その後、今度は水原氏も「実は大谷自身は何も知らない」と自分自身の以前のコメントを翻すような発表をし始め、二転三転している状況です。これらは基本的に、MLBのルールそのものに大谷選手が抵触しないよう、守るための変遷なのだと思います。

飯田)そうなると捜査当局は、「言っていることが変わっているではないか」とつっこみますよね?

木曽)そもそもこの問題が発覚したのは、ロサンゼルスの違法賭博についてFBIの捜査があり、その捜査線上で、大谷選手の銀行口座から業者に向けて振り込みが行われていたという事実が判明したところからスタートしています。警察側の視点で見ると当然、「大谷選手が何かしらの関与をしているのではないか」と考えると思います。

大谷選手を守るための球団弁護士サイドの「通訳による大規模窃盗事件」という発表と、水原氏の「大谷選手は何も知らない」発言

木曽)それに対して、周りの人たちが「俺がやったのだ」と、水原氏がまずインタビューに答えた。その後、弁護士サイドが「通訳の窃盗だ」と答えたというような形です。要は大谷さんに疑惑が向かないよう、積極的に周りが「自分がやった」もしくは「窃盗事件だ」など、情報発信をし始めたのではないでしょうか。

飯田)「窃盗」と言っておかないと大谷選手の操作が疑われてしまい、「関与がある」と思われかねないから、ああいう動きになった可能性がある。

木曽)そうですね。真実はまだわかりませんが。

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