絶妙な形で金融政策が行われているアメリカ 米株式市場の「主要3指数」が過去最高を更新
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2024年3月22日 17時40分
米連邦準備制度理事会(FRB)の本部=ワシントン(共同)
テレビ東京・解説委員の山川龍雄が3月22日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。主要3指数がそろって過去最高を更新した米株式市場について解説した。
米株式市場の主要3指数、そろって過去最高を更新
3月20日のニューヨーク株式市場で、ダウ平均株価、ナスダック総合指数、S&P500の主要3指数の終値はいずれも過去最高値を更新した。21日のニューヨーク株式市場も、ダウ、ナスダックがそれぞれ上がった。米連邦準備制度理事会(FRB)の金融引き締め長期化への懸念が和らぎ、幅広い業種が値上がりした。
飯田)アメリカでも金融政策決定会合が開かれたばかりですが、アメリカ経済をどう見ればいいですか?
山川)強いですよね。いま、アメリカ人の住宅ローンは30年固定で金利がどのぐらいだと思いますか?
飯田)日本で言うところの「フラット35」のようなものですね。「5%くらい」などと金利の話をしているから、6~7%程度ですか?
山川)7%前後です。日本では、2%までいきません。
飯田)固定でもいかないですね。
山川)7%の金利であっても借りて、住宅を買っても得すると思っている人たちですから、やはり強いです。
飯田)金利7%は「70の法則」などと言うではないですか。10年で2倍になってしまうけれど、それでも借りるのですね。
山川)そのぐらい強気だということです。
景気を犠牲にせず物価を軟着陸させるソフトランディングになってきているアメリカ
山川)金融政策との兼ね合いで言うと、アメリカはインフレ退治のために金利を引き上げてきたところですが、よく「ハードランディングかソフトランディングか」と言われます。ハードランディングの場合は、金利を引き上げる過程でアメリカの景気を犠牲にして、物価退治をするのです。
飯田)ハードランディングは。
山川)対してソフトランディングは、景気をそれほど犠牲にせず、物価を軟着陸させる方法ですが、明らかにアメリカはソフトランディングになってきている。もっと言うと、パーフェクトランディングに近いかも知れません。
絶妙な形で金融政策が行われている
飯田)一時期はインフレ率9%などと言っていましたが、ここまで上手くコントロールしてきたことになるのですね。
山川)そうですね。なかには「ノーランディング」という言葉もあり、物価退治できないまま終わってしまう、いわゆる着陸できないような状況です。
飯田)物価が高いままになってしまう。
山川)抑えきれない状況が心配されていましたが、だいぶマイルドなところまで物価退治が進んだので、いまのところは絶妙な形で金融政策が行われていると思います。
年3回の利下げが確認できたので、マーケットに安心感が広がり、デジタル銘柄の「金利敏感株」が反応
飯田)FRBも物価目標は2%だと言っています。3%台からもう一息進むか、人によっては「3%ぐらいが普通ではないか」と言われたりもします。その辺りの水準はどうですか?
山川)年内3回ぐらいの利下げがあるという予想でしたが、マーケットが心配したのは、物価退治がままならないので「利下げのペースが少し鈍るのではないか」ということです。しかし、FRBのメインシナリオとしては年3回の利下げが確認できたので、パッと安心感が広がった。特に半導体などのデジタル銘柄は「金利敏感株」と言いますが、できるだけ金利が低い状態の方が業績が上がっていく銘柄なので、そこが反応して、アメリカの株価もいいという状況になっています。
金利が下がれば株価が上がるハイテク株
飯田)半導体が敏感株と言われるのは、それだけお金を借りる機会が多いということですか?
山川)それもありますが、「将来の稼ぎが大きくなる」という予想をもとに、ハイテク株の株価が形成されています。その計算式は、金利が高くなると将来、稼ぐお金が少し減るような形なのです。ハイテク株はテクニカルに「金利が上がれば株価が下がる、金利が下がれば株価が上がる」という銘柄になっています。
日経平均を引き上げている「エヌビディア3兄弟」
山川)それと連動して日経平均も動いています。日経平均を構成するなかで特に引き上げているのは、「エヌビディア3兄弟」と言われるものです。東京エレクトロン、アドバンテスト、そしてエヌビディアと近いソフトバンク。こういうところが引き上げているわけです。アメリカの金融政策が日経平均にまで連動している状況です。
飯田)だから「主要3指数が上がったので日経も上がった」という解説が出てくるのですね。構成銘柄のなかでは半導体株、ハイテク株の比重が大きいという話も聞きます。
山川)日経平均は225銘柄ですが、なかでも株価が高いものは寄与度が大きいという状況です。日本(経済)が本当に回復するためには、もう1つTOPIXという東京証券取引所のプライム市場にある全銘柄を反映させた指標がありますが、こちらはまだ最高値を数パーセント更新できていません。TOPIXも更新できれば「本物だな」という感じはあります。あくまでも日経平均は銘柄を入れ替えながら、ある程度成長力のあるものに入っていますが、そこがいま最高値を更新している状況です。
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