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負けを引きずらないための「メンタル術」 プロレスラー・棚橋弘至

ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2024年3月27日 11時20分

負けを引きずらないための「メンタル術」 プロレスラー・棚橋弘至

黒木瞳がパーソナリティを務めるニッポン放送「黒木瞳のあさナビ」(3月20日放送)にプロレスラーで新日本プロレス社長の棚橋弘至が出演。プロレスの世界の素晴らしさについて語った。

棚橋弘至

棚橋弘至

黒木瞳が、さまざまなジャンルの“プロフェッショナル”に朝の活力になる話を訊く「黒木瞳のあさナビ」。3月18日(月)~3月22日(金)のゲストはプロレスラーで新日本プロレス社長の棚橋弘至。3日目は、プロレスラーとしてのモチベーションの保ち方や過酷なリングの世界について—

黒木)私は棚橋さんのV11……11回防衛戦を拝見したのですが、すごいですね。リングにいる相手に向かって、バーンとダイビングしますが。

棚橋)コーナーポストに乗って、そこから相手に乗っかる技です。

黒木)急に相手がかわすこともあるし。

棚橋)膝を立てられることもあります。

黒木)ダイビングはお互い、痛いですよね。

棚橋)下の人の方が苦しいとは思います。私は、プロレスラーとしては小柄な方なのです。100キロ以上がヘビー級で、100キロ以下がジュニアヘビー級と分かれているのですが、大きい外国人選手だと120~130キロになります。そのような選手でも倒せる技を考えたときに、トップロープから高く飛んで落ちたらいいのではないかと。これは昔からある技なのです。

黒木)確かに昔、見たことはありますね。

棚橋)そこから「ハイフライフロー」というカッコいい技名を付けて、現代風にアレンジしました。

黒木)すごく飛びますよね?

棚橋)1回でダメなら2回飛びますし、2回でダメなら3回飛びます。

黒木)怪我にはどう対処しているのですか?

棚橋)プロレスラーはみんな、あちこちに怪我があるのですが、私は飛んで着地したときマットに膝を打つのです。そのため膝が変形しており、厳しい状態になっています。

棚橋弘至

棚橋弘至

黒木)試合を控えていらっしゃいますが、大丈夫なのですか?

棚橋)膝周りの筋肉を鍛えて、靭帯がない分、筋肉で膝関節を抑えています。膝の靭帯は左右に4本ずつ、全部で8本あるのですが、いまは(左右合わせて)4本しかありません。前十字靭帯や後十字靭帯、内側側副靱帯などが切れてしまっています。

黒木)プロレスラーはファンに支持されてこそ、濃い試合ができるところもありますよね?

棚橋)ありますね。会場の声援を受け、息が上がって苦しくて、受け身を取ってダメージもあるのですが、会場で棚橋コールが起きてワーッと盛り上がると、不思議と立ち上がれるのです。それは何度も経験してきました。

黒木)プロレスをやったからこそ気付けたことがある。「勝ちたい、カッコよく見せたい」ということではなく、「お客様のために、という気持ちがあるから頑張れる」とおっしゃっていますよね。

棚橋)もちろん勝ったら嬉しいし、負けたら悔しいのですが、それ以上にいつしか「観に来てくれたファンは楽しめたかな?」と思うようになりました。勝ったあともなかなかリングから帰らず、エアギターを弾いたりして、チャンピオンのときは試合時間より試合後のアピールの方が長くなってしまうこともあります。

黒木)ファンサービスですよね。皆さんもそれを待っているのではないですか?

棚橋)そうですね。棚橋が勝てば「愛してます」も聴けますし、エアギターも観ることができる。でも、負けたら対戦相手の時間になってしまいますからね。

黒木)負けたときのメンタル回復はどうしているのですか?

棚橋)プロレスは毎日試合があるので、次の日に引きずれないのです。だから、悔しい気持ちは自分のなかに1回しまっておきます。そして、また同じ対戦相手や同じシチュエーションになったとき、悔しさの引き出しを開けて、「負けたときの感情を相手にぶつける」というやり方をしています。「忘れる」という能力が本当に大事です。プロレス以外でも。落ち込むと、その日1日がダメになってしまったり、しばらく……。

黒木)引きずりますよね。

棚橋)そのようなときは、目の前で「わーすれろ!」とやって、自分のなかでスイッチを入れると次に向かうことができます。

棚橋弘至

棚橋弘至

棚橋弘至(たなはし・ひろし)/プロレスラー・新日本プロレス社長

■1976年、岐阜県生まれ。
■立命館大学法学部時代にレスリングを始め、1999年、新日本プロレスに入門。10月、真壁伸也(現・刀義)戦でデビュー。
■2003年に初代U-30無差別級王者となり、その後2006年に団体最高峰のベルト、IWGPヘビー級王座を初戴冠。第56代IWGPヘビー級王者時代には、当時の歴代最多防衛記録であるV11を達成した。
■またプロレスラーとして活動する一方で、執筆の他、テレビ番組等に多数出演。2018年には映画『パパはわるものチャンピオン』で映画初主演。2016年にはベスト・ファーザー賞も受賞した。
■愛称は「100年に1人の逸材」。
■2023年12月、新日本プロレス新社長就任を発表。

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