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松本人志さんの名誉毀損訴訟 「スッキリ決着がつくことはなく、“うやむや”に終わることが多い」野村修也が指摘

ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2024年3月29日 11時35分

松本人志さんの名誉毀損訴訟 「スッキリ決着がつくことはなく、“うやむや”に終わることが多い」野村修也が指摘

弁護士の野村修也氏が3月29日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。週刊文春に訂正記事の掲載を求めた松本人志さんの名誉毀損訴訟について語った。

松本人志氏 2022年11月3日撮影、大阪市中央区 写真提供:共同通信社

松本人志氏 2022年11月3日撮影、大阪市中央区 写真提供:共同通信社

松本人志さんの名誉毀損訴訟、文春側は「記事は事実」と反論

ダウンタウンの松本人志さんから同意なしに性的行為をされたとする女性の証言を報じた『週刊文春』の記事で、名誉を傷つけられたとして訂正記事の掲載を求めた訴訟の第1回口頭弁論が3月28日、東京地裁で行われた。文春側は「記事は真実だ」として請求棄却を求め、争う姿勢を示したが、松本さん本人は出廷しなかった。

名誉毀損の裁判で争点となるのは

飯田)この裁判で争点となるのは、どんなところでしょうか?

野村)名誉毀損訴訟の場合、いま訴えている松本さん側は自分の名誉が傷つけられ、社会的信用が低下しているという事実をまず言うわけです。それで相手方が争わなければ、名誉毀損の裁判は決着して原告の勝ちになるのですが、当然、訴えられている文春側は、(記事を)書くからには理由があるのだと主張します。

飯田)週刊文春の方は。

野村)1つは公共的な目的があって、公益的に書く必要があるのだと。そして真実ないし、真実相当性をきちんと確保した上で書いたとなると、「違法性が阻却される」と言いますが、違法ではなくなり、名誉毀損の損害賠償請求は棄却されることになるのです。

「誰が見てもこれは真実に違いない」というところまで取材した上で書いている、となれば名誉毀損にはならない「真実相当性」となる

野村)いまは原告側の方が「自分の信用を傷つけられた」と言っていますが、これから文春側の方も公益性、公共性、真実相当性を主張、立証していく形になるのだと思います。

飯田)公益性、公共性に関しては「有名人である」という部分があるかも知れません。しかし、「真実相当性」と表現されるものは何なのでしょうか?

野村)真実そのものを書いていれば、名誉毀損の損害賠償を払う必要はないということです。しかし、そこは必ずしも明らかにならない。刑事事件でもありませんし、原告側は「真実ではない」と言うわけですから。ただ、まったく報道できないわけではありません。しっかりと調べて裏取りを行い、「誰が見てもこれは真実に違いない」と感じるところまで取材した上で書いたのであれば、それ自体は名誉毀損ではなくなるので、「真実相当性」という言い方をしているのです。

飯田)さまざまな方から証言を取って、「1人の話だけを信じたわけではない」ということが問われるのですか?

野村)よく報道するときに「裏は取れているのですか?」と言うではないですか。それがしっかりと行われていたのか、それとも一方的な言い分を特に確認せず書いてしまったのかどうかが争点になると思います。

名誉毀損で争われる場合、和解することはあっても、双方が嚙み合わず「うやむや」に終わることが多い

政策アナリスト・石川和男)名誉毀損に関する話は、最終的にどこかで判決が下されて終わると思うのです。しかし、名誉毀損においてすっきりクリアに終わる、決着することはあるのでしょうか? 「言った言わない、やったやられた」と双方の主張が噛み合わないまま終わるパターンが多いように思うのですが、「クリアに終わる」ということはあるのですか?

野村)ありません。裁判になっているということは、お互いに議論は最後まで平行線のままです。和解もあり得ますが、譲り合って「相手の主張の大半を認めてはいないけれど、ここで終わりにしましょう」という話になるのが和解なので、納得はしていますが、うやむやと言えばうやむやです。

既に記事は掲載されているので、「名誉回復がどこまでできるか」というのが、原告側としては気になるところ

野村)結局のところ、判決になれば「どちらかの言い分がどの程度認められたか」という形になるだけなので、いずれの民事裁判もそうですが、最終的にはうやむやです。ただ、名誉毀損でいちばん問題となるのは、「既にそれが公に知られてしまっている」ということです。いくら原告が勝ったとしても、それを信じてしまっている人が世の中にたくさんいるわけです。そこで「本当の紛争解決になるか」が大きな問題ではあります。今回は訂正記事を書くことを求めていますが、原告側としては「どこまで名誉を回復できるか」が気になるところだと思います。

地裁だけで約14ヵ月、高裁になればさらに年単位の争いになる

石川)いまは地裁ですが、次に高裁へ行ったとして、最長になる場合はどうなるのでしょうか?

野村)まずは1審であり、もちろん昨日(28日)の段階で松本さんが法廷に出て行くこともあるかも知れませんが、通常、そこで証言させることはありません。いまの段階は相手の事実・主張に対して「否認するのか、それとも認めるのか」というような争点を整理し始めたところです。

飯田)争点を整理し始めた。

野村)それから証拠を調べますが、物証のあとに、今度は人証と言って、人が出てくるのです。ここまでいくかどうか。その前のタイミングで和解すれば10ヵ月ぐらいで終わりますが、もし人証まで出てくる、つまり最後まで争って判決をもらう形になると、14ヵ月くらい掛かります。ここで判決が出ても、不服であれば高裁に行きますが、高裁はそれほど長くなりません。それでも、やはり年単位の紛争になると思います。

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