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若田光一さんは、やはり現役の宇宙飛行士 “新天地”明らかに

ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2024年4月11日 11時40分

若田光一さんは、やはり現役の宇宙飛行士 “新天地”明らかに

「報道部畑中デスクの独り言」(第366回)

ニッポン放送報道部畑中デスクのニュースコラム。今回は、JAXAを退職した若田光一さんの“想い”と“意欲”について—

若田光一さん

若田光一さん

3月末でJAXA=宇宙航空研究開発機構を退職した若田光一さん、退職の記者会見から10日あまり、民間の“新天地”が明らかになりました。

「日本人宇宙飛行士・若田光一さんがアクシオム・スペースに参加」

アメリカの民間企業「アクシオム・スペース」(以下 アクシオム)の公式サイトはこのような見出しで若田さんの所属を公表しました。若田さんはアジア太平洋地域の宇宙飛行士兼CTO(最高技術責任者) という肩書となります。アジア太平洋地域の事業拡大、世界初の商業宇宙ステーションの発展に貢献するとしています。

アクシオムは2016年に設立された宇宙スタートアップ企業です。スペースXの宇宙船「クルードラゴン」を使用した商業有人宇宙飛行のミッションに臨み、これまで3回の飛行実績があります。さらに、地球低軌道における世界初の商業宇宙ステーションの計画、将来の月面探査を視野に入れた次世代宇宙服の開発などを行っています。日本の三井物産と資本提携し、両社の合弁会社が商業宇宙ステーションでのサービス提供を目指し、歩を進めています。

アクシオムのアレグリア主任宇宙飛行士は若田さんを「宇宙探査の真のパイオニア」と評しました。民間宇宙飛行士ミッションの将来の司令官、技術専門家及びリーダーも担うとしています。

「民間セクターによる活動を盛り上げ、先駆者の1人として仕事をしていきたい。可能な限り“現役宇宙飛行士”としての活動も続けていきたい。(宇宙飛行は)6度目だけでなく、7度目でも8度目でも意欲はある」

若田さんは3月29日の記者会見でこのように話していました。若田さんはどこまで行っても現役の宇宙飛行士なのでしょう。その想いにふさわしい環境と言えます。

アクシオムの公表後、若田さんも自身の公式Xを更新し、「アクシオン・スペースのチームに参加でき、わくわくしています。宇宙ビジネス発展のために、国際的な協力関係を広げていくことを楽しみにしています」と英語でメッセージを寄せました。

私は前回の小欄で内閣府の「宇宙技術戦略」の策定について取り上げ、若田さんの民間転身は、日本の宇宙開発の裾野を民間に大きく広げていく後押しにもなると記しました。しかし、若田さんの転身はこうした日本の動きとは別次元のスケールの大きさを感じます。

「私の夢は種子島から日本、世界の人たちを送り届けることができる有人機が打ち上がること」

……若田さんは事あるごとにこのように話しています。日本の宇宙開発という枠だけで見ると、世論の関心からみてもなかなか厳しいことと感じざるを得ないのですが、なるほど、他国の民間企業の連携があれば、若田さんの夢は決して夢物語ではないと思えます。

逆に言えば、日本には若田さんほどの人材を受け入れるダイナミズムがないということかもしれません。それは日本の宇宙産業にとって悔しいことではありますが、若田さんがアジア太平洋地域の宇宙開発という角度で関わっていくことは、母国・日本にも少なからず寄与するものと信じています。(了)

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