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福士蒼汰 × 松本まりか 変わることができない人間の業の深さ 『湖の女たち』

ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2024年5月13日 11時5分

福士蒼汰 × 松本まりか 変わることができない人間の業の深さ 『湖の女たち』

ニッポン放送「ひろたみゆ紀のサンデー早起き有楽町」(日曜朝5時~)で、おススメの最新映画をご紹介しているコーナー『サンデー早起キネマ』。5月12日は、衝撃の映画体験が味わえる3本をご紹介しました。

その1本は、福士蒼汰さんと松本まりかさんがダブル主演のヒューマン・ミステリー『湖の女たち』。

『湖の女たち』  (C)2024 映画「湖の女たち」製作委員会

『湖の女たち』  (C)2024 映画「湖の女たち」製作委員会

原作は、ベストセラー作家・吉田修一氏の同名の小説。『さよなら渓谷』以来、大森立嗣監督と10年ぶりのタッグが実現しました。

『湖の女たち』  (C)2024 映画「湖の女たち」製作委員会

『湖の女たち』  (C)2024 映画「湖の女たち」製作委員会

琵琶湖近くの介護療養施設、もみじ園で100歳の老人が不審な死を遂げました。殺人事件とにらんだ西湖署の若手刑事、濱中圭介とベテランの伊佐美は、容疑者と見なした当直の職員・松本への強引な追及を繰り返します。

その捜査の陰で圭介は妊娠中の妻がいながら、取り調べで出会った介護士、豊田佳代に歪んだ支配欲を抱き、佳代も極限の恐怖のなかで内なる倒錯的な欲望に目覚めていきます。

一方、東京からやってきた週刊誌の記者、池田は、17 年前にこの地域で発生した薬害事件を取材するうちに、もみじ園で死亡した老人が旧満州ハルビンにいたことを突き止めます。時を超えて浮かび上がったその新たな謎は、いかなる真実を導き出すのでしょうか。

そして厳かに静まりかえった湖のほとりで、後戻りできないインモラルな関係に堕ちていく圭介と佳代の行く末は……。

『湖の女たち』  (C)2024 映画「湖の女たち」製作委員会

『湖の女たち』  (C)2024 映画「湖の女たち」製作委員会

道徳的な通念を踏み外していく2人のキャラクター、刑事の濱中圭介役は、福士蒼汰さん。介護士の佳代には、松本まりかさん。お2人の新しい一面に本当に驚きました。

福士さんは、「役者人生におけるターニングポイントと呼べる作品になった」、松本さんは「あの強烈な映画体験は、生涯この身体から離れることはない」と話しています。

また、薬害事件のトラウマを引きずる圭介の先輩刑事、伊佐美役には、浅野忠信さん、そして、記者の池田役に福地桃子さん、犯人と目される介護士に財前直見さん、さらには三田佳子さんなど、錚々たるメンバーが湖の女たちを演じます。

『湖の女たち』  (C)2024 映画「湖の女たち」製作委員会

『湖の女たち』  (C)2024 映画「湖の女たち」製作委員会

介護施設での不審死事件を発端にした物語は、現在と少し前の過去、さらに戦時中と、思いもよらない歴史の扉を開いていきます。そこには、いつの時代にも繰り返される生産性至上主義の優生思想に基づく非道な犯罪がありました。

脚本も担当した大森監督は、「“人間”と“生産性”という二つの言葉を、どんと並べてみると、グロテスクなイメージが湧き上がってくる。それだけを手がかりにして書いていた」と話しています。“生産性”を追い求める社会の犠牲になってきた人たちがいる……過去も現在も変わらない、変わることができない人間の業の深さをつくづく思い知らされました。

『湖の女たち』  (C)2024 映画「湖の女たち」製作委員会

『湖の女たち』  (C)2024 映画「湖の女たち」製作委員会

登場人物の弱さと切なさ、愚かさと愛おしさ、汚れと純真……両方を持っているのが人間ですが、両面があることを忘れてはならないと、美しく静かな湖が語り掛けているようです。

「この世界は美しいのだろうか」……あなたはどう思いますか?

 

『湖の女たち』
5月17日(金)全国公開監督・脚本:大森立嗣
原作:吉田修一『湖の女たち』(新潮文庫刊)
2024/日本/カラー/DCP/5.1ch/シネスコ/141分
配給:東京テアトル、ヨアケ

(C)2024 映画「湖の女たち」製作委員会

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