自動車メーカーの老舗 日産の行方 <後編>
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2024年6月12日 11時30分
![自動車メーカーの老舗 日産の行方 <後編>](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/nipponhoso/nipponhoso_509717_0-small.jpg)
「報道部畑中デスクの独り言」(第371回)
ニッポン放送報道部畑中デスクのニュースコラム。前回に続いて、日産自動車の現況と今後について—
![日産が新たな経営計画を発表(2024年3月25日撮影)](https://news.1242.com/wp-content/uploads/2024/06/5209458a41bd72bad449f085481253af.jpg)
日産が新たな経営計画を発表(2024年3月25日撮影)
自動車メーカーの老舗、日産自動車。いわゆる「ゴーン事件」以降の混乱から5年以上が経ちましたが、経営再建は道半ばのようです。こうした中で3月にはホンダとの提携検討、「The Arc(ザ・アーク)」と称する新たな経営計画を矢継ぎ早に発表しました。
一方、日産は下請け企業に対し、代金を不当に減額したとして、公正取引委員会から下請法違反の勧告を受けました。下請け企業から不満の声が出ていることを受け、社長直轄の組織を新たに設ける方針など、対応に追われています。
日産の現状について、小欄で前回から自動車専門誌「マガジンX」の編集長、神領貢さんと考えています。今回は今後、日産の進むべき道は……神領編集長とさらに話を進めました。
(畑中)ひとかたまり(一つの勢力)の業界はそこで成長が終わってしまう気がする。自動車業界で言えば、トヨタのほか、非トヨタのかたまりがあって切磋琢磨しないと業界はおもしろくならない、成長もしないという気がする。ホンダ、日産は“非トヨタ”のかたまりになり得るのか?
(神領)それは政治と行政の力が必要だ。日本のメーカーの状況を考えたらいまみたいに乗用車メーカーだけで7つも8つもあるのは多いとみんな思っている。かたまり方はどうする? それはいつ頃どのようにやる? パートナーをどこにする?そういうことで言うと、いくつも関門はあるし、解決すべき課題はあるが、究極的にはまとまらなければいけないというのはみんなわかっている。でもきょうはいやだという状況だ。ただ、2030年には必ずや変わっている。いまの状態で自動車メーカーは存在していないと思う。
![今後、投入される日産の新型車のイメージ(日産公式YouTubeから)](https://news.1242.com/wp-content/uploads/2024/06/7e459fd51fce180ca4e138263b8a8e62.jpg)
今後、投入される日産の新型車のイメージ(日産公式YouTubeから)
(畑中)難しい質問だが、今後の日産の生きる道は?
(神領)日産はまだまだ単独でやれると思っているし、内田さんはそのためにやるべき手を着々と打っている、内田さんの代で成長への基盤をしっかりとつくるということをやり切れるかどうか。もし、やり切れなかったり、中途半場な状況でバトンを渡すことになれば、提携というのは現実味を帯びてくる可能性はある。
(畑中)ホンダということか? あるいは別の?……
(神領)いまよりもさらに踏み込むというのは、これも政治がからまないと難しいと思う。いまのルノー・日産・三菱アライアンスと違うかたまりと外交的に手を結ぶのか……
(畑中)日産はやはり、内田社長の手腕次第だと……。
(神領)内田さんの手腕次第。この1年、今年度が勝負だ。今年度で、自分で生きていく道をある程度見直さなくてはいけなくなるのか、もうちょっとがんばれるし、組むとしても自分が主導権を握れる方に立てるのか……しかし、この可能性は少なめだと思う。やはり、日産が求める経営資源や台数を考えれば、提携話があるとすれば、日産側から寄っていく可能性が高い。
(畑中)「技術の日産」のDNAは保たれるのか?
(神領)それも、ある分野では保たれているが、結局技術は人とカネ、(日産に)それが滞っていた時期があるのは、中の人が認めている。そこは“巻き”を入れて足りないところを埋めにかかっているが、継続が力なりなので、簡単ではない。いまの日産は「きょうのメシと明日のコメとどっちだ大事か」というところにいるので、大変な時期が続くと思う。
![横浜の日産グローバル本社](https://news.1242.com/wp-content/uploads/2024/06/39bdc48ea7c4c32fbb8a8cf7439b59a9.jpg)
横浜の日産グローバル本社
メディアの間では厳しい見方のある日産ですが、GT-RやフェアレディZなど、世界に誇れる財産があるのもまた日産です。EVにおいては国内市場に限ればトップランナーの位置にあり、全固体電池開発などの電動化、知能化の分野でもその技術は決して侮れるものではありません。
経営面では1999年の経営危機をルノーとの資本業務提携で乗り切り、その後、三菱自動車とも組み、3社によるアライアンス(提携)を結んでいます。さらに、かつてはルノーが支配的にあった資本構造は、両社の出資比率がともに15%と対等な関係になりました。
一方、創業から90年あまり、日産はかつて1960年~70年代にかけ、プリンス自動車工業との合併、くろがね、コニーといったブランドを持つ企業を傘下に収めてきました。いわば“合従連衡の歴史”でもあります。当時は通産省(現・経済産業省)が自動車メーカーの乱立を避けるために主導したとされています。
2030年には自動車産業の構図は一変しているのか?日産のこれからの1年が注目されます。
(了)
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