春香クリスティーンが考える 子育てと政治 課題解消への入り口は「議論」と「思いやり」
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2024年7月21日 17時50分
ニッポン放送の特別番組『新内眞衣のSDGs MAGAZINE増刊号』(3月8日19時~)に、1児の母としても奮闘中の春香クリスティーンが生出演。子育てや政治などについて聞いた。
■子育てに“奮闘中”
パーソナリティ・新内眞衣とともにSDGsを学ぶ『SDGs MAGAZINE』(ニッポン放送 毎週日曜日午後2時10分~)。3月8日の国際女性デー当日には、放送時間を2時間30分に拡大した特別番組『新内眞衣のSDGs MAGAZINE増刊号』がオンエアされた。今回の放送では、新内とニッポン放送・東島衣里アナウンサーが、さまざまな分野の識者を迎え、目標5「ジェンダー平等を実現しよう」につながる取り組みを深掘りした。国際女性デーは、国際婦人年である1975年3月8日に国連で提唱され、1977年の国連総会で議決された記念日の一つ。経済的、政治的、社会的地位においてジェンダー平等を尊重する日として設定された。そして、その国際女性デーに合わせて“女性”にフォーカスして放送された特別番組の最後を飾ったのは、春香クリスティーン。政治マニアとしても知られる春香が、母親となって思う日本の政治や社会の課題とは—。
1992年1月26日 生まれ。スイス・チューリッヒ出身。2010年に芸能界デビュー。政治マニア としても注目を浴び、レポーター、コメンテーターとして活動する中、2018年に芸能活動を休業。休業期間中に結婚し、2021年に出産。2022年11月に芸能界へ復帰した。
新内:休業、結婚、出産を経て芸能界復帰とのことですが、改めて今はお母さんでもあるんですよね
春香:今、2歳の子供、女の子がいまして、気付いたら母親になっていました
新内:(笑)ライフステージがすごく変わったと思うんですけども、ママになってみて、お母さんになってみて率直に感じたこととかはありますか
春香:まず、生活が百八十度変わったといいますか……
新内:はい
春香:結婚する前ももちろんですし、結婚してからも私は割とそうだったんですけれども、自由奔放というか、究極食べたい時に食べたいものを食べて、寝たい時に寝る、起きたい時に起きるというぐらい、人に振り回されることなく生活していました。自分の身体だから、自分が動きたいように動くっていう感じだったんですけど、子供が生まれた瞬間から、妊娠中から、自分一人の命じゃないっていう感覚もそうですし、責任感、ライフスタイルそのものが変わりましたね。生まれた瞬間とか、生まれて最初の数カ月って、本当に3時間おきに授乳をするように先生に言われて、夜中でも子供の事情に合わせて起きてっていう生活になりました。その後はもう子供が泣いたら、パッと目が覚めるようになりますし子供の生活を整える役割は自分以外に、大人以外にできる人っていないと思うので、 そういったところはもう全て変わりましたね
新内:そうですよね。ライフスタイルは、本当にガラッと変わると思うんですども、子育てってやっぱり、いろいろとありますよね
東島:あえて、奮闘とご紹介させていただいたんですけど…というのも、YouTubeでたくさんのご苦労というか、新米のお母さんたちにも励みになるように、ありのままを紹介してくださっていますよね
春香:あっ、ありがとうございます。私はとくに不器用な方というか、ご存知の方もいらっしゃるかもしれないんですけど、ゴミ屋敷みたいな汚い部屋に住んでいた生活力がかなり低めというか、めちゃくちゃ低いところからのスタートなので……
新内・東島:(笑)
春香:そんな私でも、一人の力ではどうにもならないんですけど、夫の力だったりとか、いろんな方の協力のおかげもあったりして、日々何とか奮闘しているっていう状況ではありますね
新内・東島:うんうん
■母となって思うこと
新内:春香クリスティーンさんといえば、政治マニアとしてもお馴染みだと思うんですけれども、子育て世代となって感じたことはありますか
春香:そうですね。私は政治ウォッチャーというのか、趣味で国会に傍聴だったりとかで足を運んだりする機会が多く、選挙の時とかは全国各地の街頭演説をまわったりしていましたけど、そういうのとはまた別の関わり方で、政治だったり、行政だったりに対する接点が増えたなっていうふうに感じます
新内:はい
春香:実際に増えたというより、増えたなと感じる機会が多くなったな、と。例えば妊娠した瞬間に母子手帳を市区町村、市役所だったり、区役所だったりに取りに行き、そこから面談を受けたりとか、こういうサポートがありますよって冊子をもらって、こんなにいろいろなサー ビスが実はあったんだっていうような接点があったり、知る機会も増えたのかなという印象がありますね
新内:確かに、当事者になってみないと、自分の生活が変わってみないと分からないことってたくさんありますもんね
春香:それまでって、区役所とかって……
新内:いや、引越しぐらいしか(笑)
春香:ですよねぇ(笑)
東島:そうですよね
春香:そうなんです
新内:なので、確かに自分もまだ知らないことって、たくさんあるんだろうなって思うんですけども、春香さん自身、これは結構課題だなって感じる問題とかはあったりするんでしょうか
春香:課題はいろいろとあるとは思います。実際、自治体によっても行われていることって違うと思うので、その自治体間のギャップっていうのもあると思うんです。それぞれの自治体が持っている課題も違うと思います。例えば 東京都心で親と子供だけの世帯で子育てしているのと、地方ですぐ隣に両親もいるっていう状況でも、多分必要なサービス、必要な支援って違ってくると思うので、それぞれに合ったものが今、賄えているのかっていうと、多分まだまだいっぱいできることはあると思います。それと同時に、もちろん政治とか行政もあるとは思うんですけれども、空気感というか、私たちがアプローチできるものもたくさんあるのかなと思います。ちょっと政治から外れて考えると、例えば私は休業期間中に会社員、派遣社員の仕事をしている時期があったんです
東島:一般企業で働かれていたんですよね
春香:はい。幸いにして、すごく恵まれた環境で、そこに対しての不満は全くなかったんですけれども、やっぱり働いている身としては、これまでバリバリ働いて誠意を見せるっていうのが私のやり方というか、それで信用を勝ち取っているつもりだったんですね。でも、子供が生まれた瞬間に、そういうわけにはいかなくなる。自分の生活環境が180度 変わって、『あっ、無理だな』って。子供が熱を出したら誰かが迎えに行かないといけないし、何とかしないといけない。でも、自分は変わっているかもしれないけど、自分の環境は、周りの環境は必ずしも変わっていない。なのに、そこを理解してくださいっていう言葉だけで、どこまで理解してもらえるんだろうかっていうところはあると思うんですよね。実際に私の周りは、確かに理解してくれる環境だったのですごく助かったのですが、やっぱり申し訳ないっていう思いが出てきちゃうんですね
東島:はい
新内:うーん
春香:そういった意味で、子育てしているから配慮してくださいっていうだけでなく、少しでも人に対する配慮っていうのがあってもいいのかなって。お互いに休まないといけない時、介護もそうですけれども、普通に何か自分の趣味で休みたい、こういう時に有給を取りやすいというような環境があったら、お互いさまだよねって思えるのかなあって。そうしたら、いつもこの人にばっかり負担をかけているわけじゃないよねっていうふうに、こっちも思いやすいのかなって思う瞬間はあったりしますね
新内:お子さんが熱とかを出されることも、年に何回かあるわけじゃないですか。でも、それが続いていくと、ちょっと言いにくいなっていう雰囲気とかが出てきたりする
春香:うんうん
新内:それを解消できる仕組みみたいなものがあったらいいですよね
春香:もう、まさに。特に小さい時、保育園の通い始めとか、本当にびっくりするくらい、またっていうくらい風邪をひくので、仕方ない部分はあるんですけれども、その分、私だけ休んでいるっていうんじゃなくて、お互いさまだよねってできるような環境であると休みやすいのかなって思ったりしますね
新内・東島:そうですね
東島:結構、空気感っていうのはポイントだと思うんですけど
春香:空気感
東島:例えば、育休が取れるとか、そういった会社の中の仕組みづくりは、ある程度始まり出したっていう段階ではあると思うんですね、概ね。だけど、それをいい形で活用していくっていうところに立ちはだかるのが、空気感っていうところもあるのかなあと
新内:空気感、ありますよねぇ
東島:これを変えるには、結構長期戦になりますかね
春香:どうなんですかね。でも、本当に会社で誰か一人が取り始めると、当たり前のように次から次へと取りやすいような環境になりしやすいと思います
東島:そうですね
春香:会社の中でも“最初に立つ人”って結構、難しいのかなって。でも、それだけ大切な役割なんだよっていうのは、伝えたいですね
東島:そうですね
■スイスでは「議論」は日常
新内:確かに空気感といいますか、自分の友達とかでも出産経験のある友達とかは、この時代になったからなのか言いやすくなったとは言っているので、少しずつ変わってきてはいると思いますね
東島:そうですね。この辺りは、スイスではどうなんでしょう
春香:子育てを私自身がスイスでしたことはないんですけど、政治についての関わりで言うと、結構議論になりやすいんです。学校とかでも、一つの政治的なトピックスだったり、別に政治だったりについて話そうって言って机を合わせるとかではなく、自然と日常会話と同じような感覚で、そういったトピックも話題に上がることがあるんです。スイスは直接民主制を導入していて、国民投票があるんですね。簡単な例でいうと、EUに加盟すべきか否かっていうのが国民みんなに問われて、それに対して賛成か反対かっていうような票を一人一人が投じる権利がある。それって、日本ではない制度だと思うんですけれども、そういったものがあるのもあって、議論になりやすいです
東島:議論となると、どうしても日本では肩肘を張ってしまうところがありますけれども、それを自然にできる環境がつくられている
春香:そうですね。それが、やっぱり高校に、日本の高校に入った時には全くなくて。そもそも、そんなに自分の意見を発するっていうのがあまり見受けられなくて、なんでなんだろうなっていうのが、私がそもそも国会に通い始めたきっかけでもあるんですけれども……
東島:そこが入り口なんですね
新内:政治に興味を持てるようになったっていうのは、幼少期からそういう環境が当たり前にあったからっていうのは、あるんですかね
春香:そうですね。議論をする環境っていうのは割と授業の中でのディベートに終わらず、 普段から意見を発する、政治でもそうじゃないテーマでも、結構はきはきと思ったことを子供 でも大人でも言う文化というか、環境がありました。その中でも、私は割と控えめに傍観するタイプではあったんです。でも、日本に来た時に好きなドラマとか、アニメとか、そういった話にはなっても、社会的な話とか、政治の話とか、ニュースの話とかは全然上がってこないなっていうことにちょっと違和感を覚えたというか、不思議だなって感じましたね。質問をしても、興味を持っても仕方ないよねとか……
新内:うーん
春香:ネガティブなニュースが多いから、それに対して悲観的な意見、マイナスの意見が多かったので、本当はどうなんだろう、と。やっぱり自分の目で見てからじゃないと何とも言えないなっていうところがありましたね
新内:政治のことで言うと、21年の衆議院の投票率が56%ということなんですけども、やっぱり政治への意識をもっともっと高めたいという感情は日本にもあると思うんです。でも、その一歩が踏み出せないみたいな方とかも多いと思うんです。春香さん自身は政治に興味がある側の方じゃないですか。なので、その一歩を踏み出すきっかけみたいなのがあったら、と思うんです
春香:多分、生活の全ての分野って何かしらの政治に関わっていると思うんです。自分が興味のある分野、それが例えば、防災であっても、子育てであっても、安全保障みたいな話であっても、経済であっても、何であってもいい。そういったところで、どんな議論がされているのかっていうのをまず見てみるとか、今どんな法律が通ろうとしているのか、自分の周りでどんなことが変わろうとしているんだろうっていうような話を入り口にするのもありだと思います。もっと身近に、自分の住んでいる自治体の市議会議員でもいいですし、市区町村の長の方でもいいですし、県議会とか知事とか、国会議員の方とかももちろん、そういった人にフォーカスを当ててみて、どういうことをやろうとしているんだろうっていうのを聞くだけで面白いんですよね
新内:そう思います。今回の特別番組でも品川区長のお話を聞きましたが、こういうこともやっているんだ、こういう思いでやっているんだっていうのを聞くと、やっぱり思いが乗っているから、よりちゃんと聞こうって思いますし、より入ってきますよね
春香:うん、そうですね
■「思いやり」が空気をつくる
そして、番組の最後に新内はSDGsの目標年である2030年に向けた提言を春香クリスティーンにたずねた。
春香:『思いやり』。どんな時でも思いやりを持ちたいし、持ってほしい!
新内:思いやりを持ちたい! 持ってほしい!
春香:それは、例えば子育てに対するパートナー同士でも、同じ会社で働いている社員同士でもそうですし、政治の場面でいうと意見の対立っていうのは必ず出てくると思うんですけれども、対立で終わってしまうのではなくて、相手の思いも汲むというか、理解することによって前進できることがあるのかなっていうふうに思います。あらゆる場面で
東島:そうですね。思いやりが空気をつくって、それがまた仕組みをつくるということに繋がるかもしれませんね
春香:はい
新内:ありがとうございました。春香クリスティーンさんでした
春香:ありがとうございました
東島:ありがとうございました
番組の終わりには新内さん、東島アナウンサーも、それぞれ“提言”に言及した。
新内:私は、やっぱり『対話を大事にする』っていうことですかね
東島:おっ、対話
新内:やっぱり聞くことと、自分の意見を言うことってセットで大事なのかなあって思いました。対話によっていろいろ生まれますし、そこに摩擦があったとしても、また対話で解消していくことができるのかなと思ったので、やっぱり対話が大事なのかなと思いました。東島さんはいかがですか
東島:私は『自分事は世代事である』と、これから考えていきたいなと思いました。自分を大切にという自分軸のお話もあったのですが、まず自分と向き合った後に、それが世代の話になるということを意識して、一歩ずつ前を向いていきたいなと思っています
新内:そうですね、自分のこともまだ分からないみたいな方もいらっしゃると思うので、自分のことに真剣に向き合うというのも大事になってくるかもしれないですね
東島:リスナーの方からメッセージいただいています。厚木市のまーこさん。私も『男女平等』より『男女尊重』の方がいいかと思います。もちろん男女以外の性も尊重。なぜなら、人はみんな違うので、と
新内:素敵
東島:いいまとめをいただきましたね
新内:すごいですね、尊重っていう言葉
東島:その先に女性活躍の道もある
新内:そうですね。すごく、いいまとめのメールをいただきました
国際女性デー当日に「女性」について考えた2時間半の特別番組『新内眞衣のSDGs MAGAZINE増刊号』。「皆さん、これから女性はもちろん、全ての人が輝ける未来になるよう、いろんなことを知って、感じて、そしてできることからアクションを起こしていきましょう!」 。そうリスナーに力強く呼び掛けた新内さんの視線は、「女性」から「全ての人」へと広がっていた。
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