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チェコの体操選手・チャスラフスカの物語を人形劇に「生涯をかけて貫いた信念と勇気、そして友情を感じてほしい」

ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2024年8月1日 5時0分

チェコの体操選手・チャスラフスカの物語を人形劇に「生涯をかけて貫いた信念と勇気、そして友情を感じてほしい」

今から60年前、1964年(昭和39年)の東京オリンピックで、3つの金メダルに輝き、その美しさとダイナミックな演技で日本中を魅了しました。あのチャスラフスカ選手が、60年の時を超えて、東京に帰ってきます。

それぞれの朝はそれぞれの物語を連れてやってきます。

日本とチェコの人形の共演も見どころの一つ(写真提供:人形劇団プーク)

日本とチェコの人形の共演も見どころの一つ(写真提供:人形劇団プーク)

「東京の恋人」と呼ばれたチェコの女子体操選手、チャスラフスカ選手。2016年8月30日に、74歳で亡くなっているのですが、実は8月2日(金)からの3日間、新宿・紀伊國屋ホールで、『チャスラフスカ 東京 1964 ー伝説の選手 誕生の物語ー』という人形劇が上演されます。

「人形劇? なんだ、子供向けか……」と思わないでください。

人形劇を見たことはありますか?

糸や棒で操ったり、指や手を入れて操ったり、腹話術も人形劇の一種です。日本の伝統芸能「人形浄瑠璃 文楽」は、一つの人形を3人で操ります。人や動物のほかに、花や樹木、虫や石ころ、太陽も月も、命がないものでも話したり動いたり、観客の想像力を掻き立てるのが、人形劇の魅力です。

また、人形だけが演じる人形劇もあれば、操る人が見える人形劇もあり、さらには人形を操りながら俳優として役を演じる……そんな人形劇もあり、「人形劇=子供向け」ではなく、大人も楽しめるのが人形劇なんです。

右がチャスラフスカ役のクリスティナ(写真提供:人形劇団クープ)

右がチャスラフスカ役のクリスティナ(写真提供:人形劇団クープ)

『チャスラフスカ 東京 1964 ー伝説の選手 誕生の物語ー』は、チェコから3人、日本から3人の人形遣いが舞台に立ち、その6人が人形を操りながら、時には、役者として芝居を演じます。舞台では影絵を使ったり、60年前の映像を流したり、子供も大人も楽しめるように、様々な趣向を凝らしていますが、幕が上がるまではどんな展開が待っているのか、実は誰にもわかりません。

1929年(昭和4年)創立の「人形劇団プーク」は、今年95周年を迎える、日本で最も歴史のある現代人形劇団です。新宿南口にある「プーク人形劇場」を拠点に、保育園や幼稚園、日本各地のホール、時には海外でも公演をしています。海外の人形劇団との国際交流も積極的で、チェコを代表する公立の人形劇団「アルファ劇場」をはじめ、いままでに多くの劇団を日本に招いて、全国ツアーも行ってきました。

2年前の春のこと。そのアルファ劇場と共同で人形劇をやりたいねと、役者さん同士の話がきっかけで、「ぜひ、やりましょう!」と企画が進み、日本とチェコで一番有名な人物といえば「チャスラフスカしかいない!」ということで、初めての試みとして、日本とチェコの人形劇団による共同制作公演のプロジェクトがスタートしました。

開会式の稽古シーン(写真提供:人形劇団プーク)

開会式の稽古シーン(写真提供:人形劇団プーク)

去年の夏、チェコから脚本家、演出家たちが来日して、チャスラフスカに影響を与えた遠藤幸雄選手が、どんな人物だったのか、どんな交流のエピソードがあったのか、関係者を取材しました。

当時、体操は日本のお家芸! 日本のエースだった遠藤選手が、その「技」や「精神」をチャスラフスカに授けたと言われています。

人形劇の舞台は、東京オリンピックが開催された2週間、金メダルを目指す二人の勇気と友情を描いています。

今年5月、チェコで初稽古が行われ、出演者の6人が顔を合わせました。チェコ語と日本語の芝居なので、稽古では、日本人の通訳が入りました。

チャスラフスカ選手と遠藤選手が会話するシーン(写真提供:人形劇団プーク)

チャスラフスカ選手と遠藤選手が会話するシーン(写真提供:人形劇団プーク)

チェコの人形劇は、ほとんどがコメディ。脚本のあちこちにコミカルなシーンが散りばめられていて、チェコのスタッフが大笑いをしているのに、日本人はポカンということも。文化の違いもあって、その都度、時間をかけて理解を深めていきました。

劇中の人形は、ほとんどが糸で操るチェコの伝統的なマリオネットです。その中で「先生」と呼ばれる登場人物だけは、3人遣いの人形で、こちらは、人形劇団プークが作りました。チェコと日本では人形の動きが全く違うので、それも楽しさの一つです。

7月の半ば、今度はチェコのメンバーが来日し、2週間の稽古を終えて、いよいよ、8月2日、初日を迎えます。

人形劇団プークの制作部長・石田伸子さんが公演を前に、心境を語ってくれました。

「6人の役者が人形や影絵を操り、楽器を演奏し、歌を歌い、演じています。こんな舞台は初めてなので幕が上がるまでドキドキの連続です。60年前のチャスラフスカもドキドキしていたでしょうが、体操の舞台を心から楽しんでいたはずです。生涯をかけて貫いた信念と勇気、そして友情を、いまの子どもたちに感じてほしいですね。魅力あふれるチャスラフスカに、ぜひ、会いに来てください!」

最後の最後まで舞台づくりは続きます。果たしてチャスラフスカは着地を見事に決めるのか、見逃せません。

 

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