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スタートから4ヵ月 物流・運送業界の2024年問題の現状と課題

ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2024年8月14日 17時55分

スタートから4ヵ月 物流・運送業界の2024年問題の現状と課題

元トラックドライバーで、物流ジャーナリストの坂田良平さんが8月13日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(毎週月~金曜・あさ6時~)に電話出演。物流業界の2024年問題について解説した。

※イメージ

トラックドライバーなどの時間外労働の新たな規制が、今年4月にスタートした。これは、ドライバーの長時間労働を防ぐことが目的だが、同時に輸送力の低下などの影響も懸念されている。これがいわゆる物流・運送業界の2024年問題である。

2024年問題の対策のために共同配送をおこなう企業

坂田)大手に関しては着々と対策を進めており、以前より効率化や低コスト化を実践した事例もあります。例えば、ファミリーマートとローソン。これは岩手県と秋田県で冷凍食品の共同配送をスタートしています。LIONやユニ・チャームといった日用品メーカー14社は、物流課題に共同で取り組む協議会を設置しました。昨日(8月12日)はイオンモールに入るテナント同士で共同配送を行うという報道があり、大手のメーカーや小売店が結託して物流の2024年問題の対策を行う取り組みは、無数に生まれています。

飯田)業態を超えて連携するところが増えているのですか?

坂田)珍しいものだと、ビール会社と即席麺の会社が共同物流を行いました。ビールのみだと重量オーバーのため、トラックの積載量に対してコンテナの半分が空いている場合に、即席麺のような軽いものを載せるという事例です。

対策が間に合わず、悲鳴を上げる中小零細企業

飯田)そういう意味では、まだまだ改善する余地があるということですか?

坂田)逆に言うと、いままでほぼ効率化を行ってこなかったという現状があるのです。大掛かりな物流改善に取り組む力が乏しい中小零細は、物流の2024年問題対策で出遅れています。特に代表的な例としては野菜や果物、魚介類などの一次産業です。一次産業では、地主側も中小零細が多いので、そのパートナーとなる運送会社も中小零細が多くなってしまうのです。そのため、せっかく生産した野菜が九州から東京、名古屋、大阪といった大都市まで輸送できないという悲鳴が上がりつつあるのです。

長距離輸送が制限されたことで、大都市に一次産業物が運べなくなった

飯田)長距離というのがやはり難しくなってきますか。

坂田)はい。一次産業の生産物というのは、いままで長時間労働といったコンプライアンス違反を地主側も承知で運送業者に任せて、運送業者側も仕方がないこととして長距離輸送を行っていたという実態があるのですが、物流の2024年問題で規制がかかったわけですから、このまま違反をつづけていると、運送会社側は行政処分を受けてしまいます。そのため、長距離輸送ができず、大都市への輸送が困難になり、悲鳴を上げる運送会社が出てきているのです。

飯田)出荷する側も運ぶに運べない、運んでくれる人がいないという状況が生まれてしまうということですね。

同番組に出演したジャーナリストの須田慎一郎は、賃上げの観点からトラックドライバーの人手不足解消策について言及した。

賃上げと人手不足は別の問題 待遇改善のための賃上げを進める政府

須田)物流改革も必要ですが、将来的な人手不足を解消するためには、賃上げがどうしても必要なのではないでしょうか。単価がなかなか上がらないことで、中小の業者がなかなか賃金を上げることができないという悩みもたくさんあると見えるのですが、今後改善していく傾向はありますか?

坂田)まず、賃上げと人手不足の問題は分けて考えるべきだと私は思います。いま政府が進めている対策は、ドライバーを増やそうとはしていないのです。少子高齢化によって、就労可能人口が減っていく日本において、トラックドライバーだけ人を集めようとすると、ほかの業界で人手不足が加速してしまいます。ではなぜ賃上げをするのかというと、いままでが安すぎたからなのです。運送業界は、平均より労働時間が2割長くて賃金が2割安いと言われていたのですが、アメリカのトラックドライバーだと、平均の収入が一般的な産業よりも2割以上高くて、一部のドライバーは2~3000万円の年収を得ているケースもあるのです。なので、待遇改善的な意味合いの賃上げという要素が強いと思います。

90年代の規制緩和以前に戻ることは可能か

飯田)90年代に規制が緩和され、そこから安値への競争になったという話も聞きますけれど、ようやくそこが巻き戻るということですか?

坂田)90年代の規制緩和で、運送会社の数は約4万3000社から6万社以上になりました。約1.6倍なので、当然過当競争に陥ります。なので、失われた30年間というのを、ここにきて躍起になって取り戻そうとしているというのが、いまの政府の対策だと考えています。

積載効率を上げるために展開される新たな対策

飯田)従来の、業界ごとに運ぶものが決まっている業務形態ではやっていけないという判断が、混載等が広がっている要因ですか?

坂田)いまトラックというのは、3台いたら2台は空車で走っているような状態です。積載効率が、平均で38%くらいと言われていて、これを倍にしてしまえば、倍の荷物を運べます。ただ、それを1社、あるいは1つの業界だけでまかなうのは、なかなか難しいです。

飯田)そのあたりの全体の調整をおこなう仕組みを、いまは民間同士で模索している段階なのですね。そのあたりのコーディネートを行う専門会社などが出てきてもおもしろいかも知れません。

坂田)実際に出てきている動きもあるのですが、現状に対してなかなか対策が追い付いておりません。

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