まもなく開幕! パリ2024パラリンピック! トヨタ自動車が、所属パラアスリートの壮行会を開催!
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2024年8月21日 8時0分
パリ2024オリンピックの後、8月28日からはパリ2024パラリンピックがスタート
8月28日から9月8日までの12日間に渡って開催されるパリ2024パラリンピック。出場選手たちも、パリに向かう前の最後の国内調整期間に入って行きます。そんな8月5日。トヨタ自動車東京本社で、所属パラアスリートの壮行会が行われました。
開催期間:2024年8月28日〜9月8日
出場国:185カ国 競技数:22競技 種目数:549種目
【壮行会 参加選手】
・鈴木朋樹(すずきともき)選手
(車いすマラソン、1500m:パラリンピック出場2度目 所属:社会貢献推進部)
・三木拓也(みきたくや)選手
(車いすテニス:パラリンピック出場4度目 所属:トヨタスポーツ推進部)
・高橋峻也(たかはししゅんや)選手
(パラ陸上 やり投げ パリパラリンピック出場(初) 所属:元町工場 車両工務部)
・半谷静香(はんがいしずか)選手
(視覚障がい者柔道:パラリンピック出場4度目 所属:トヨタループス)
壮行会が行われたのは、社員の皆さんが沢山集まっている食後の社員食堂。早々に食事を終えた社員の皆さんは、各選手を応援する横断幕やグッズを手に、壮行会の始まるのを待っています。また壮行会の様子は、全国のトヨタ自動車に向け、オンライン中継もされました。満場の拍手の中、4人が入場、自己紹介も兼ねて抱負を語りました。
三木選手「車いすテニスの三木拓也です。無事、パリ2024パラリンピックに内定することができました。今回で4度目の出場となりますが、メダルも狙える位置に来ていると思っているのでがんばります」
半谷(はんがい)選手「皆さんこんにちは。障がい者柔道女子48キロ級J1クラスの半谷静香と申します。三木さんと同じく、私も4回目のパラリンピックへの挑戦になります。昨年、怪我から復帰して、1年が経つタイミングで本番を迎えます。パリに間に合ってよかったなという気持ちと、今度こそ、誰にも負けない柔道をしたいなと考えているところです」
高橋選手「こんにちは、パラ陸上やり投げの高橋峻也です。横にいる皆さんと違って、私は今回がパラリンピックは初出場になります。この壮行会を通して、横にいる皆さんにパラリンピックについて、聞けることは、全て聞きたいなと思っています」
鈴木選手「こんにちは、車いすマラソンの鈴木朋樹です。今回、2度目のパラリンピックになりますが、東京パラリンピックの終わった3年前から、トヨタ自動車のカーボン技術で、競技用の車いすを作って頂きました。今回は、その車いすを使って、マラソンでメダルが獲れるように頑張りたいと思います」
所属部署からは応援メッセージ、そして豊田章男会長からは「勝ってこい!」の強プレッシャー!
トヨタ自動車に所属するパラアスリートの多くは、社内の部署や関連会社に所属しています。壮行会ではそんな所属先の皆さんからのメッセージVTRも流されました。特に、気合の入ったメッセージをもらった半谷選手は「皆さん、ユーモアがあって、元気をもらいました。メダルを持って帰ってきます。」と力強く話しました。
鈴木朋樹選手には、もう一つ、サプライズメッセージが届きました。先日、特別授業を行った晴海西小学校・中学校の生徒の皆さんから、素敵なメッセージボードが届きました。メッセージを見ながら鈴木選手は、「車いすレーサーで走っている絵とかも描いてくれて嬉しいですね。小学校・中学校のみんなに、メダルを持って帰ってくると約束をしてきたので、しっかり約束を果たしたいと思います。」と話しました。
トヨタ自動車の【豊田章男会長】からもメッセージが届きました。「アスリートは負けず嫌い。ここにいる人たちは、とにかく一番になって帰りたい、負けるのが嫌いです。よく〈参加する事に意義がある〉といいますが、本当は勝ちたい、勝ちたいのです。見えない努力も、ここにいるみんなはしてくれていると思います。負けず嫌いだから、その後ろ姿を見せて欲しいなと思います。で、そんな後ろ姿を見せてもらえるような環境づくりを私も支援していきますので、ぜひ頑張ってほしいなと思います。勝ってこい!」
このコメントを聞いた三木選手、半谷選手、高橋選手、鈴木選手の4人は「メチャクチャよいプレッシャーです。負けるのは、メッチャ嫌いです。大嫌いです。」と改めてメダル獲得に向け、負けん気を出していました。
3人のベテランと1人の新人。先輩からの教えとは
笑顔あふれる壮行会ですが、少し緊張気味の表情を見せていたのがやり投げの高橋峻也選手でした。鈴木選手、三木選手、半谷選手が、パラリンピックを複数回経験する中、高橋選手は今回が初出場ということで、3人からアドバイスを貰いました。
鈴木選手「自分が出場したのは、コロナ禍で観客のいない東京パラリンピックなので、特殊なパターンだと思います。だから、あまり参考にならないと思います。逆に、三木選手、半谷選手の話は、僕も一緒に聞きたいです」
三木選手「僕の場合は、ロンドン(イギリス)・リオ(ブラジル)・東京に出ています。ロンドンの時は、5000人の観客の前でプレーをしましたが、会場との一体感みたいなものを感じながらプレーが出来たと思います。選手としての幸福度というか「自分がやってきたものを見てもらえる」という気持ちを力に変えていければ良いかなと思います。見られて緊張するという気持ちより、見てもらえているという喜びに、気持ちをポジティブに変えれば、勝てるんじゃないかなと思います」
半谷選手「三木さんと同じで、私もロンドン(イギリス)・リオ(ブラジル)・東京に出ました。初めてのロンドンの時は、あまりの観客の多さに驚いてしまって、会場の雰囲気に完全に呑まれました。観客の声を楽しんだ時の方が、成績も良いし、ワールドグランプリとか、世界選手権と比べても、全然観客の数が違うので、そこはいつも通りというよりは、声援をパワーに変えた方が良いのかなって思いました。選手村の生活も、いつも通りとはいかない事が多いです。私の場合は、その特別な感じが好きだなって思って、パラリンピックの時は、その特別を楽しむようにしています」
高橋選手「観客が沢山いる中で試合をする機会が、国内のパラ陸上では少ないので、そこは気になりましたが、高校生の時、野球をやっていて、高校3年生の時には、甲子園に出場しました。甲子園の観客は何万人もいたので、今回は、その時を思い出してやろうかなと思います。呑まれる事もないと思います。話を聞いて安心しました」
車いすマラソン/1500m 鈴木朋樹(すずきともき) 1994年6月14日生まれ
所属部署:社会貢献推進部
生後8ヶ月の時、交通事故により脊髄を損傷。幼少時代から車いす生活を送る。4歳の時に両親の勧めで車いす陸上を始める。パリ2024パラリンピックは、トヨタ自動車のカーボン加工技術で作り上げた車いすレーサーで、車いすマラソンのメダル獲得を目指す。日本記録保持者
【パリ2024パラリンピック 出場スケジュール予定】
●9月3日1500メートル予選 4日1500メートル決勝
●9月8日車いす男子マラソン
Q:2回目のパラリンピックはどうですか?
A:めちゃくちゃ楽しみですね。東京パラリンピックの時は、800m、1500m、マラソン、リレーの4種目に出場して、ユニバーサルリレーで銅メダルを獲りました。今回は1500mとマラソンに絞って出場します。
Q:本命であるマラソンに多くの力を注げるということですね。
A:全集中できるということですね。今回のマラソンコースは、石畳や凱旋門だったり、テクニカルな要素が増えています。東京の時は、めちゃくちゃ綺麗な路面を、スムーズに走ることが楽しかったのですが、パリは色々な難関があるかなと思っています。
Q:その難関を乗り越える為に、トヨタ自動車のみんなで製作した新しいフルカーボンの車いすレーサーが鍵になってきますね。
A:めちゃくちゃ鍵になってきますし、自分の力になってくれると思います。デザインもそうですし、機能的にもメチャクチャ良いものが、この3年で出来たと思います。
車いすテニス 三木拓也(みきたくや) 1989年4月30日生まれ
所属部署:トヨタスポーツ推進部
高校時代は硬式テニスで活躍。しかし高校3年生の時、左の膝関節に骨肉腫がみつかり人工関節を入れる。リハビリに励む中、車いすテニスの国枝慎吾さんを見て車いすテニスを始める。パラリンピックは、ロンドン・リオ・東京の3大会に出場。現在の世界ランキング:シングルス9位、ダブルス4位(8月2日時点)
【パリ2024パラリンピック 出場スケジュール予定】
●8月30日シングルス予選 〜 9月6日ダブルス決勝
Q:8月30日のシングルス予選から9月6日ダブルス決勝までと、競技日程が長いですね。
A:まあ、これがテニスのスケジュールということで通常運転です。
Q:パラリンピックは4回目ですが、残念ながらまだメダルがありません。今回、メダルの自信はどうですか?
A:現在、シングルスが世界ランキング9位、ダブルスは4位。ダブルスでは、ペアがいるので、実質第2シードということで、メダル圏内に来ることが出来ています。3度目の正直じゃないですけど、4度目の正直でメダルを獲って、皆さんに報告ができたらなと思います。
Q:パラリンピックでも使われるテニスコートで行われた全仏オープンで、良い結果を残しました。
A:そうですね、シングルスでベスト4、ダブルスは準優勝でした。
Q:期待しちゃって……いいですよね。
A:それはもう、力になるので期待してください。
Q:三木選手の車いすも、鈴木選手の車いすレーサーと同じように、トヨタ自動車のカーボン課の協力で作られたそうですね。
A:そうですね。鈴木選手と似たような時期に制作がスタートしました。僕の場合は、フレームではなくて、座っている部分・シートを造ってもらいました。
Q:シートをカーボンで作るとどんな所が良いのですか。
A:車いすテニスは色々な方向に動きます。その時にお尻の部分だったり、足だったり、色々な部位を使います。個人に合わせてカーボンで作ると、圧というか、自分の体の軸を作る場所を、自分の好きな所持って来られる。動きやすく、自分の思い通りに車いすも動いてくれるようになります。いろいろテストを重ねながら調整をしましたが、調整する度に、試合の成績が良くなるという好循環でした。
視覚障がい者柔道 半谷静香(はんがいしずか) 1988年7月23日生まれ
所属:トヨタループス
生まれつき網膜色素変性症という進行性の目の病気を患い、現在は光を感じる程度。兄の影響で健常者の柔道を始め、大学時代に視覚障がい者柔道と出会う。初出場のロンドンパラリンピックで7位。リオ・東京は5位。東京パラリンピックまでは、全盲と弱視が一緒のカテゴリーで戦っていたが、東京後、(J1)全盲と(J2)弱視にクラス分けされ、パリでは全盲のクラスで戦う。
【パリ2024パラリンピック 出場スケジュール予定】
●9月3日 視覚障がい者柔道 J1(全盲)クラス
Q:半谷選手の競技日程は、1日での勝負ですね
A:1日で終わります。朝から夕方までなので、体力が持つように調整していきたいと思います。
Q:半谷選手も三木選手と同じく4回目のパラリンピックですが、今回のパリは、過去の大会とどこが違いますか?
A:私の中で、大きく2つ違いがあります。
1つがクラス分けです。私たち視覚障がい者柔道は、これまで〈見えない選手(全盲)〉と、〈見えにくい選手(弱視)〉が一緒に競技をしていたのですが、このパリパラリンピックから、〈見えない選手〉は〈見えない選手〉だけで、一つのメダルを争う事になりました。私は、2019年から〈見えない選手〉として活動をしているので、この大会は、私にとって初めて〈見えない選手〉のメダル獲得を目指す大会になります。
もう1つは怪我。大きな怪我をして、初めての手術をして、1年がたったタイミングという事で、自分の力がどれ位出るのかな?というドキドキ感、ワクワク感を持って立つ大きな舞台という所です。この2点が私にとって、これまでの大会との大きな違いです。
Q:半谷選手は、自分の柔道を緻密に考えて遂行するのが好きだとお聞きしました。そして動作などを言葉にする事も好きだと伺いました、ここで半谷選手の柔道を説明してもらえますか
A:はい。まず私の趣味は〈言語化〉です。もともとは運動が凄く苦手な所から柔道を始めたので、感覚で柔道が出来たという経験が少なくて、コーチの力を借りながら、〈言語化〉をしています。柔道の面白いところは〈力の通り道〉が整った時に相手を投げる。その感覚が大好きです。
Q:〈力の通り道〉とは?
A:お互いが疲れている状態の中でも、必ずそのタイミングが来る。私の力と相手の力がぶつかっている中に〈通り道〉が出来てくるので、それをじっくり〈待つ〉。せっかちな私にとって〈待つ〉が今回の課題でもあります。掛け急がない。掛け急ぐと返されちゃう時もあるので。やっぱり掛け急がない事が大切かなと、自分の中では思っています。
Q:視覚障がい者柔道は、健常者の柔道とどんな所が違うのですか?
A:視覚障がい者柔道は、最初から組み合った形で競技が始まります。健常者は、組み手争いが大事ですが、それがありません。組み合っている所から始まるので、いつ技がかかってもおかしく無い状態で試合が行われます。
競技の魅力として、すぐに決着が付くという所もあるのですが、すぐに負けてしまう可能性もあれば、永遠に終わらないパターンもある。組んでいる私とすれば、腕がパンパンになるのでいい加減にしてくれと思うのですが、ゴールデンスコア(延長戦)になれば、試合時間が長ければ長くなるほど、私に勝ち目がくると信じているので、疲れてもやれると自分では思っています。」
パラ陸上やり投げ 高橋峻也(たかはししゅんや) 1998年7月2日生まれ
所属部署:愛知・元町工場 車両工務部
3歳の時に患った脊髄炎の影響で、右腕に障がいを負う。父親の誘いで、小学3年生から野球を始め、左手のグラブを瞬時に外し、左手で送球をする「グラブスイッチ」を習得。高校3年時には、夏の甲子園へ出場。出場機会はなかったもののこれがきっかけとなり、大学陸上部監督からスカウトされ、パラ陸上に転向する。5月・神戸で行われた世界パラ陸上では6位。パリが初のパラリンピック出場となる。
【パリ2024パラリンピック 出場スケジュール予定】
●9月3日 パラ陸上 やり投げ
Q:やり投げも、1日で終わる日程ですね。
A:やり投げは全部で6投投げるのですが、最初の3投でベスト8に入らないと、もうその先にいけないという、結構、過酷な基準があります。だから1投目から、自分の最速の助走スピードで投げ切るという事を意識して、あとは何も考えず〈無の境地〉で投げるのが一番で、自分の記録に自信を持って投げる事がベースかなと思います。
Q:最近〈無の境地〉にたどり着いた瞬間があったそうですね?
A:はい。神戸で行われた世界パラ陸上で。それまでは、試合中に考え過ぎてしまって、自分の実力が出せない事があったのですが、神戸パラ陸上の最終投てきで、何も考えずに、ゾーンに入る事が出来て、そうしたら良い結果が生まれたので、良い経験をしたなと思います。
Q:現在、オリンピックが開催中で、陸上競技も始まっています。テレビで競技場の雰囲気を感じられると思いますけど、どんな感じで見ていますか?
A:そうですね。観客数は、日本と比べて桁違いに多いですね。自分も三木選手と同じで、応援されたり、観客が多い状況が一番力になるので、ぜひ皆さんは、僕に声をかけたりして、プレッシャーをかけてほしいなと思います。」
開催期間:2024年8月28日〜9月8日
出場国:185カ国 競技数:22競技 種目数:549種目
取材・文・写真:横井通人
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