離島防衛「国益になる海洋資源の探査・開発に際しての国の軍事的なバックアップも」石川和男が必要性に言及
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2024年8月24日 9時0分
政策アナリストの石川和男が8月24日、自身がパーソナリティを務めるニッポン放送Podcast番組「石川和男のポリシーリテラシー」に出演。日本の離島や海洋資源の探査・開発に関する防衛体制のあり方について専門家と議論した。
森下泰臣陸上幕僚長は7月25日の記者会見で、小笠原諸島の南鳥島(東京都)に陸上自衛隊の「12式地対艦誘導弾」の訓練用射撃場整備を計画していると明らかにした。2026年度以降に運用を開始できるよう調整を進めており、現在はアメリカやオーストラリアの演習場で実施している訓練を国内で実施できるようにする。防衛省は「12式地対艦誘導弾」について、有事が発生した際に相手の基地などを攻撃する「反撃能力」としても使用するため射程を約1000kmに伸ばす計画で、長射程のミサイル発射試験も行われる見通し。
南鳥島周辺では今年6月、東京大学と日本財団が深海調査を行い「マンガン団塊」と呼ばれる鉱物が密集する「有望な海域を特定した」との結果も報じられている。
番組にゲスト出演した元航空自衛官で評論家の潮匡人氏は、今回の訓練用射撃場整備について「周辺国の似たような兵器(地対艦ミサイル)の射程がどんどん伸びている。周りの国がどんどん射程を長くしているのに、自衛隊だけが専守防衛などの理屈のもとで長くしちゃいけないということになると、そもそも防衛すらおぼつかないではないかということで、12式地対艦誘導弾についても射程を約1000kmと報じられているようにものすごく長く伸ばす。そうすると、日本国内のどこで射撃訓練をすればいいのかとなる。南鳥島は本州から2000kmも離れており、こうした長いレンジのものの射撃訓練には絶好の場所だったというのが大きな理由」と背景を述べた。
さらに、日本の領海と排他的経済水域(EEZ)をあわせた海の面積は世界6位、容積は世界4位であることに触れ「(海には)様々な資源がある。深い海底に眠っている貴重な資源も多い。例えば5000メートル以上深い海の保有体積は日本が世界1位。いわば恵まれた財産をこれまでも国際法上持ってきたが、なかなか歴代内閣はそうした意識を持っていない」と指摘。尖閣諸島における中国海警局船舶の領海内への侵入などを挙げ、「日本の排他的経済水域なのにその排他性が全く生かされていないということが既に起こっている。南鳥島はポツンと太平洋上に島があり、仮にこの島をどこかの国に奪われてしまうと、周りの領海、そして排他的経済水域をすべて失うということをなる。そうした観点も私は重要だと思う」と離島防衛の重要性を語った。
石川は南鳥島でレアメタルが密集する海域が特定されたとの調査結果を挙げ、民間企業が資源探査や開発を行う際の国の軍事的なバックアップの必要性について言及。「資源は国益になる。資源の確保という観点からも、諸外国では軍事のバックアップがある。自国の民間船や民間人が攻撃されたら直ちに反撃ないし保護するというようなことが取られている。そういう準備が日本ではなされておらず、ものすごくぜい弱と言わざるを得ない」と述べ、海洋資源の探査・開発に関する防衛強化の必要性を訴えた。
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