パリ2024パラリンピック™で大躍進! トヨタ自動車所属4選手が報告会で明かした好成績の秘訣、そして関係者との絆とは?
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2024年9月25日 8時0分
8月28日から9月8日まで12日間にわたって開催されたパリ2024パラリンピック。日本は前回大会を超える金メダル14個を獲得するなど、大躍進を遂げました。
激闘を終えた選手たちが帰国して間もない9月13日、東京ミッドタウン日比谷1F「LEXUS MEETS…」にて、大会に出場したトヨタ自動車所属パラアスリート4名による報告会が行われました。
【報告会 参加選手】
・三木拓也(みきたくや)選手
(車いすテニス パラリンピック出場4回 所属:トヨタスポーツ推進部)
・半谷静香(はんがいしずか)選手
(視覚障がい者柔道:パラリンピック出場4回 所属:トヨタループス)
・鈴木朋樹(すずきともき)選手
(パラ陸上 パラリンピック出場2回 所属:社会貢献推進部)
・高橋峻也(たかはししゅんや)選手
(パラ陸上 やり投げ パラリンピック出場1回 所属:元町工場 車両工務部)
※パラリンピック出場回数は今大会含む
トヨタ自動車では、ネバーギブアップの精神で、自分の限界を超えて戦うアスリートたちを応援するため、多くのアスリートと契約をしていますが、今回のパラリンピックに出場したトヨタ自動車所属4選手全員が入賞以上、うち3選手がメダル獲得と大活躍! 最初に大会を振り返りました。
三木選手:4回目のパラリンピックで初めてのメダルということで本当に濃い大会で嬉しさもあり、悔しさもあり、いろんな感情もこみあげてきたパラリンピックになったと思います。
半谷選手:私も4回目のパラリンピックでした。ようやくメダルに届いたなあという印象です。試合内容としては待って待って待ち続けてチャンスが来た、我慢の上で実力を出しきった大会だったと思います。
鈴木選手:パラリンピック出場は自分は2回目。東京大会ではユニバーサルリレーでのメダルでしたが、今回は個人、マラソンでメダルを獲得できました。すごくサバイバルなコースできついと思うところもたくさんあったけど、メダルという形に結果を残せて嬉しいです。
高橋選手:自分は初めてのパラリンピック出場になりました。大勢の観客の中で自分の実力を発揮して6位入賞という形になったのでその点は自信になりました。4年後、しっかりメダルを獲得できるようこれからも頑張っていきたいと思います
さらに、今大会は2大会ぶりに有観客で開催され、盛り上がりぶりは日本でも伝えられました。大会の印象、グッと来た瞬間なども4選手が答えてくれました。
三木選手:今大会は過去4度のパラリンピックでおそらく一番お客さんが入ったし、盛り上がりも過去最高でした。自分の場合グランドスラムと同じ会場でプレーをするんですけど、それと比べても圧倒的にお客さんは入った印象でした。かつ、パラリンピックということでテニスになじみのない方もいらっしゃったみたいで、そういったことも踏まえると来年全仏オープンもまた見に来たいなあって思ってもらえるようなクオリティの試合をぼくたちができたと思っているので、そういう意味でもものすごく見ごたえのある大会だったと思っています。
半谷選手:出場した4大会の中で最も盛り上がった大会だったなと感じています。フランスは柔道大国で、日本の何倍もの柔道ファンがいます。試合をしていく中で盛り上げてもらって、私たちが気持ちよく試合ができる、背中を押してもらっているような歓声が気持ち良かった印象です。柔道初日は日本人は私1人だけでしたが、こんなにいっぱいの日本人がいるんだなって思えるくらいの日本語での応援があって、畳の上では1人じゃないんだ、って強く励まされた大会でした。
鈴木選手:私は無観客の東京大会がパラリンピックに初出場で、今回有観客は初めてでした。1500mで競技場に立った時も、マラソンの時も声援がめちゃくちゃすごかった。パラリンピックという舞台で応援してもらえるというのはこういうことなんだな、って初めて感じましたし、一方で東京パラリンピックが無観客だったことがすごく残念だと改めて思いました。
高橋選手:自分の試合の時はスタッド・ド・フランスの観客数が5万人以上。これまで聞いたことのない歓声ではあったんですけど、(自分が)6位への歓声とメダリストへの歓声は全然違っていたものだったので、悔しい、実力不足だなって感じる部分がありました。4年後のロス大会ではメダリストになって、この歓声を自分にもらえるように改めてなりたいと思いました。
会場となった「LEXUS MEETS…」から4選手にプレゼントが贈呈される一幕も
そして全体報告会終了後、各選手たちへ個別インタビューが行われました。インタビューを通じて見えてきたのは、輝かしい成績の裏に隠された選手たちの努力や工夫、そして選手同士や関係者との「絆」でした。
三木拓也選手 ~次世代エースと共につかんだ初メダル、そしてレジェンドからの言葉
車いすテニス 三木拓也(みきたくや) 1989年4月30日生まれ
所属部署:トヨタスポーツ推進部
パラリンピックは、ロンドン・リオ・東京・パリ4大会に出場。
今大会はシングルス9位。小田凱人選手とのペアで臨んだダブルスで自身初の銀メダル獲得。
Q. ダブルスでは18歳・小田選手とのペアでしたが、意識されたことは?
三木選手:彼は若さもあって、勢いもものすごくあるので、そこにできる流れを自分がどれだけ止めずにうまく良い方向に流していけるか、みたいことを自分の中で考えてプレーしていました。
Q. 決勝戦では小田選手とどんな戦い方をされましたか?
三木選手:例えば、僕が前に出てボールを散らしたり、逆に相手を前に引き出すようドロップショットを使ったり、相手をこんなふうに動かすという部分で、彼らの的を絞らせないようプレーしよう、というのは2人ともトライしていたかな、と思います。
Q. 三木選手にとって小田選手はどんな存在ですか?
三木選手:今までは国枝慎吾さん(パラリンピックで金メダル合計4個獲得、昨年国民栄誉賞受賞)がずっと車いすテニス界を引っ張ってきましたけど、それをやっと追い越せそうかな、という時に小田選手が現れた。攻撃的なテニスでタイトルを獲って、逆に今度は彼を超えないと世界1位になれないという環境ができつつあります。そういった影響力みたいなものは若手が出していくべきだと思いますので、スポーツ界にとって小田選手みたいな若手の出現は本当に喜ばしいことだと思います。
Q. 期間中、会場で国枝慎吾さんとも写真を撮られていましたが?
三木選手:車いすテニスといえば、国枝さん。「本当に悔しいと思うけど次、それが糧になるから」みたいなお話をしました。自分はパラリンピックに次出られたとしても最後になるので、これからの4年は最後の集大成と考えています。
半谷静香選手 ~コーチからの言葉「こだわれ!」で勝ち取った初のメダル
視覚障がい者柔道 半谷静香 1988年7月23日生まれ
所属:トヨタループス
初出場のロンドンパラリンピックで7位。リオ・東京は5位。
今大会は視覚障がい者柔道J1(全盲)クラスで自身初となる銀メダルを獲得した。
Q. 過去3大会から、取り組みで変えたことは?
半谷選手:コーチが磯崎先生に変わってから、相手の動きを感じる、良い姿勢で柔道をする、というのが大きなテーマでした。磯崎先生と出会えて、以前より柔道が面白くなって、どんどん好きになって、試合をするたび自分が上手になっていく過程が面白くなりました。
Q. 本番では手に汗握るような接戦が続いていましたが、精神的に切らさないように、というところで工夫されていたことは?
半谷選手:「待て」がかかるたび、自分のまっすぐを確認するために小刻みにジャンプすることと、今自分の何%の力を発揮できているのか、全力の何%なのかを問いかけるようにしていました。そして磯崎先生の「こだわれ!」という声が大歓声の中でも聞こえてきて。やらなきゃいけないことを1つずつやっていった感じです。長くなってしんどい時こそ、こだわった方が安心して柔道できたので、こだわることは意識しました。
Q. 「こだわる」とは具体的にどういった意味ですか?
半谷選手:釣り手と引き手の握り方だったり、良い姿勢を保つことだったりでしょうか。相手の力を感じるためには自分の手足の力を抜く必要があって、それをするために体を良い姿勢に保つ必要がありました。自分の癖で、疲れてくると反対向きに握ったりとか甘く握ったりという癖があって、癖を出さないよう基本に忠実に、ということですべてを意識させる短い言葉が「こだわれ」という言葉。磯崎コーチが集約してくれました。この一年間、この言葉をずっとかけてくれたので、今回も強く意識でき、そしてメダルへつながりました。
鈴木朋樹選手 ~本音をぶつけあって生まれた最高の車いす
車いすマラソン/1500m 鈴木朋樹 1994年6月14日生まれ
所属部署:社会貢献推進部
初出場の東京パラリンピックではユニバーサルリレーで銅メダル。
今大会は2回目の出場。1500mで7位入賞、車いすマラソンで銅メダル獲得。
Q. 新しい車いす製作のため、豊田章男会長に直訴されたと聞きましたが?
鈴木選手:東京大会の後に会長とお話をした時、(競技用車いす製作を)うちがやっていない? じゃあやろうよ!みたいなすごく良いお声がけをいただいて、そこから車いす製作がスタートしました。
Q. 完成した車いすの乗り心地は?
鈴木選手:一昨年12月に最初の車いすができあがりましたが、実は正直あまり乗り味が良くなかったんですよ。いろんな人に協力してもらってできたものをまずい、と言えなくて。でも、開発チームの方の1人に「選手からは好きに言ってもらった方がいい、思ったことを全部言ってもらって、できるできないは置いておいてそれをやるのがエンジニアの仕事」と言われた時ハッとしたんですよ。そうか、我慢している方が彼らにとって悪いことなんだと思って、そこから自分もどんどん意見するようになって。そして、今年2月にできあがったものをパリで使いました。この車いすを使って、2月のドバイの大会では1500mで日本新記録を出せて、3月の東京マラソンでは優勝できました。
Q. パリ大会で銅メダルを獲ったマラソン本番中、どんなことを感じながら走っていましたか?
鈴木選手:本番中に感じたのは、(この車いすは)体に密着して体にちゃんと数値化して作られたものなので、自分が伝えた力が100%競技に生かされている、ということ。それがメリットかなと。さらに、フルカーボンで軽く作られているので、上り坂とか、アスファルトの路面ではスピードがバッと上がる部分があったのでそういったところで他の選手に差をつけられたと思います。
高橋峻也選手 ~先輩の励まし、同僚たちの声援で果たせた入賞
パラ陸上やり投げ 高橋峻也 1998年7月2日生まれ
所属部署:愛知・元町工場 車両工務部
パラリンピックには今大会初出場で、6位入賞を果たした。
Q. 壮行会ではワクワクされている様子でした。本番は楽しめましたか?
高橋選手:はい。テーマパークにいるような感覚で、緊張というより楽しいという気持ちでした。自分自身すごく調子が良かったので早く試合をしたい、という気持ちでいっぱいでした。
Q. 他の選手たちと会話はされましたか?
高橋選手:やっぱりトヨタの選手、鈴木朋樹さん、半谷静香さんは先輩なので、アドバイスをいただいたりしたことが選手村でありました。内容は、過ごし方というより、どういう気持ちで練習して本番を迎えたらいいかとか。シンプルに今日頑張れよ、という言葉もいただきました。
Q. 本番ではトヨタの方からの熱い応援があったそうですね?
高橋選手:工場長と同僚の方がパリ現地に応援に来てくださって「高橋峻也」という横断幕をかけてくださいました。おかげで本当にいつもどおりの気持ちになれたと言いますか。冷静にプレーできたのは、同僚、工場長のおかげだったので感謝でいっぱいです。これからしっかり感謝の気持ちを伝えたいと思います。
Q. 他の競技、選手に刺激を受けたりしましたか?
高橋選手:三木拓也さんのダブルスの決勝戦を見に行かせていただいたんですけど、メダル争いをしている先輩の姿を見られたことはすごく自分の中で財産になりました。三木さんに追いつきたいという気持ちが芽生えて、今度は自分がメダル争いをして応援される側になるように、と試合を見て強く思いました。次回は代表権を得るのも大事ですけど、メダルを獲得するために64m以上の記録が必要なので、どうやったら64mを投げることができるか、コーチとしっかり話し合ってやっていきたいです。
開催期間:2024年8月28日〜9月8日
出場国:168カ国 出場者数:約4400人 競技数:22競技 種目数:549種目
日本のメダル獲得数 金14 銀10 銅17 合計41
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