まずは党内ガバナンス 野田新体制で立憲民主党の今後は
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2024年9月26日 16時20分
③野田新体制で決まった新役員(9月24日 両院議員総会で)
「報道部畑中デスクの独り言」(第385回)
ニッポン放送報道部畑中デスクのニュースコラム。今回は「立憲民主党の今後」について。
自民党総裁選挙に先立ち、9月23日、立憲民主党の新代表が野田佳彦氏に決まりました。東京プリンスホテル鳳凰の間で行われた臨時党大会。各候補のいで立ちですが、ネクタイは紺と茶を基調とした柄物が野田佳彦氏。紺のドット柄が枝野幸男氏。黒に見える紺のモノトーンが泉健太氏。そして、吉田晴美氏はオレンジのブラウスは着ていたものの、ライトグレーのジャケットで色味を抑えていました。能登豪雨災害への配慮とみられます。
冒頭では各候補による約7分間のスピーチが展開されました。
「党勢拡大のための代表選ではない。政権を取るための戦いにしなければいけない」
こう訴えたのは首相経験者の野田氏。自らを含めた議員の落選経験、旧民主党政権から下野した後の体験を「夜の闇と夜の冷たさを知っている」と表現しました。
「いまこそ国民の期待を受け止め、政治不信を克服しなければならない。私たちこそが正念場だ」
立憲民主党の“創設者”枝野氏は「国民が求めているのは右とか左とか、保守とかリベラルとかいう古いレッテルではない」と述べ、党の持つイメージの払拭に努めていました。
「総選挙に負けてからの党運営は過酷な試練の連続だった。党勢は徐々に回復してきた」
現代表の泉氏は党勢回復の実績を強調。「党を割らない、仲間を大切にする責任をもって、この党を率いる」と述べ、党内融和を訴えます。
「徹底的に生活支援。自民党との明確な対立軸を示さなければならない」
1回生の吉田氏は教育の政策の最重点に。「ジェンダー平等を掲げるわが党で女性候補が出ないという選択肢はない」と述べ、立候補するまでの苦悩を述べました。
1回目の投票ではポイントが野田氏267、枝野氏206、泉氏143、吉田氏122。地方票では枝野氏が71ポイントで、野田氏の58ポイントを上回り、枝野氏は決選投票に希望をつなぎました。客席は終始静かに結果を見守っていましたが、結果発表で唯一「オー」と小さな歓声が上がった場面がありました。それは議員票と公認候補予定者票の合計で泉氏が84ポイントで、枝野氏を1ポイント上回ったことが判明した瞬間でした。泉氏は3位に沈みましたが、ここに現代表の意地を感じました。
過半数に至った候補がおらず、決選投票に。地方議員や党員・サポーター票が計上され、計740ポイントだった1回目の投票とは違い、決選は都道府県票47ポイント、国会議員、国政選挙公認候補予定者を加えた417ポイントに。より国政選挙関係のウェイトが大きくなります。
その結果は野田氏232、枝野180。当選が決まった瞬間も野田氏には笑顔はなし。一方、枝野氏は自分に結果を言い聞かせるように細かくうなずいていました。
「急がなければならない。戦いの準備を進めていく。きょうからノーサイド挙党態勢で政権を取りに行こう」
野田新代表の決意表明の後、「ガンバローコール」で臨時党大会は終了となりました。
党大会が終わった後の野田新代表の記者会見は、選挙戦からひとまず解放されたからか、私にはやや“放心状態”に見えました。記者の質問にも短く答えることが多かったように思います。私もこのような質問を繰り出しました。
(畑中)立憲民主党が政権を目指すのであれば、ガバナンス(統治能力)の構築が何よりも重要だ。旧民主党時代、党が分裂したり、“決められない政治”というレッテルも貼られた。同じ轍を踏まないために、野田さんはこれからどうされていくのか?
(野田)2012年で政権を手放して以降、12年経って、その後立憲民主党に至るまで民進党なども経験してきたが、それぞれに過去の反省があると思う。その意味では、一度決めたことを反したことをするとかという政治文化はずいぶん消えてきた。その意味では成長していると思う。もちろん、そのためには丁寧な議論をして意思決定をしていきたい
野田代表は“成長”を強調する中、今後については「丁寧な議論」と言葉少なでした。緊張から解放された直後で、やや難しい質問だったかもしれません。
新代表決定前にこんなことがありました。決選投票が終わり、閉鎖された議場が開放され、多くの人がどっとお手洗いに繰り出しました。私も行列に並んだのですが、偶然にも私の後ろには野田氏が待っていました。伏し目がちな野田氏に声をかけてみました。
「緊張……ですか?」
「そりゃそうですよ」
一瞬、相好を崩した野田氏。思えばこの“トイレタイム”が唯一緊張がほぐれた時間だったかもしれません。一方、「急がなければいけない」と、翌日断行された骨格人事では幹事長に小川淳也氏を起用。また、政調会長には当選4回の重徳和彦氏が抜擢されました。
「未熟不慣れがあることは当然なこと。自らの役割をよく自覚して誠心誠意、全身全霊で取り組んでいきたい」(小川氏)
「総選挙をめがけて強いマニフェスト(政権公約)をつくっていきたい。中堅若手の声が届かないと言っていたが、言い逃れはできない」(重徳氏)
このあたり「刷新感」の演出となるでしょうが、骨格となるポストに代表選を戦った3人の名前はなし。野田氏に投票した人が目立ちます。「論功行賞」の色彩が濃く、さっそく党内では不満の声が出ています。しかし、接戦とは言え、民主的な手法で選ばれた代表です。ここで不協和音がマグマになれば、これまた元の木阿弥。政権担当どころか、「評論家団体」の域を出ることはないでしょう。
「最大の政治改革は政権交代だ」
代表就任後、朝の都内で街頭スピーチを始めた野田代表。代表選を「準決勝」、総選挙を「決勝」と位置付ける中、党内のガバナンスをどう構築していくのか…手腕が問われることになります。
(了)
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
第2次石破内閣発足も、混乱極める「宙づり国会」 「玉木氏不倫」少数与党とバラバラ野党の"遭遇戦"
東洋経済オンライン / 2024年11月13日 10時0分
-
ニュース裏表 安積明子 世論のホンネは「政権交代」にあらず 政策実現を求める国民の声も 玉木代表率いる国民民主党は執拗な〝圧力〟の標的に
zakzak by夕刊フジ / 2024年11月13日 6時30分
-
「立憲民主党の躍進」はマスコミのウソ…「自公過半数割れ」の石破首相に主役を奪われた"本当の敗者"の名前
プレジデントオンライン / 2024年11月6日 16時15分
-
「手取りを増やすために石破首相を支持する」と言えばいいのに…石破政権にこっそり手を貸す国民民主の狡猾さ
プレジデントオンライン / 2024年11月1日 7時15分
-
「石破首相」を選んでも地獄、「野田首相」を選んでも地獄…国民民主・玉木代表がこれからたどる"いばらの道"
プレジデントオンライン / 2024年10月30日 11時45分
ランキング
-
1「スギ薬局」が別患者の薬混入し女性死亡 遺族に調剤ミス認め、4000万円支払いで和解
産経ニュース / 2024年11月22日 17時29分
-
2【判決】“不倫を続けるため殺害” 妻と1歳の娘を殺害した男に無期懲役 裁判長「酌むべき点は皆無」と断罪 《新潟》
TeNYテレビ新潟 / 2024年11月22日 19時22分
-
3日本一の納豆は?消費量が全国46位の大阪で『全国納豆鑑評会』 会長「納豆のおいしさに、まだ目覚めていただいていない」
MBSニュース / 2024年11月22日 18時0分
-
4大阪・貝塚市の港 両脚縛られた遺体は大阪市の26歳男性と判明 両親は「将来の夢を持って、毎日頑張っていた」
MBSニュース / 2024年11月22日 16時5分
-
5新潟市南区妻子殺害事件 被告の男に無期懲役の判決 新潟地裁
BSN新潟放送 / 2024年11月22日 15時2分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください