『上柳昌彦 あさぼらけ』~ジャーナリスト・池上彰氏に難民についてインタビュー~
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2024年10月2日 17時45分
ニッポン放送のラジオ番組『上柳昌彦 あさぼらけ』内の新コーナー「国連UNHCR協会 presents 未来と希望の贈り物」。(放送時間 月曜日 朝5時~6時
火曜~金曜 朝4時30分~6時)
第3回目となる放送では、ジャーナリストの池上彰氏と電話を繋ぎ、上柳 が「難民」について話を伺った。
パレスチナのガザ地区やヨルダン川西岸地区、シリアなど、実際に難民キャンプに何度も足を運ばれており、UNHCRの活動に賛同している池上さん。
番組では、実際にソマリアからの難民がアフリカ北東部に位置するジブチ共和国にやって来て、砂漠の中に急遽テントがつくられてできた難民キャンプを訪れた際の話を聞いた。
池上さん:「行ってみて初めて分かったんですが、よくアフリカの子どもたちの顔とか目の周りにハエがたかっている映像を見たことがあると思うんですが、砂漠地帯は水がないため、子どもたちの涙の水分を求めてハエがたかってくるんですね。他にも例えば怪我をしてそこが膿んでしまうと、その水分を求めてハエがやってくるという悲惨な現場もあります。
一方で、シリアからヨルダンに入ってくる難民はみんなスマートフォンを持っていて、それで連絡を取り合ったりもしている。一人が自分のシリアの家の写真を見せてくれたんですが、日本だとちょっと豪邸のような立派な家だったりするんですね。だから難民と言っても本当に貧しい人もいれば、たまたま内戦になってしまったために家を追われてしまったごく普通の人、あるいはちょっといい生活をしていた人もいるんですね。」
そういった方たちに対して、UNHCRではどういった支援をしているのだろうか。
池上さん:「まさに応急手当ということだと思うんですよね。難民が出てきたばっかりということだとテントを張ったり、食事や水を提供したりといった命をつなぐといった支援をするわけですけれども、その時々の状況によって支援の形も変わってきます。
難民の方の中にはたくましい人もいて、UNHCRの引いた電気を勝手に取って食事を作り、他の人たちに売り込む、みたいなことをする人もいるわけですね。たくましいですが、びっくりしましたね。
『こんなことをUNHCRが認めていいんですか?』と聞いたら、『この人たちもいずれ故郷に帰っていかなければいけない。その時に難民キャンプを出ても、自活できるような生活力を維持しなければいけない。つまり施しを受けているだけでなく、自ら生きていく、そういう力をつけてもらうという役割もある』と。なるほどなと思いましたね。
最終的には、全員が難民キャンプを出て故郷に戻れるのが1番。
その理想に向かって少しずつでもなんとかしようというのが現時点での取り組みです。」
と難民援助活動の内容や、その重要性について語った。
上柳アナ:「『そういった話はわかるんだけども、日本にだってお金がなくて困っている人がまだたくさんいるのに何で海外の難民の人たちを助けなきゃいけないのか』という意見もあるようですが…」
池上さん:「その疑問はよくあるんですよね。私は《情けは人の為ならず》という言葉が好きで。最近は意味を勘違いしている人も多いですが、正しくは《ある人に情けをかけるとまわりまわって、巡り巡って自分のためにもなるよ》という意味ですよね。
例えば第二次世界大戦後の日本が本当に貧しかったとき、様々な国際機関から支援を受けてとりあえず飢えをしのいだという現実がありました。だから今の子どもたちには、『君たちのお父さんお母さんの、さらに前のお父さんお母さんがそういう支援によって生き延びる事ができたから、いま君たちが存在しているんだよ。だから今度は私たちが貢献する番だよ』という話をします。
それから、例えば難民キャンプできちんと支援を受けていないと、イスラム過激派が出てきて世界にテロが拡がっていくということもあります。難民キャンプで感染症が拡がると、それがあっという間に世界に広がっていってしまうかもしれません。難民キャンプで支援をし、そこの人たちが清潔な環境で、あるいは病気になってもすぐに治療が受けられる環境にしておくことが、将来私たちにとって大きな影響や被害が出ないで済むようになる、という話をよくしています。」
上柳アナ:「よくわかりました。この間、国連UNHCR協会の街頭募金キャンペーンを取材させていただいたんですけれども、思った以上に人が立ち止まってくれていました。『実は私は寄付をしているんです』とか『前々からすごく関心があったんだけど、どうすればいいかわからなかった』というようなお話をされている方がいらっしゃいました。
このコーナーのような場などを聞いていただいて、そういった方が一人でも増えるといいなと思いました。
池上さん、ありがとうございました。」
今改めて「平和」について考えたとき、世界中で家を追われた人や、自分たちの未来のために今できることを考え、少しでも何か行動していくことが大切だと思えるお話であった。
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