ブッダの言葉が悩みに答えてくれるAIを開発「ちょっとだけ視点を変えるきっかけになってくれたら」
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2024年10月3日 5時0分
月が変わり、季節が変わり、総理大臣も変わる10月のはじめ。心が落ち着かない時、信頼する人や尊敬する人、あるいは有名な人のちょっとした「言葉」が、心のよりどころになることがあります。
ブッダの言葉でアドバイスしてくれる「AI」を開発したお坊さんがいらっしゃいます。それぞれの朝は、それぞれの物語を連れてやってきます。
埼玉・秩父の34のお寺は、「秩父札所」と呼ばれ、札所めぐりをされる方もいます。この秩父札所11番「常楽寺」のホームページに今年、こんな言葉が書かれたバナーが出来ました。
『おしゃか様は言いました』
これをクリック、またはタップすると、生成AI「チャットGPT」が立ち上がり、悩みを入力すると、ブッダの言葉でアドバイスをしてくれるのです。
開発したのは、常楽寺の柴原幸保住職、65歳。柴原さんは、同じ秩父札所の13番・慈眼寺に生まれました。
先々代の住職だったお祖父さまは、大正時代の終わりに秩父で初めての幼稚園を開園。先代のお父様は、昭和の頃、障害者の支援施設を開設するなど、柴原さんのお家は、秩父における福祉の先駆けを担ってきました。
柴原さんご自身は、埼玉県内の公立男子高に進学。上下関係の厳しい体育会系の部活動で、心身共に鍛えられます。その後、仏教系の大学と厳しい修行を経て、お父様からお寺を受け継ぎます。平成の初めには、20代にして、併設された幼稚園の経営も任されることになりました。
柴原さんは、幼稚園の経営に携わって唖然とします。園から毎年およそ30人、ほぼ1クラスずつ、子供が減っていたんです。危機感を憶えた柴原さんは、男子校の運動部同様、厳しく職員にハッパをかけます。しかし、柴原さんの厳しさに、多くの女性の職員の方は、次々と辞めてしまいました。
自分が良かれと取り組んだ幼稚園の「改革」が、職員の賛同を得られなかったことに、柴原さん自身も心が折れそうになります。そんな折、お父様もがんが判明して、あっという間にこの世を去ってしまいました。柴原さんは、受け継いだ幼稚園や施設の経営に頭を抱えてしまいました。
幼稚園の運営に行き詰まった柴原さんは、ありとあらゆる本を読み漁りました。ビジネス書はもちろん、ときには経営者が参加するセミナーにも足を運びました。一方、寺の住職として、仏教の経典も改めて読んでみました。そのなかで、ブッダの言葉を集めた経典・ダンマパダの一節が目に留まります。
『他人のしなかったことを見るな、自分のしなかったことを見よ』
人間は、あまり上手くいっていない時ほど、ほかの人の悪いところを探してしまいます。何か事があれば、ほかの人のせいにしてしまっていた自分にハッと気づきました。
『もっと、もっと、自分のことを見よう』
心を入れ替えた柴原さんは、まずは職員の方が働きたくなる環境を作ることで、幼稚園の立て直しを図っていきます。それはやがて実を結んで、少子化のなかでも、園児を増やすことに繋がっていきました。この成功体験は、仏教の言葉と相まって、出版社の方との縁を結ぶことになります。
ところが、柴原さんがいざ本を書こうとすると、仏教の膨大な資料の前に、困難を極めます。半年以上の歳月をかけて、ようやく1冊の本を書き上げた柴原さんは、ふと思いました。
『おしゃか様の言葉を、すぐに検索できる仕組みがあったらいいなぁ』
そんな柴原さんの思いに、時代が追い付いてきました。2022年、生成AI「チャットGPT」の登場を知った柴原さんは、それぞれの事情に合わせてカスタマイズできる仕組みがあることに着目します。早速、お寺のスタッフと一緒に仏教の経典をAIに憶えさせていきました。
出来上がったチャットGPTは、柴原さんにとっては“有難いお話”のネタ帳のような存在。しかし、せっかく作ったチャットGPTを自分だけで使うのは勿体ないと考えた柴原さんは、私たちの暮らしに密着したエピソードを、無料で一般公開することを思いつき、悩みを入力すると、誰でもブッダの言葉がもらえる仕組みを作り上げました。
ご自身の本の名前にちなんで名づけられた『おしゃか様は言いました』。
さっそく使った方からは、感想のメッセージが届くこともあります。若い世代に、お寺が身近な存在になって欲しいという気持ちもあります。ただ、柴原さんは、この仕組みを使って、お金を儲けようという気持ちはないと話します。
「あくまでも、最初は自分の検索のために作ったものですから。ただ、誰もが悩んでしまうことはあります。そんな時、心を整える方法を知っているか知らないかでは、全然違う人生になるんです。このAIが、ちょっとだけ視点を変えるきっかけになってくれたら嬉しいです」
太古の教えを、最新のAIが、わかりやすく伝えてくれる時代が来ています。
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