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秋を彩る映画の祭典! 第37回東京国際映画祭特集

ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2024年11月14日 11時50分

秋を彩る映画の祭典! 第37回東京国際映画祭特集

Tokyo cinema cloud X by 八雲ふみね【第1216回】

シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信する「Tokyo cinema cloud X(トーキョー シネマ クラウド エックス)」。

10月28日から11月6日まで開催された「第37回東京国際映画祭」。私、八雲ふみねは毎年、MCとして映画祭に参加させていただいています。

アジアを代表する映画スター、俳優のトニー・レオンをコンペティション部門審査委員長に迎えた2024年は、208本の映画を上映。オープニング作品は、白石和彌監督が手がけた集団抗争時代劇『十一人の賊軍』。そしてクロージング作品は、今年度の審査委員を務めた女優・キアラ・マストロヤンニの主演作『マルチェロ・ミオ』。国内外からは多くのゲストが集結し、華やかな国際交流の場となりました。

そこで今回は、八雲ふみねの視点から「第37回東京国際映画祭」を特集します。

八雲ふみね

日比谷の街に映画スターが集結!

映画祭初日の10月28日に開催された、レッドカーペットイベント。東京ミッダタウン日比谷ステップ広場から日比谷仲通りにかけて、足元には162メートルの真っ赤なカーペットが。その上を228人の豪華ゲストが歩き、会場は熱気に包まれました。

華やかなオープニングイベントに、ニッポン放送 NEWS ONLINE「Tokyo cinema cloud X」(トーキョー シネマ クラウド エックス)も参戦。カメラの前で立ち止まって下さった映画人に、お話を伺いました。

山田孝之 (C)2024 TIFF / 野村周平

山田孝之 (C)2024 TIFF / 野村周平

オープニング上映作品『十一人の賊軍』から、山田孝之さんと野村周平さん。自撮り棒にスマホを装着して映画祭の雰囲気をカメラに収めながらレッドカーペットを歩く、山田孝之さん。そして、オリジナルステッカーを配りながら、観客との交流を楽しんでいた野村周平さん。壮絶な撮影を乗り越えた、晴れやかな笑顔が印象的でした。

渋川清彦

渋川清彦

「第34回東京国際映画祭」にて「第1回Amazon Prime Videoテイクワン賞」を受賞した金允洙(キム・ユンス)監督の商業デビュー作となった『あるいは、ユートピア』に出演の渋川清彦さん。本作への参加について「才能ある監督とご一緒出来て嬉しいです。良い作品になったと思います」と手応えを感じている様子でした。

松坂桃李・芳根京子 (C)2024 TIFF

松坂桃李、芳根京子 (C)2024 TIFF

江戸末期、天然痘から日本を救った町医者の生涯を描いた『雪の花 -ともに存りて-』。「お客さんの声援にパワーをもらってます!」と笑顔で話して下さった松坂桃李さんと、和服姿が美しい芳根京子さん。華やかなレッドカーペットで、ひときわ存在感を放っていたお2人でした。

瀧内公美、マーク・ギル監督、池松壮亮

瀧内公美、マーク・ギル監督、池松壮亮

「あ、どうも〜」と、にこやかに足を止めて下さった池松壮亮さん。写真家・深瀬昌久の生涯を映画化した『レイブンズ』について、「このチームに参加できて最高でした」と、私たちにマーク・ギル監督を紹介して下さいました。瀧内公美さんは、艶やかなドレス姿で観客を魅了してましたよ。

松重豊

あの井之頭五郎さんがレッドカーペットに登場! 『劇映画 孤独のグルメ』主演の松重豊さん。「映画でもモリモリ食べてますよ。いやぁ〜、ホントに美味しかった!!」と、満面の笑顔。

岸部一徳、米倉涼子

岸部一徳、米倉涼子

『劇場版ドクターX』からは、米倉涼子さんと岸部一徳さんが登場。ドラマファンにとっては、たまらない2ショットですね。「集大成となった作品なので、是非、多くの方にご覧いただきたいです」と、笑顔の米倉さんと岸部さんでした。

井上真央

井上真央、菅田将暉

釣りバカサラリーマンの移住生活を描いたヒューマンコメディ『サンセット・サンライズ』から、井上真央さん。「すごく賑やかで華やかですね」とニッコリ。ファンの方々に配っていた映画のステッカーを手渡して下さいました。ありがとうございます! 奥には、海外メディアの取材を受ける菅田将暉さんの姿も。

成田凌

つげ義春の短編コミックをベースに、片山慎三監督が映画化したラブストーリー『雨の中の慾情』。国内だけでなく海外メディアからも大人気の成田凌さんは「熱量がすごいですね」と、観客の熱狂ぶりを楽しんでいる様子でした。

水原希子、井浦新、成田凌

次に現れたのが、現在公開中の映画『徒花 -ADABANA-』の井浦新さん、水原希子さん、甲斐さやか監督。水原さんにお話を伺っていると、井浦さんが傍にいた成田さんを引き入れ、『スマホを落としただけなのに』シリーズの2ショットが実現!? さらに井浦さんが成田さんに、水原さんと甲斐監督を紹介してお互いに挨拶するシーンも。これも映画祭ならではの和やかな光景ですね。

菊地凛子 (C)2024 TIFF

菊地凛子 (C)2024 TIFF

「第37回東京国際映画祭」フェスティバル・ナビゲーターの菊地凛子さん。淡いグリーンのシースルードレス姿が、とても鮮やか。「沢山のお客様が映画を心待ちにしているのが伝わってきます」と、笑顔で語る菊地さんでした。

風吹ジュン

風吹ジュン

シンガポールの奇才エリック・クー監督の『Spirit World(原題)』に出演した吹雪ジュンさん。「役者さんにスタッフ、お久しぶりの人に会えて嬉しくて」と、映画祭ならではの出会いを楽しんでらっしゃいました。大人可愛い装いも素敵でした。

橋本愛

橋本愛

コンペティション審査員の橋本愛さん。審査員としては初参加。「こんなに豪華な方々の中に入るなんて緊張します」と話しながらも、これから始まる映画祭へのワクワクが隠せない様子でしたよ。

八雲ふみねも注目! 厳選シネマ5

連日、さまざまなイベントが開催された「第37回東京国際映画祭」。私は、今年から新設された「ウィメンズ・エンパワーメント部門」と、「Nippon Cinema Now部門」の作品を担当。会期中は、映画祭に訪れたゲストの皆さんと共に映画トークを展開し、有意義な時間を過ごさせていただきました。
その中から、八雲ふみねが注目した作品は……。

※写真は上『徒花 -ADABANA-』(C)2024「徒花-ADABANA-」製作委員会 / DISSIDENZ、左下『10セカンズ』 (C)Sky Films、右下『母性のモンタージュ』(C)No Ceiling Film Production Limited

※写真上『徒花 -ADABANA-』(C)2024「徒花-ADABANA-」製作委員会 / DISSIDENZ、左下『10セカンズ』(C)Sky Films、右下『母性のモンタージュ』(C)No Ceiling Film Production Limited

東京都と連携し、女性監督の作品、あるいは女性の活躍をテーマとする作品にフォーカスして選出された「ウィメンズ・エンパワーメント部門」。甲斐さやか監督が20年以上かけて脚本を書き上げ、満を持して映画化されたオリジナル作品『徒花 -ADABANA-』。

ある名門高校を舞台に、進学カウンセラーと退学処分となった生徒の母親が息詰まる心理戦を繰り広げる『10セカンズ』。

そして母として妻として、ひとりの女性として、変化していく日常の中で揺れ動く主人公の心情を紡いだ『母性のモンタージュ』。

いずれも現代に生きる人々の姿を力強く映し出した、深いメッセージ性が感じられる作品です。

※写真は右から井浦新さん、甲斐さやか監督、アンドリアナ・スヴェトコビッチさん(ウィメンズ・エンパワーメント部門シニアプログラマー)、司会・八雲ふみね。

右から井浦新、甲斐さやか監督、アンドリアナ・スヴェトコビッチ(ウィメンズ・エンパワーメント部門シニアプログラマー)、司会・八雲ふみね。

『徒花 -ADABANA-』上映後に行われたQ&Aセッションの様子。中国にクローン人間がいるという都市伝説にインスパイアされて、本作の制作に着手したという甲斐監督。そして、甲斐監督の強烈なオリジナリティを、役を通してどのように表現していくかを大切にしたと話す井浦さん。コロナ禍を超えた今だからこそ考えたい、本作が放つメッセージについて語り合いました。

※写真は右から撮影監督のゼイネップ・セジルさん、ジェイラン・オズギュン・オズチェリキ監督。左端、司会・八雲ふみね。

右からゼイネップ・セジル撮影監督、ジェイラン・オズギュン・オズチェリキ監督。左端、司会・八雲ふみね。

Q&Aセッションでは、本作の制作経緯や斬新なカメラワークなど、興味深い質問が多かった『10セカンズ』。10年間のアシスタント業務を経て撮影監督となったゼイネップ・セジルさんについて「トルコでは、男性なら5年で撮影監督になれるのですが、女性ということでセジルさんは10年かかったんです」と話し、その才能に惚れ込んでいる様子のオズチェリキ監督。トルコの映画製作事情にも触れられるひと時となりました。

※写真は右からロー・ジャンイップ、ヘドウィグ・タム、オリヴァー・チャン監督

※写真は右からロー・ジャンイップ、ヘドウィグ・タム、オリヴァー・チャン監督

香港映画界の人気監督と注目俳優が登場とあって、多くの観客が詰めかけた『母性のモンタージュ』Q&Aセッション。タイトル(原題)に込められた意味や役作りまで、男性女性それぞれの視点からの意見が飛び交い、熱気あふれる場となりました。

※写真上『アイヌプリ』(C)2024 Takeshi Fukunaga/AINU PURI Production Committee、下『雲ゆくままに』(C)東京藝術大学大学院映像研究科

写真上『アイヌプリ』(C)2024 Takeshi Fukunaga/AINU PURI Production Committee、下『雲ゆくままに』(C)東京藝術大学大学院映像研究科

“海外に紹介されるべき日本映画”という観点から選考された作品を上映する「Nippon Cinema Now部門」。独自の方法でアイヌプリ(アイヌ式)を実践し、自らのルーツを大切に暮らす家族の日常を追ったドキュメンタリー映画『アイヌプリ』。

そして「第36回東京国際映画祭」で「Amazon Prime Video テイクワン賞」を受賞したヤン・リーピン監督の初長編映画『雲ゆくままに』。

これからの日本映画界を担うクリエイターたちの作品群は、観客の注目を集めました。

※写真は右からOKIさん、福永壮志監督、司会・八雲ふみね。

右からOKI、福永壮志監督、司会・八雲ふみね。

映画祭初日、本作に出演している天内重樹さん、基輝さん親子と一緒にレッドカーペットを歩いた福永壮志監督。このことについて伺うと「アイヌの方が民族衣装に身を包んで東京国際映画祭に参加したことは、この映画祭では初の出来事。本当に特別な瞬間でした」と、誇らしげな表情。

そして、音楽を担当したOKIさんは「僕たちにとっては見慣れたシーンが多いけど、改めて自分たちの文化を映画で見た時、やっぱり俺たちは日本人と違うんだなと再確認しました」と、映画をご覧になったお気持ちを聞かせて下さいました。

本作の上映時は外国籍の観客も多く、上映後のQ&Aセッションではアイヌの文化のこと、そして本作の撮影意図など、様々な質問が投げかけられました。アイヌ文化について、様々なルーツを持つ人々が意見を交換する、国際映画祭ならではのプライスレスな時間となりました。

ヤン・リーピン監督

ヤン・リーピン監督

たったひとりでの登壇に「緊張します」と話してらっしゃったヤン・リーピン監督。監督と同じく、日本にやって来た留学生の方や外国人からの質問が多かったのも特徴的でした。

すると、事件が勃発。中国籍のお客様が母国語で質問を始めたのです。英語通訳者はいるけど、中国語の通訳さんはその場にいなかったので、急遽、ヤン・リーピン監督が質問に答えながら通訳も兼ねることに。思わぬサプライズも手伝って、なんとも言えない温かい雰囲気に包まれたQ&Aセッションとなりました。

長塚京三、吉田大八監督 (C)2024 TIFF

長塚京三、吉田大八監督 (C)2024 TIFF

クロージングセレモニーで行われた各部門受賞作の発表・受賞式では、吉田大八監督の『敵』が、主演男優賞(長塚京三)と最優秀監督賞、東京グランプリの3冠を獲得。日本映画がグランプリに輝くのは、第18回の根岸吉太郎監督作『雪に願うこと』以来19年ぶり。長塚京三さんは79歳にして、史上最高齢での主演男優賞受賞を果たしました。

例年以上に、外国人の観客の姿が多く見られた「第37回東京国際映画祭」。私も海外プレスの方と談笑したり、劇場ロビーで外国からのお客様に呼び止められたりすることが度々ありました。「映画」を共通言語に、国境や文化の違いを超えて、人と人とが繋がっていく。これこそが映画祭の醍醐味だと、改めて感じることが出来た10日間でした。


 

連載情報

Tokyo cinema cloud X

シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信。

著者:八雲ふみね
映画コメンテーター・DJ・エッセイストとして、TV・ラジオ・雑誌など各種メディアで活躍中。機転の利いた分かりやすいトークで、アーティスト、俳優、タレントまでジャンルを問わず相手の魅力を最大限に引き出す話術が好評で、絶大な信頼を得ている。初日舞台挨拶・完成披露試写会・来日プレミア・トークショーなどの映画関連イベントの他にも、企業系イベントにて司会を務めることも多数。トークと執筆の両方をこなせる映画コメンテーター・パーソナリティ。
八雲ふみね 公式サイト http://yakumox.com/

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