ユーミンの目に思わず涙が……「写真展 能登 20240101」の会場で公開収録
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2024年11月19日 19時19分
月に1回、金曜日の夜に放送している『松任谷由実のオールナイトニッポンGOLD』。11月15日(金)は「写真展 能登 20240101 -316days later-」の会場・SusHi Tech Squareにて行われた公開収録の模様がオンエアされた。ゲストに写真家の佐藤健寿、MRO北陸放送パーソナリティの上坂典子を迎え、写真展への思いや、能登半島の現状を語り合った。
石川県観光ブランドプロデューサーをつとめるユーミンと、写真家の佐藤健寿が協力し、石川県と東京都が連携して実現した、能登の状況を広く発信し復興を応援するための写真展「写真展 能登 20240101 ‐316days later‐」。この写真展への思いを乗せたユーミンの朗読からスタート。
集まったリスナーの大きな拍手で迎え入れられたユーミンだが、久しぶりの公開収録になんだか緊張気味の様子。しかし「こうやってお顔が見えてリアルにお会いできると、“私がやってきたことは間違いじゃなかったんだ!”と思うことができます」と感慨深く語り、「今夜は一緒に楽しみましょう!」と呼びかけた。
最初のゲストは、この写真展に飾られている各被災地の写真を撮影した佐藤健寿。世界各地の“奇妙なもの”を対象にして博物学的・美学的視点から撮影するフォトグラファーで、写真集「奇界遺産」シリーズは異例のベストセラーとなっている。2人はラジオ番組での共演がきっかけに食事をしたりする仲になったそうで、ユーミンが「佐藤さんの写真の魅力は、すごく冷静だということ。私の創る歌も、聴き手・受け手に想起してもらえるように、どちらかというと温度が低い。たぶん佐藤さんも、シャッターを押される時は何も考えていないと思う」と自身と共通していると感じる部分を語ると、佐藤も「そうです。行動には熱意を持っているけれど、人に“こう見てほしい”という熱さはない。自分が興味深いと思えるかどうか」と撮影する際のこだわりを明かした。
写真展を開催することになったきっかけも語られた。今年3月の北陸新幹線県内全線開業にて、小松駅と加賀温泉駅の発車メロディを担当したユーミン。その際、「acacia[アカシア]」を作るきっかけとなった内灘町を訪れると、「すごくショックな光景が広がっていた」という。その帰りの新幹線の中で、「これは身近な問題として後世に記録として残しておくべきだ。伝えていかなければいけない」と思った時に佐藤が頭に浮かんだという。「後で考えると、今まで“普通ではない風景”を撮って来ていらっしゃるので、アクセスの悪い状態になっているところに行くフットワークやフィジカルもあるのでピッタリだと思った」と明かした。
それを快諾し、連絡をもらってすぐに内灘を訪れた佐藤。最初に足を踏み入れて「ニュースで見てはいましたし、海外ですごい光景を見て来てはいましたが、それでも見たことのない景色が広がっていた。廃墟やゴーストタウンとは全く違う。人の暮らしの営みがねじれて壊れているような……」と壮絶な光景に驚いたという。その後も能登や珠洲などの被災地を訪れ、撮影を繰り返した佐藤。被災地の現状を聞かれると、「復興は進んで行っているけれど、珠洲では家が倒壊したままで、9月に行った時にもまだ撤去されずに残っていた。“まだこれしか進んでいない”と率直に思ってしまう」と報道されない実情を打ち明けた。
この写真展は、そんな佐藤が撮影した1万枚の中から厳選された120点を展示。佐藤が撮影した景色を追体験できるような形で展示されている。改めて撮影を振り返り、「撮影する前はいつも“良い写真を撮ろう”と思うけれど、今回は何が“良い写真”なのかわからなかった。現地に行ってみて、その場の圧に押されてただ撮るしかなかった」とのこと。
続いて、そんな震災を実際に体験したMRO北陸放送パーソナリティの上坂典子が登場。佐藤が撮った写真を見て、「地震から10か月あまり、豪雨から2か月が経とうとしています。過去の写真ではありますが、今見ても何も変わっていない被災地がたくさんある。“今の写真展”でもあるなと思いました」と印象を語った上坂。それから今年9月に起こった奥能登の豪雨への話へと及び、ユーミンも「お正月(の震災)と同様にショックを受けました」と明かす。
豪雨が起こった時も佐藤に連絡し「その様子も収めないと」と伝えたというユーミン。その時には一通りの写真が揃い入稿のタイミングだったそうだが、佐藤も「写真を追加した方がいい」と同じ気持ちだったそうで、すぐに現地に向かったのだそう。「数か月、能登の現状を撮影してきましたが、泥で村が埋まっているという全く見たことのない景色がまた広がっていた」と惨状に言葉を失ったという。
そんな佐藤の撮影した写真の中で印象的なものを聞かれると、上坂は「珠洲のシンボル・見附島の写真」を挙げた。「まったく別の島になってしまったようで悲しいと思っていましたが、佐藤さんの静かな写真を見て、珍しい島や入り組んだ海岸線などそういうものは、多くの自然災害を繰り返して作られたのだと思いました。そういったものが人が作れない景色を生み出したのだとしたら、見附島の様子は変わったけれど、残ってくれてありがとうと思うことができました」と考えが変わったことを明かす。
ユーミンは雑誌の撮影で見附島に行ったことがあり、鐘をついてから波打ち際まで行くと良縁に恵まれるということで「独身の女性スタッフが鐘をついてものすごい勢いで海まで走っていったのを思い出します(笑)」とエピソードを話して笑いを誘う。しかし、「そんなハッピーな思い出があるからこそ、(現状を思って)胸が締め付けられます」と、思いが込み上げ涙ぐむ場面も。
だが、そんな能登にも希望を感じられるニュースが。上坂が「隆起して出られなくなった船がたくさんあったのですが、今はカニ漁が解禁され、震災ですべてのワインが流れ出てしまったワイナリーが、県内外の支援を受けて新しい能登ワインが出荷されることになりました。そして新大関・大の里の誕生も明るいニュースです」と紹介。さらに、「能登に行ってはダメだと思っている人がいると思いますが、『今行ける能登』というサイトがあります。観光情報もたくさん載っているので、是非見てください」とリスナーができる支援について呼びかけた。
「会場にいらっしゃる皆さん、聞いているリスナーさん、写真展に足を運んだ人。ボランティアなど目に見える行動も大事だけど、目に見えなくても思っていることもすべて力になります。能登を忘れない、思い続けることが一番の支援になると信じています」とメッセージを残し、上坂とはここでお別れとなった。
再び佐藤と2人のトークとなり、改めて写真展への思いを。「ユーミンさんからきっかけを与えてもらって、こういう場所を初めて撮影しました。自分にとって実りのある、大きなことになりました。復興しているところを撮るのではなく、進んでいないというありのままの光景を、リアルタイムに近い形で、東京のど真ん中で開催させてもらうのは今までにない試みだと思います。それができて本当に良かった」と自身にとっても大きな出来事となったと語った。
ユーミンからの「この写真展で何を感じてほしい?」という質問には、「それは難しい。支援しましょうとかそういうことを言いたいわけではない」と答え、「支援が必要なのは大前提なのですが、見ていただいて、何かを感じてほしい。そして、何かを考えてほしいなと思います」と続けた。それが佐藤の“ミッション”であると考えたユーミンは、「最初に内灘へ行った時、たまたまお会いした方が私のことを知ってくれていたようで、“あ!”と言われたので2人で抱き合いました。私もその人のことを昔から知っているような感覚があって、その時に“私、石川県の人なんだ”と思った。そして、私にもできることがあると思えて、それがこういう形(写真展)になったのが、私のミッションだったんだって。私じゃないとできないことで貢献しなくちゃいけないなと思いました」と自分にもミッションがあり、佐藤と実現できたと喜んだ。
エンディングでは、ユーミンからもリスナーへメッセージを。「(写真展に)足を運んでほしいし、支援もしてほしいけれど、それを訴える写真展じゃなくて、見てそれぞれが思う人生、今までの生き方、友達のこと、世界のこと、なんでも心に浮かんだことがあなたの視点をちょっとでも変えると思う。みんながちょっとでも変わるとこの世界も変わるんじゃないかなと思っています。強いるものではないですが、是非見に来て、意識を変えてもらえたらと思います」と訴え、2時間にわたる公開収録を締めくくった。
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