『世田谷のM2ビルはめちゃくちゃ叩かれて…』建築家・隈研吾が語るバブル時代の建築……そして、“木材”との出会い
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2024年11月27日 13時0分
ニッポン放送でお送りしている『NEXT STAGEへの提言Ⅱ』。
この番組は、日本を代表する各界の著名人が毎週登場。今の日本の礎を築いた著名人たちは、何を考え、何を次世代に伝えるのか。芸能・文化・音楽・スポーツ・経済・政治など、日本を代表する各界の著名人が週替わりで登場し、自身の人生を振り返りながら、「次世代・NEXT STAGE」への提言を発信していく。
11月21日(木)の放送では、建築家の隈研吾が登場。隈研吾は1954年神奈川県横浜市生まれ。1964年に開催された東京オリンピックで見た建築物に衝撃を受け幼少期から建築家を志し、東京大学大学院建築学専攻へ進む。
その後、建築について学ぶためにニューヨークへ渡った隈研吾。そこでなにを得たのか。
隈:ニューヨークでは、日本の良さみたいなのが見つかった。それまで日本っていうのは、ジジ臭いと思ってたんだけどさ。ニューヨークにいろんな仲間が来てね。それで彼らに対して、俺が何考えてるかって説明するときに言葉で説明してもなかなか英語では敵わないから。畳を持ってきて、家の中に茶室を作った。茶室で、お茶を立てて、彼らに抹茶を振る舞ってね。みんなでこう、禅とは何かとか、お茶とは何かみたいな議論をすると、アメリカの人間は、やっぱりロジックはすごいんだけど、(お茶を通じて)ロジックを超えたものを彼らに見せることができた。こういう見せ方をすれば、ちゃんと自分の存在感っていうのは出せるんだなっていうふうに思って。
アメリカの大学っていうのは、建築でも建築以外でも全部そうなんだけど、やっぱり弁の立つやつが存在感があるわけ。でもお茶の世界って、逆に弁が立つやつは、かっこ悪い。弁の立つと思ってたやつが、意外に浅はかに見えてきた。建築を作る形のロジックとか、論理っていうのは、アメリカ人はすごく有弁に説明するんだけど、その建築でどういう体験ができるかとか心にどういうふうに突き刺さるかとかその部分っていうのはちゃんとうまく説明できる人間はいないんだよね。
1986年、32歳の頃、日本へ帰国。建築家としての道を歩み始め、1990年に、隈研吾建築都市設計事務所を設立。
隈:東京に戻ったら、バブル経済の絶頂期。32歳の何も経験もない若者に、ボンボン仕事頼まれるわけ。ファッション業界、広告業界の景気が良かったから、バンバン仕事を頼まれちゃって。1986年から戻って数年間、バブルが弾けるまでの4~5年、めちゃめちゃ忙しかった。その時、手掛けた大きな建物が、世田谷の環八にあるM2ビル。そのM2ビルが、建築界で、めちゃめちゃ叩かれたんですよ。やっぱり日本の建築界っていうのは、真面目な世界なんです。ある意味で真面目な業界なんですよだから業界の中でちょっと目立ったことをする人は、ボコボコに叩くっていうことになっているので。
隈研吾といえば、木造建築の第一人者。木材との出会いについても語った。
隈:バブルがはじけて、東京の仕事もみんなキャンセルされて暇になったんです。時に高知県の梼原町っていうところで、古い木造の芝居小屋が壊されそうだから、一緒に反対運動やろうよって、高知の友達に呼ばれて。行ってみたら、バブルの時代の東京でやってた空気とは全く違う場所でね。もう本当に職人さんまだ地味だけど技のいい職人さんがいっぱいいた。そんな中で梼原の町長さんに気に入ってもらって。小さな仕事が、そこで始まった。梼原町は、林業の町でもあるので、一番最初に町長さんに言われたのが、『(建築に)木だけは使ってくれよな』って。東京で、木なんか使うチャンスなかったから、これはラッキー俺も勉強してみようっていう気になったんですね。
最後に、隈研吾に、次の世代への提言を伺った。
隈:若者たちは、野性を取り戻してほしい。今、だんだん野性が失われた果てに、環境問題だったり、戦争、疫病があったりして。ここから挽回するには、野性を取り戻すしかないと思いますね。若者は、(野性を取り戻す)リーダーになってほしい。若者はこじんまりせず、自分の体の中にある“野性”に自信をもって、新しい時代をもう一度、若者に切り開いてほしいと思いますね。
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