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『敵』長塚京三主演、夢と現実の間を彷徨う男が抱く幻想

ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2025年1月18日 11時0分

『敵』長塚京三主演、夢と現実の間を彷徨う男が抱く幻想

(C)1998 筒井康隆/新潮社 (C)2023 TEKINOMIKATA

Tokyo cinema cloud X by 八雲ふみね【第1229回】

シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信する「Tokyo cinema cloud X(トーキョー シネマ クラウド エックス)」。

今回は、1月17日公開の『敵』と『室町無頼』をご紹介します。

(C)1998 筒井康隆/新潮社 (C)2023 TEKINOMIKATA

(C)1998 筒井康隆/新潮社 (C)2023 TEKINOMIKATA

『敵』この光景は、夢か現実か?

『時をかける少女』や『日本以外全部沈没』など、数々の名著を生み出してきた小説家・筒井康隆。日本文学界の巨匠が手掛け、現代老人文学の最高峰と呼ばれている小説を映画化したのが本作『敵』です。

メガホンを取ったのは、卓越した映像センスと演出力が光る吉田大八監督。

「第37回東京国際映画祭」では、東京グランプリ、最優秀男優賞(長塚京三)、最優秀監督賞(吉田大八監督)と3冠に輝いた注目作が、ついにスクリーンに登場しました。

(C)1998 筒井康隆/新潮社 (C)2023 TEKINOMIKATA

(C)1998 筒井康隆/新潮社 (C)2023 TEKINOMIKATA

『敵』のあらすじ

元大学教授の渡辺儀助は77歳。20年前に妻に先立たれ、10年前に大学を辞職。今は、祖父の代に建築された古い日本家屋で一人暮らしをしている。あと何年で貯金が尽きるか。そんなことを逐一計算しながら、慎ましく丁寧な生活を送る儀助。

しかし、パソコンの画面に「敵がやって来る」というメッセージが流れてきた頃から、儀助の平穏な暮らしにヒビが入っていく……。

(C)1998 筒井康隆/新潮社 (C)2023 TEKINOMIKATA

(C)1998 筒井康隆/新潮社 (C)2023 TEKINOMIKATA

『敵』のみどころ

主人公・渡辺儀助を演じたのは、2024年に俳優歴50年を迎えた長塚京三。老い先が短いことを自覚しながら、質素で健康的な日々を送る一方で、女性への興味もまだまだ尽きることはない。老齢でありながら知性と色気を併せ持つ主人公を繊細に体現し、その確かな存在感は、さすが名優といったところです。

また儀助の亡き妻・信子役に黒沢あすか、儀助の教え子・鷹司靖子役に瀧内公美、バーで出会う女子大生・菅井歩美役に河合優実がキャスティングされているのも見どころのひとつ。タイプの異なる魅力的な女優陣が、儀助との関係性をどのように表現しているかにも注目です。

さらに松尾諭、松尾貴史、中島歩、カトウシンスケなど実力派キャストが名を連ね、作品の世界観にさらなる深みを与える好演をみせています。

(C)1998 筒井康隆/新潮社 (C)2023 TEKINOMIKATA

(C)1998 筒井康隆/新潮社 (C)2023 TEKINOMIKATA

本作のいちばんの特徴は、モノクロ映画だということ。モノクロであるがゆえに、観る者の想像力が掻き立てられ、没入感が増していく。筆舌に尽くしがたい映画体験を味わうことが出来ます。

中でも驚いたのが、儀助が作る料理の数々が実に美味しそうに見えること。色も香りも確認することが出来ないのに、喉の奥が思わず鳴ってしまいそう! これも、人間の五感が刺激されているということなのでしょうか。

そして、本作を観終わった後に誰もが頭に思い浮かべるのが、「敵」とは一体、何なのかということ。老いることなのか、社会から孤立することなのか。はたまた、死んでしまうことなのか。

あなたの心の奥底に眠っている「答え」を探してみて。

(C) 2016 垣根涼介/新潮社 (C)2025「室町無頼」製作委員会

(C) 2016 垣根涼介/新潮社 (C)2025「室町無頼」製作委員会

『室町無頼』時代を変えたのは、ひとりの無名の男だった

垣根涼介による歴史小説を実写映画化した時代劇アクション・エンタテインメント『室町無頼』。

舞台は、室町時代。

大飢饉と疫病が蔓延り、民衆が苦しむ中、時の権力者は享楽の日々を過ごしていた。そんな中、密かに倒幕と世直しを画策する者がいた。

男の名は、蓮田兵衛。

己の腕と才覚だけで混沌の世を生きる無頼漢は、命懸けの戦いに挑み、仲間と共に自らの力で時代を切り拓いていく……。

主演・大泉洋が、本格的な殺陣・アクションに初挑戦。野生味あふれる演技で蓮田兵衛を熱演し、新たな魅力を発揮しています。

先日発表された「第82回ゴールデングローブ賞」で最多4冠を達成した『SHOGUN 将軍』に、自主制作映画ながらロングランヒットを続ける『侍タイムストリッパー』。

時代劇ブーム到来の今こそ観てほしい一作です。

(C)1998 筒井康隆/新潮社 (C)2023 TEKINOMIKATA

(C)1998 筒井康隆/新潮社 (C)2023 TEKINOMIKATA

<作品情報>

2025年1月17日(金)からテアトル新宿ほか全国公開

出演:
長塚京三
瀧内公美 河合優実 黒沢あすか
中島歩 カトウシンスケ 髙畑遊 二瓶鮫一
髙橋洋 唯野未歩子 戸田昌宏 松永大輔
松尾諭 松尾貴史

脚本・監督:吉田大八
原作:筒井康隆『敵』(新潮文庫刊)
撮影:四宮秀俊
照明:秋山恵二郎
美術:富田麻友美
音楽:千葉広樹
録音:伊豆田廉明
フードスタイリスト:飯島奈美

企画・製作:ギークピクチュアズ
宣伝・配給:ハピネットファントム・スタジオ/ギークピクチュアズ
製作:「敵」製作委員会
(C)1998 筒井康隆/新潮社 (C)2023 TEKINOMIKATA

 

(C) 2016 垣根涼介/新潮社 (C)2025「室町無頼」製作委員会

(C) 2016 垣根涼介/新潮社 (C)2025「室町無頼」製作委員会

<作品情報>
室町無頼
2025年1月17日(金)から全国公開 IMAX公開中

出演:
大泉 洋
長尾謙杜 松本若菜
遠藤雄弥 前野朋哉 阿見201 般若 武田梨奈
水澤紳吾 岩永丞威 吉本実憂 ドンペイ 川床明日香 稲荷卓央 芹澤興人 中村 蒼 矢島健一 三宅弘城
柄本 明 北村一輝
堤 真一

原作:垣根涼介『室町無頼』(新潮文庫刊)
監督・脚本:入江悠
音楽:池頼広
製作委員会:東映 東映アニメーション テレビ朝日 アミューズ クリエイティブスタジオ 東映ビデオ コーエーテクモゲームス 読売新聞社 クリエイティブオフィスキュー LINEヤフー 日本出版販売 北海道テレビ
製作幹事・配給:東映
(C) 2016 垣根涼介/新潮社 (C)2025「室町無頼」製作委員会

 

連載情報

Tokyo cinema cloud X

シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信。

著者:八雲ふみね
映画コメンテーター・DJ・エッセイストとして、TV・ラジオ・雑誌など各種メディアで活躍中。機転の利いた分かりやすいトークで、アーティスト、俳優、タレントまでジャンルを問わず相手の魅力を最大限に引き出す話術が好評で、絶大な信頼を得ている。初日舞台挨拶・完成披露試写会・来日プレミア・トークショーなどの映画関連イベントの他にも、企業系イベントにて司会を務めることも多数。トークと執筆の両方をこなせる映画コメンテーター・パーソナリティ。
八雲ふみね 公式サイト http://yakumox.com/

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