人口減少時代に各地で広がる議員定数の削減の動き 人口最少県の鳥取県でも検討 財政効率化の一方でマイナス面も… 「定数削減することで議員の新陳代謝が阻まれるという懸念もある」
日本海テレビ / 2025年1月24日 15時58分
人口減少が続く中、各地の地方議会で議員定数の削減が進んでいます。鳥取県議会でも再来年をめどに、数を減らす条例改正案の提出を目指し、検討が行われています。現状や課題などを取材しました。
県政の基本方針を決めたり、行政による適正な執行が行われているかをチェックしたり、さまざまな機能を担う鳥取県議会。ここでいま、議員の定数削減と選挙区の区割り見直しが検討されています。
鳥取県議会の浜崎晋一議長。2023年の6月から「議員定数等調査検討特別委員会」で議会の在り方について議論を続けてきました。
鳥取県議会 浜崎晋一 議長
「議員定数を2削減していくという結論に至ったと。(議員)自ら身を切るというに等しい大変厳しい判断をですね、行ったところでありますが、この方針に基づいて議員定数を削減する条例改正案をですね、これからあります2月定例会に提案をすることとさせていただきたい」
2月に始まる議会に提出する予定の条例改正案では、鳥取県議会の選挙区のうち、鳥取市選挙区(定数12)と米子市選挙区(定数9)で、それぞれ1ずつ定数を減らし、県全体で2減の33とする一方、区割りの見直しは行わず、現在の形を維持する方針です。
鳥取県議会 浜崎晋一 議長
「今後、人口減少の流れというのが強くなり、全国的にもそういう傾向があると思いますけど、これからまたいろいろ(議会改革が)進んでいくんだろうと思います。そうは言いましても、やっぱり議員としての使命ということもありますので、しっかり役割を果たしたい」
浜崎議長は、人口減少が進む中、議員の数だけ変わらないのは県民の理解を得にくく、見直さざるを得ないと話します。鳥取県の人口は1988年の約62万人をピークに減少傾向が続き、今年1月には、53万人を割り込み、戦後最少となりました。このままのペースで減少が続けば5年後には50万人を下回る可能性もあります。
県議会の議員定数は1988年は40でしたが、1999年から38に、2011年からは35へと段階的に削減されてきました。定数35の根拠となった県の人口は60万人を超えていましたが、そこから人口は1割以上減っています。
こうした中、去年12月には、北栄町議会と三朝町議会がそれぞれ議員定数を2削減する条例案を可決するなど、県内の市町村議会でも定数削減の動きが広がっています。人口の減少や財政の効率化のため、議員定数の削減は全国的な流れとなっていますが、そこに問題はないのでしょうかー。
政治制度に詳しい専門家に話を聞きました。
鳥取大学 塩沢健一 教授
「例えば市町村議会の場合でもそうですが、定数削減することでいわゆるその当選ラインが上がるということが出てきます。そうすると、特に新人として、新たに立候補しようとする人にとっては当選のハードルが上がるということになって、新規参入のハードルが上がります。定数削減することでかえってその新陳代謝が阻まれるという懸念もある」
当選ラインが上がることで、いわゆる“三バン”(地盤、看板、鞄)を持つ候補がさらに当選しやすくなり、議員が固定化するため、新たに議員になろうとする人がチャレンジしづらい状況が強まる恐れがあるといいます。鳥取大学の塩沢教授はほかにも・商業、農業、漁業など“職域代表”が減少・議会内の委員会の機能低下・行政監視の弱体化など議員の定数削減にはマイナス面もあると指摘します。
鳥取大学 塩沢健一 教授
「これは参議院の合区とかの議論にも通じるところはありますが、その人口の少ない地域だからといって、単純に人口比だけでその議席の配分を決めていいかというと、まさにマイナスが生じるっていう部分も懸念されます」
さらに塩沢教授が指摘するのは、議員定数の削減に向けた議論が議会の中で進められ、住民が置き去りになっているケースが多いといいます。
鳥取大学 塩沢健一 教授
「定数削減の議論というのは、どうしても議会の中の議論ということになりがちですので、一般の住民に対してオープンになる部分は必ずしも多くないかもしれません。一方で、議会の方でも住民参加という形で、例えば議会報告会を開いたりだとか、そういう形で住民と接する機会が以前よりも増えています。そうした中でいろいろ意見交換しながら住民としての意見を伝えていくというのも、一つのやり方だと思います」
住民の側も財政の効率化といったメリットだけでなく、議会のさまざまな機能が低下していくというデメリットについても考えることが大切だといいます。
必要な機能を維持しながら議会の形をどう変えていくのか。本格的な人口減少時代を迎える中、地方議会の在り方が問われています。
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