進化する「富士総合火力演習」の主要装備品を間近で見たら…
日テレNEWS NNN / 2024年6月19日 7時2分
■富士総合火力演習とは
陸上自衛隊による国内最大の実弾射撃演習、富士総合火力演習。富士山のすそ野に広がる東富士演習場で、今年は先月26日に実施され、全国から3000人の隊員が参加。戦車や装甲車は合わせて53台、火砲38門、航空機10機が集まった。この日1日に使用された弾薬は、2019年以降最大のおよそ68.4トンで、およそ8.4億円相当にもなる。育成機関で学ぶ隊員に実際の火力戦闘を実感させることを目的に1961年に始まったこの演習。コロナ禍前の2019年までは一般公開され、2万人以上の観客を集めていたが、今では、本来の目的である「隊員教育に注力する」として、一般公開は中止となっている。
演習は2部構成で、前半は火器の性能や効果を展示するパート、後半は、島しょ部への敵の侵攻を想定し、戦車や火砲で攻撃して防衛する実戦的な作戦が展開された。
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報道エリアの前方上空にホバリングしたヘリから、ロープを伝って地上に降り立つ隊員たち。100メートルほど先の戦車や装輪車から砲撃がなされると、ずーんと地響きのような振動と熱気が伝わってきて、思わず後ずさってしまった。
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■多用途ヘリ UH-2
その後、演習で使われた主要装備品の一部が報道公開された。
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まず、案内されたのは、多用途ヘリUH-2。災害派遣などでも活躍するヘリで、2022年に初号機が納入されている。演習中、着陸することなく上空から地上へ部隊を輸送する訓練で活躍していたヘリのひとつだ。
プロペラの数は4枚。先行機、UH-1Jの2枚から増えた。そのことにより、操縦桿を操作したときに「速やかに機体が動く。機動性が増した」という。また、エンジンの数も2つに。1つ止まっても飛行が可能なことから、「経路設定の自由度が増した。なにより、搭乗員のメンタル面への効果も大きい」と隊員は話す。
一方で安全面に関しては、緊急着水の際に使用するフロートの設置や、機体の内部に設置されているフライトレコーダーを、外壁につけることで水上での事故時に発見しやすくすることなど、今後の検討の余地はあるという。
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機体の先端には、ローマ字で「MAKOTO OZAKI」と人名らしきものが印字されていた。これは、この機体の整備を主に担当する「機付き整備員」の名前だという。複数人で協力して整備は行うのだが、主たる隊員の名前を印字することで、整備に対する責任をより感じてもらえるのだという。どれも同じように見える機体の背後に、それぞれを「自分の機」として責任と愛着を持って整備を行う隊員たちの姿を感じた。
■19式装輪自走155mmりゅう弾砲
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続いて公開されたのは、19式装輪自走155mmりゅう弾砲。けん引式の155mmりゅう弾砲FHー70の後継で、2023年から部隊配備が始まっているものだ。ドイツ製の8輪式大型トラックの荷台に、国産の大砲である155mmりゅう弾砲を組み合わせたもので、高速道路も自走でき、機動性に優れているのが特徴だという。また、舗装した道路でも発射が可能で、市街地でも運用できるようになった。
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射撃操作部を見せてもらう。安全カバーのついた黒のボタンが砲弾を発射するためのボタンで、その上にある赤ボタンを押せば緊急停止する。ボタンの左側にある電話は射撃を指揮する部隊とつながっていて、そこから、目標物の情報やそこに着弾するための角度や向きが伝えられるのだという。初めてボタンを押したときの心境を隊員に聞くと、「(緊張などは)特に何も感じなかった」と言った。発射を司る「照準手」になるまで、入隊から5、6年。その間に、砲弾を撃つことは「日常」になるのだろう。
■砲撃を縁の下で支える「対迫レーダ装置」
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最後に案内されたのが、対迫レーダ装置JMPQーP13、迫撃砲の弾着点を特定するレーダーだ。火力演習の観客席からは見えないほど離れた草むらのなかにその装置はあった。装置から電波が出ていて、砲弾が通過したときの位置や向き、速さなどから弾着点を算出するという仕組みだという。敵が撃った砲弾だけではなく、味方の砲弾についてもどこに弾着するか、目標位置に到達するか測るために使われる。正確な射撃のためには「不可欠」で、火力演習中も、このレーダ装置の弾着点情報を使って、砲弾の照準の微修正を行ったという。正確な砲撃は、離れた縁の下で支える装備があって成り立つのだと感じさせられた。
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