自民党総裁選…徹底分析「候補者たちの夏」前編
日テレNEWS NNN / 2024年7月6日 7時0分
9月に行われる予定の自民党総裁選。総裁の任期満了まで約3か月もある中、早くも「ポスト岸田」レースは熱を帯びている。実質、内閣総理大臣を選ぶ大事な戦い。日本テレビは、現時点で立候補に向けて動きのある人たちの最新状況を徹底分析します。
注目① 岸田文雄(66)【出馬に意欲】
●最新コンディション
現職の総裁として再選を狙う岸田首相。首相側近は「総裁選に出ないことはあり得ない」と語る。7月の会見でも、総裁選に向けて「引き続き道半ばの課題について結果を出すよう努力する」と出馬に意欲を示した。首相周辺は出馬判断の時期について「8月の盆明けに最終判断となるだろう」と話している。
●ストロングポイント
首相側近議員は「ポスト岸田で有力候補がいない」と再選に向け自信をのぞかせる。さらに「派閥が解消され『岸田おろし』も大きなうねりにならない」とも話す。秋には新たな経済対策も打ち出す予定で、3年近くになる在任期間の実績をアピールし、政権継続を訴えていく方針。岸田首相としては最大の支援者である麻生副総裁の支持を取り付け、岸田派を中心に党内の支持を広げたい考え。
●ウィークポイント
最大の課題は低迷する内閣支持率。6月のNNNと読売新聞の世論調査では内閣支持率は23%と過去最低を更新した。衆議院選挙や来年の参議院選挙も視野に入る中、特に若手議員から「新しい選挙の顔が必要」といった声や、自民党幹部からでさえ「岸田首相では次の選挙は戦えない」という声が出ている。さらに菅前首相が「退陣論」を公然と発言するなど、党内では“岸田交代”を求める意見が広がりつつある。3年前、当時の菅首相は総裁選直前、立候補断念に追い込まれた。周辺からでさえ「最後は『岸田おろし』が強まり、不出馬に追い込まれるのでは」との不安の声もあがる。
注目② 茂木敏充(68)【出馬に意欲にじませる】
●最新コンディション
「首相になってやりたい仕事があるのは間違いない」繰り返しこう語る自民党ナンバー2の茂木幹事長。一方、出馬の決断については「夏の間に考えたい」と述べるにとどめている。茂木氏周辺が「岸田首相がどうするのか決めなければ動けない」と語るなど、裏切り者の「明智光秀」にならないよう出馬する好機を探る。
●ストロングポイント
東京大学、ハーバード大大学院を卒業し、外資系コンサルタント会社などを経て、政界入りした茂木氏。当選10回を誇る政策通で、経済産業相や外相など重要ポストを歴任してきた。「TPP=環太平洋経済連携協定」の交渉をめぐっては、アメリカ側から「タフネゴシエーター(手ごわい交渉相手)」とも評された。アメリカ大統領選をめぐりトランプ前大統領の再選も取り沙汰される中、実務経験が豊富なことが最大の強み。さらに麻生派を率いる麻生副総裁との関係が良好なのも強みの一つだ。
●ウィークポイント
最新の世論調査で「ポスト岸田」にふさわしい人物として茂木氏と答えたのはわずか1%。課題は知名度だ。周辺は「10年間1位だった石破さんが首相になっていない」と話し、深刻な問題ではないとの認識を示す。国会閉会後も、地方行脚やインターネット番組への出演などで知名度アップを狙う。さらに、国会議員の支持をどこまで得られるかも課題だ。派閥解消後、自身が会長を務める「茂木派」の若手・中堅議員のほか、安倍派の若手議員らとも食事を重ねるなど、支持拡大をはかっている。
注目③ 高市早苗(63) 【出馬に意欲】
●最新コンディション
テレビ番組などでたびたび出馬への意欲を示してきた高市経済安保相。先月30日に「総裁選出馬の意向」が一部で報じられると、「『高市早苗潰し』が目的と思われる記事」と自身のXで猛反発。2日の会見では、出馬について「お答えするような場ではない」と明言を避けた。周辺の議員は「意欲は当然あるが、閣僚なので動きが取りづらい」と話す。
●ストロングポイント
高市氏は、党政調会長、総務相などを歴任し、経済安保相として、5月には「セキュリティー・クリアランス法」を成立させるなど実績を築いてきた。初挑戦となった前回の総裁選では、故・安倍元首相の後押しを受け、獲得した議員票は114票と2位になった。最新の世論調査では、次の総裁候補として4位につけるなど、岩盤保守層を中心に根強い人気を誇っている。高市氏周辺の議員は「安倍元首相と思想を同じくし、これからの日本を立て直していける」と評する。保守系議員の支持を固め、支持拡大を狙う戦略だ。
●ウィークポイント
高市氏は去年11月、勉強会「『日本のチカラ』研究会」を立ち上げた。総裁選に向けた準備とみられているが、毎回の出席者は総裁選出馬の推薦人に必要な20人に満たない。勉強会に出席したベテラン議員は「前回は安倍さんから頼まれたから支持したが、次はわからない」と悩んでいる様子。一方、前回支持した議員の1人は「今回は担ぐことはない」と本音を明かす。安倍元首相という後ろ盾を失った総裁選。まずは出馬に必要な推薦人を確保できるかどうかが当面の課題だ。
早くも熱を帯びる、自民党総裁選「夏の決戦」。日本テレビは最新状況を伝え続けます。
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