【バスケットボール】富樫勇樹＆吉田亜沙美 ともに過去最高を目指す男女日本代表の経験豊富なポイントガードに注目

富樫勇樹選手(左、写真:アフロスポーツ)、吉田亜沙美選手(右、西村尚己/アフロスポーツ)

1976年モントリオール大会以来、実に48年ぶりに男女同時に自力でのオリンピック出場権を獲得したバスケットボール日本代表。パリオリンピック本番では、男子はベスト8進出、女子は3年前の東京大会で逃した金メダル獲得を目標に掲げるなか、チームの起点となる司令塔的存在、ふたりの経験豊富なポイントガードについて、注目してほしいと思います。

2024バスケットボール日本代表　日本一丸イベントでの集合写真　前列中央に富樫勇樹選手　前列左に吉田亜沙美選手(写真:西村尚己/アフロスポーツ)

男子では主将も務める富樫勇樹選手です。身長167センチと小柄ながら持ち前のスピードを生かしたプレーに卓越したボールハンドリング、1対1の駆け引き、リングに向かう攻撃や外からの3ポイントシュート、敵味方の動きを瞬時に見分ける判断力。それらすべてを兼ね備えた、勝負強いスター選手です。

東京大会にも出場しましたが、同大会の女子日本代表を銀メダルに導いたトム・ホーバスヘッドコーチ（HC）が男子代表のHCに就任して以降、一貫して主将に指名されてきました。パリ五輪期間中に31歳となる富樫選手は「もともとはあまり声を出して周りを鼓舞するタイプではなかった」と言いますが、千葉ジェッツ、そして日本代表でもチームの勝利のために、その役割を果たしています。

同じポイントガードには、パリオリンピックの出場権を獲得した昨夏のFIBAワールドカップ2023以降、大ブレイクしている河村勇輝選手に注目が集まっていますが、ホーバスHCは、主将としては「経験とリーダーシップ」、選手としては「外からのシュート」に富樫選手への信頼を置いています。

富樫選手はアメリカのバスケットボール強豪高校への進学、2014年夏にはNBAサマーリーグで印象深い活躍を見せるなど海外経験も豊富なように、さまざまな考え方を持った選手たちと同じチームでプレーしてきました。

目には見えづらい部分ではありますが、八村塁選手、渡邊雄太選手といったNBA選手たちとBリーグ組をひとつにまとめる役割を担うのは、富樫選手以上の適任者はいません。

NBAプレーヤー八村塁選手も富樫勇樹選手への信頼は厚い(写真:西村尚己/アフロスポーツ)

一方、女子代表では2016年リオ以来、2大会ぶり2度目のオリンピック出場となる36歳の吉田亜沙美選手です。

吉田選手は長年、日本トップクラスのポイントガードとして活躍してきた選手です。リングに向かう強気なドライブプレーをはじめ、闘志あふれるプレーで多くの人々を魅了。国内リーグのみならず、日本代表でも多くの国際大会の中心選手として活躍。リオオリンピックではチームの主将も務め、大会のアシスト王（1試合平均8.7）にも輝き、チームのベスト8進出に貢献しました。

東京オリンピックの前に2度引退表明を行いましたが、2023年に再び現役復帰後、今年2月のオリンピック世界最終予選も含め、恩塚亨HC率いる女子日本代表にも招集されてきました。

２月の世界最終予選で恩塚亨HCからの指示を聞く吉田選手(写真:アフロ)

もっとも女子代表における吉田選手の役割は、以前の時とは異なります。チームには先発を務める宮崎早織選手、東京五輪銀メダル獲得の原動力となった町田瑠唯選手というポイントガードがいて、そのふたりに次ぐ3番手としての位置付けです。

吉田選手は「各クォーターで与えられるのは（10分のうち）2分と考えると、その中で自分の色を出せるよう準備している」と自身の役割を説明しますが、端的に言えば、攻守ともにチームがうまく機能していない時の潤滑油的な役割といったところではないでしょうか。相手のディフェンスによってうまくボールが回らなくなったり、守備でも相手にかけるプレッシャーが弱くなったりする時間帯が試合には必ず出てきます。そんな時、吉田選手は、状況を見極め、自分たちのリズムを取り戻す役割を果たしています。

宮崎、町田両選手とのコミュニケーションも十分に図っているとのことで、頼もしい先輩としての存在感も大きいことでしょう。

富樫選手と吉田選手は歩んできた背景、プレースタイル、現在の役割も異なりますが、パリ五輪では攻守の起点としてどのようなプレーを見せてくれるのか。注目しましょう。

バスケットボール日本代表の試合スケジュール（日本時間／パリ五輪公式HPによる）

◇男子日本代表

　7/27(土)20:30 予選リーグ　グループB ドイツ×日本

　7/31(水)0:15 予選リーグ　グループB 日本×フランス

　8/2(金)18:00 予選リーグ　グループB 日本×ブラジル

◇女子日本代表

　7/30(火)4:00 予選リーグ　グループC アメリカ×日本

　8/1(木)18:00 予選リーグ　グループC 日本×ドイツ

　8/4(日)18:00 予選リーグ　グループC 日本×ベルギー