同性カップルを人口統計から除外しないで…国勢調査で「配偶者」と集計すべきと訴え
日テレNEWS NNN / 2024年7月30日 21時52分
同性婚への理解を求める団体が、同性カップルの存在をなきものにせず、国の統計に反映させるため、来年実施の国勢調査では、「配偶者」という回答を認めて、集計してほしいと訴えました。
公益社団法人Marriage For All Japanは、5年ごとの国勢調査が2025年に行われるのを前に、30日、オンラインで集会を行いました。
集会には自治体の長や研究者、当事者らが参加し、過去の国勢調査で、同性婚のカップルが世帯主との続柄を「配偶者」と記入して提出しても「エラー」扱いになり、本人に知らされないまま、集計前に「その他の親族」に書き換えられているという実態が報告されました。また表札に名字が二つ出ているためか、同居しているのに、調査票が2枚渡されたといった例も紹介されました。
そして専門家が、国勢調査は全数把握の調査であることから、男性同士、女性同士のカップルの比率や国籍の組み合わせ、年齢差やこどもがいるかどうか、居住地、求職の有無などの実情が把握でき、施策的課題を見いだすことにつながると説明しました。
参加者は、国勢調査について15年前から訴えてきたのに変わっていないとし、「自治体のパートナーシップ制度を利用している同性カップルは7000組以上いる。しっかりと実態を把握すべき」「国勢調査で異性の事実婚カップルはカウントされているのだから、同性の事実婚カップルもカウントしてほしい」「国勢調査は、貴重な全数把握の統計なので、同性婚の数も反映されるべき」「国民全体の経済的、歴史的資産ともなるデータだ。調査を通じて、日本社会の多様性、インクルージョンが一歩前進するように」などと訴えました。
また、ことし3月の犯罪被害者給付金をめぐる最高裁判決が、同性パートナーも「事実上婚姻関係と同様の事情にあった者」たり得るとしたこともあり、もはや同性婚ができないから同性は配偶者たり得ないとすることはできないと、強調しました。
同性カップルの当事者は、配偶者と記入したのに、“その他の親族”として集計されたことについて、「配偶者でないと言われて、心外だ。何で勝手に変えるのか」と厳しい表情で訴えました。
国立社会保障・人口問題研究所の元室長で、早稲田大学社会科学総合学術院教授の釜野さおり氏は、「まずは(本人たちが)書いた通りに集計する試みをやってみて、今後、総務省に審議会をたちあげて、その統計をどう扱うかを議論すべきで、記入されたものをうやむやにするのはもう終わりにすべき」と述べました。
そして、同性カップルにむけては、「今後さかのぼって集計される可能性もあるので、無回答とせずに回答したほうがいい」と説明。「性的指向や性自認を国の調査で把握することも大切だ。守秘義務は重要だが、回答できる人は回答していくことが重要だ」と話しました。
そして、司会の森あいさんは「アウティングにも配慮しながら施策の基礎になるデータを集めることが重要だ」と強調しました。
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